0222:マッド・ティーパーティ



「ねぇー!そろそろ休憩しようよ。さっきから歩きっぱなしじゃん。って聞いてんの、ねぇー!」
足を引きずりながら歩く洋一が、前を進む二人組に叫んだ。
「む〜ん。どうします?叫び声を他に聞かれ無いとも限りませんし、この際置いて……」
「ムーンフェイスさん。私はそういうごたごたは嫌いです。――そうですね、では私が甘いモノを食べたくなったから休憩したいと言えばどうでしょうか」
「む〜ん。仕方ない、貴方にそう言われると休憩せざるを得なくなりますね。」
あくまで表情を変えず三日月の顔を持つ異形のホムンクルス、ムーンフェイスは頷いた。
「沖縄までまだまだ距離はあります。急いだってそう時間は変わりませんよ、ゆっくり行きましょう」
そう、言うが早いかLはバックを開けて早速食料を取り出した。
「頭を使うのには糖分が欠かせません。その点、私に配布された食料が菓子なのはラッキーと言えます」
そういって、Lは板チョコの周りの包装紙と銀紙を破り、一欠片割って口に投げ込んだ。

「はぁはぁ、やっと追いついた……二人とも置いて先に進むんだから酷い……よ」
漸く追いついた洋一に『少し黙っていて下さい』と書かれた紙が突きつけられる。
「ムーンフェイスさん、先程思い出したのですが、このノート実はもう一つ隠された使い道があるんです」
そう言ってLはデスノートと、先程菓子を食べる際、一緒に取り出したメモ帳をみんなの前に広げた。
『口頭だと、主催者に聞かれる可能性がありますので重要なことは筆談で行います』
「このノート、説明したとおり加えられたのを含め幾つかルールが書かれています」
片手でぺらぺらとデスノートを捲りながら、もう片方の手で器用に筆を滑らせていく。
「実はですね。ノートを触ると死神が見える様になっていたですよ」
『ムーンフェイスさん適当に相槌打って下さい。洋一君は喋らず休憩していて結構です』「むん?なっていた……過去形ですね」
走り書きを読んだ、ムーンフェイスは頷いてそう切り出し、洋一は自分は関係ないとばかりにごろんと後ろに倒れた。
「えぇ、過去形です。今じゃ触っても死神は現れてくれません。此処まで信じてくれますか?」
「私がこうやっているくらいなんですし、死神の話は疑う余地もありませんよ」
ムーンフェイスはそのノートに触れて確認するがやはり、死神は目の前に現れなかった。
「このノートは私の世界にあったノートです。ほら、こうやって過去に私の世界で殺された人の名前と死因が誰かによって既に書き込まれています」
そう、月によって元いた世界で粛正された人々が其処に綴られていた。
書いたのが夜神月であるという完全な証拠はない。だが、キラによって殺されたと思われた人々の名前に間違いはなかった。
「この様に証明できる通りノートは私の知っているノートです。ならば、何故死神は現れないのでしょう?」
「主催者に殺された……と」
「あるいは死神といえど来られない世界に連れてこられたか、でしょうね。まぁ問題はそこではありません」
Lはそう言うと板チョコをもう一欠片割って口に投げ入れた。
「死神がルールを教えてくれたんですよ、書かれていないもう一つのルールをね」
上目使いで淡々と述べるLをみて、ムーンフェイスは確信した。自分の人選に間違いはなかったのだと。
『ちなみにこれから言うことは出鱈目です。そんな都合の良い話はありません』
「死神はこう教えてもくれました。私にもルールを書き換えることも出来る、と」
『元の世界にあった私が一番知ってます。そんな都合の良い話があれば彼奴――キラがその手を利用しないはずがない』
Lは面倒になったのか持っていた板チョコから包装紙と銀紙を全てはがして、固まりのまま口に入れてかみ砕いた。
「24時間ルールと、主催者が殺せないというルールさえ消してしまえば……」
『だけど、主催者が何らかの手段でルールを変更できた以上は手があったってのは事実なんでしょう』
「ただし、条件があるんですよ。そうですね、最低あと12時間はかかるでしょう」
『ルールを変更する手だてがないとは言えない以上、私が主催者なら他にも手段があると思ってこのノートを回収します』
そう書き終えるとLは筆を置き、終了の合図を出した。
「む〜ん。つまりそれまでの時間まで君を守り通せば勝ちというわけだ」
「えぇ、理解が早くて助かります」
そう、リミットは12時間。それまでに主催者は危険を冒してでもこのノートを回収しに来る筈だ。
だがそれはこの作戦の表の一面に過ぎない。
主催者が来る可能性は考慮しなくてはいけないが、来ない可能性だってあり得るのだ。
可能性は二つ。
一つ目は、そもそも盗聴なんてしていない場合。
この会話自体聞いてないのなら取りに来ることはあり得ない。
そして二つ目は、盗聴どころか監視すらしている可能性。
ノートの書き込みまで見られている場合完全にアウトだ。
脱出するにはどうしても、話の筒抜け具合を最初の内に調べておきたかった。
取りに来れば、内緒話は筆談で全て済む。
取りに来なければ、脱出の算段より、伝達方法を先に考えなくてはいけなくなる。
どうせ沖縄まで仲間を増やす以外する事はないのだ。
ならばその間ですらも利用させて貰うとする。
12時間とリミットを長目に設定したのもそれが理由だ。
時間が長ければ長いほど、もしも主催者が現れた時に戦力になってくれる仲間、そしてアイテムが増えるからだ。
なるべく早く自分の置かれている状態を知れるようになり、出来るだけ万全な準備を整えられる時間――それが12時間なのだ。

