0188:拳王地に臥す
その場における三度目の戦いはラオウの拳によって始まった。
標的は先刻光弾を放った男、浦飯幽助であった。
先程“黒猫”トレイン・ハートネットを相手にした時のように、
力量を計るがごとく緩やかに(拳王にとってはだが)、拳を打ち続けた。
「ふむ、体術はこの程度か・・。やはり虫は虫ということ!
この拳王の前に散るがよいわ!」
いままでとは全く性質の異なる凶手が幽助を襲わんとしたとき、
「ここは俺が相手をしよう」
そう言ってクロロは幽助を突き飛ばし、ラオウの攻撃を逃れさせた。
「この拳王の相手を買って出るとは面白い。せいぜい足掻くがよい」
ラオウが殴る、クロロが避ける。 ラオウが打つ、クロロが身をかわす。
何かが奇妙・・空振りが続きラオウは違和感を感じた。
最初に対峙し襲い掛かったときも悉く攻撃が回避されていた。
今もそれが気になり、若干手を抜いていたが、それでもこの見切りは神懸り的である。
まるで未来の攻撃が見えているように。無論クロロが『予見眼』なる能力で、本当に未来を見ていることを知る由もない。
ただ、この謎を解くまでは殺すのは惜しい。そうとまで考えていた。
一方幽助はこの攻防に、すげぇと感想を漏らし見入っていた。
また加勢すべきかと悩んだが、『オレが隙を作る』という男の言葉を信じ待ちに徹した。
ラオウの攻撃とクロロの回避が幾度となく続く中で、クロロは遂に攻めに転じた。
大男の右側頭部を狙った鋭い跳び上段蹴り。しかしそれは当然丸太のような太い腕によって阻まれた。
「いまだ!くらえ!!」
叫びと共に放たれた霊丸は、拳王の傷ついた左胸―蹴りを左腕で受けたためがら空きとなったのだ―に、
炸裂した。
ドオオオオオン
轟音が響き渡り、余韻の煙が晴れていく刹那、クロロは近くの茂みまで吹き飛ばされた。
幽助はそれを受け止めようと走ったが、間に合わず、その茂みへ飛び込んだ。
「アンタ、大丈夫か!?」
「・・肋骨をやられた、内臓に刺さってるかもしれないな。しかし今ので駄目か・・
あと一発欲しいところだが・・」
クロロの呟きに幽助は答えた。
「もう霊丸は読まれてるぜ、きっと。避けられるか、受けられるかされちまうに違いねぇ」
本来の彼とは思えない弱気な発言に対し、クロロは提案した。
「オレに貸してくれないか、霊丸。オレの能力ならそれが可能だ」
他人の承諾と証文となる手形でその人間の能力を借りる。そういう能力をオレは持っている。
そう説明され、今の自分ではろくな打開策は閃かないと察して、幽助はその手順をこなした。
勿論『借りる』のではなく『盗む』であるが、盗人の理論ではそれは同じ事。盗賊の性はこの修羅場でも働いていた。
「それじゃあ行くぜ!」
先程とは役割が入れ替わり、幽助が隙を作るため切り込んでいった。
拳王は先の光弾を至近距離で撃つのだと判断し、手負いの逆十字架の男を無視して、向かい来る光弾の若人を全力で倒すと決意した。
「戯れは終いだ! 中々に面白かったぞ!」
ラオウの剛拳は幽助の右手を手甲ごと破壊した。
「ぐあああああっ!!」
右手は死んだが、その時幽助はさっきの霊丸が不発に終わった理由を知った.
ラオウの右掌は赤くただれ薬指と小指がなくなっていた。
ようするに、霊丸が左胸を襲う瞬間、右手をはさんで、致命傷を避けたのである。
幽助は目の前の大男に向かって左手だけで鉄砲の形を作った。
「虫けらの脆弱な蛍火がここまでのものとは思わなかった。
然し!もう効かぬ!この拳王が散らせてくれよう!」
「なら遠慮なくいかせてもろおう」
幽助のを迎え撃とうとしたラオウの胸に、予想外の方向から飛んできた光が直撃した。
爆音が轟き、閃光が広がり、それらが失せたところには拳王ラオウその人が倒れていた。
立ち上がる気配は・・・ない。
「ふー、やっとで終わったぜ。アンタのおかげだ。ありがとうよ」
幽助は緊張の糸が切れたような表情で礼を言った。
「いや、あれはアンタの技だ。オレはそれを一回きり借りてつかっただけだ」
一回きり、借りるこれを強調してクロロは笑みを浮かべ答えた。
しかし、まだここからが盗賊にとっての正念場である。相手に不信感を抱かせずに別れなければならない。
[アンタは連れを追うんだろ。急いだ方がいい。向こうも大変かもしれない」
「そうだな・・じゃあ、オレは行かせてもらうぜ。本当にありがとうよ。アンタの無事祈っててやるぜ」
クロロは再び笑みを浮かべ、これに応えた。人に不信感を与えないコツは適当な笑顔だ。
それをしっているクロロはまた微笑んで相手の出立を促した。
「それじゃあな。そういや、名前言ってなかったな。オレは浦飯幽助。アンタは?」
クロロ・ルシルフルはほんの一瞬考え、
「ヒソカだ」
とだけ答えた。念能力者は相手の問いに気安く答えないのが鉄則。このときもそれを遵守した。
それを聞きヒソカかと口に出して確かめ、再び別れの言葉を言い浦飯幽助はその場を去った。
計画どうりに事が進んだ。ここにきて初めて緊張を解き、クロロは次の行動を考えた。
攻撃の技は手に入れたがしばらく使えない。腹の傷も癒したい。どこか休める場所を・・と考えるうちに
眼前に伏せている大男の荷物に注意がいった。盗めるものはすべて盗む・・
その瞬間この空間に戦慄が走った。
クロロ・ルシルフルは背後に山のような気配を感じ、ゆっくり振り向いた。
「・・見事であった。二人がかりとはいえこの拳王を地に伏させるとは・・
虫、という言葉は撤回しよう。然し・・」
クロロにはもうこの言葉が聞こえていなかった。この不死身の化け物―一度否定はしたが、
によって、恐怖という感情がその身を支配していた。
話の終わりにも気づかず、ラオウの攻撃にも気づかず、自分の死にも気づかず、幻影旅団団長はただの肉塊、いや肉の塵となった。
能力も生命も肉体も失う。それが究極的に求め、欲し続けた男の最期であった。
世紀末覇者を志す漢はこの世界でさらなる強敵(とも)と出会った。
そしてまだ見ぬ強敵(とも)との遭遇に心を躍らせた。
【栃木県/午前】
【浦飯幽助@幽遊白書】
[状態]戦闘による疲労大 右手手首から先を複雑骨折
本日の霊丸の残弾0/4
[装備]なし
[道具]荷物一式
[思考]
1:桑原、飛影との合流
1:トレインとの合流
3:ゲームからの脱出
4:ヒソカ(実際はクロロ)の無事を祈る
【ラオウ@北斗の拳】
[状態]:胸元を負傷(大)/霊丸によるダメージ(闘気で軽減)/右腕にダメージ /右手ただれ薬指小指喪失
[装備]:無し
[道具]:荷物一式 不明
[思考]:
1.いずれ江田島平八と決着をつける
2.主催者を含む、すべての存在を打倒する(ケンシロウ優先)
【クロロ・ルシルフル@ハンター×ハンター死亡確認】
残り98人
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