「さぁ洋一君、休憩は終わりです」
ノートとメモ帳を仕舞って、洋一の方へと振り向いた。
「あ……綺麗だな」
上を向いて寝ながらそう、ぽつりと洋一は呟いた。
ムーンフェイスとLも洋一が見ている方向を慌てて見上げた。
遠くで何かがキランと光った。
先程の会話から二人は同じ事態を想像してしまう。
(は、早すぎる!)
先程の会話を聞いて、用意が出来ない間に主催者がやってきたという最悪の事態が頭を過ぎる。
主催者の様な存在ならそう軽く動けはしないと計算していたのだが外れたのか?
光は次第に大きくなってくる、だが近づくにつれ分かったのだが、どうも自分達のいる方向とは少し違うらしい。
光の辿り着く先は、名古屋城か?
光はそのまま一直線に進み、名古屋城の天守閣に激突した。
小さな音と、煙を確認して目的地が自分達でなかったことを知り、肩の荷を下ろす。
しかし、狙いが自分達ではないという事を知り安堵するのも束の間上空から、なにやら高貴としか例えようのない声が響き渡った。
「ハッハッハ、僕が誰かって?そうだね無知蒙昧な君たちにも教えてあげようじゃないか!僕は麗しき貴公子、趙公明。覚えていて損はないよ、以後お見知り置きを」
声が響き渡ると共に、後光を纏いつつ傘をパラシュート代わりにさした男性が舞い降りてきた。
「名古屋城観光に向かおうとしたら君を見かけてね。そこの二人のようにセンス欠片も持ち合わせない人間なら無視していたのだが、君みたいな面白い人物――いや僕と同じような存在かな?
まぁどちらでも構わないか。君みたいな面白い奴がいたからわざわざ寄り道してまで来てあげたという訳だよ」
「むん?」
着地すると共に、フーンフェイスに深々と貴族らしい挨拶をする。
「さぁ、僕と一緒に華麗なる戦いの舞を踊ろうではないか!」
趙公明は手にしていた傘を綴じ、それを刀のようにして構えた。

最悪の事態ではなかったものの、まさしくアンラッキーな事態といえた。
今まで開始してから12時間以上は経過している。
実際は戦闘がなかった方が運が良かっただけなのだが、自然とLとムーンフェイスの視線は一人の少年に集まった。
「俺ってやっぱり、ついてねー!!」





【愛知県/日中〜午後】
【チームL】
【ルナール・ニコラエフ(ムーンフェイス)@武装練金】
[状態]:健康
[装備]:双眼鏡
[道具]:荷物一式(食料一食分消費)
[思考]:1、有用な人材のスカウトと支給品の収集
     2、Lを補佐する
     3、生き残る

【L(竜崎)@デスノート】
[状態]:健康
[道具]:荷物一式 (食料少量消費) 、護送車(ガソリン無し、バッテリー切れ、ドアロック故障) 、デスノート(0:00まで使用不能)@デスノート(洋一の持ち物だが仮に所持)
[思考]:1、目の前の男(趙公明)へ何らかの対応をする
     2、名古屋駅を目指し、参加者のグループを探索。合流し、ステルスマーダーが居れば其れを排除。
     3、出来るだけ人材とアイテムを引き込む
     4、沖縄の存在の確認
     5、ゲームの出来るだけ早い中断
     6、デスノートは可能な限り使用しない

【追手内洋一@とっても!ラッキーマン】
[状態]:右腕骨折、左ふくらはぎ火傷、疲労
[道具]:荷物一式(食料少し消費)
[思考]:1、とりあえずLたちに付いていく
     2、死にたくない

【趙公明@封神演義】
[状態]:左足に軽傷
[道具]:荷物一式×2(一食分消費)神楽の仕込み傘@銀魂
[思考]:1、目の前の男(ムーンフェイス)と華麗に戦う。
     2、ディズニーランドでラーメンマンを待って煌びやかに闘う。
     3、エレガントな戦いを楽しむ。太公望、カズキ、ラーメンマンを優先。

【如意棒@ドラゴンボールは名古屋城天守閣に突き刺さってます】


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