0175:Lie!Lie!Lie!
「あーもう、ほんと何匹害虫がいるのかな。応援が無いから防衛策として発砲してるけど、これじゃ帰ったら先輩と一緒で始末書モノだ」
警察官中川は何度も叫び既に乾いた声で小さく笑う。
まだ日も昇り始めた街だがその街は人の気配で溢れていた――いや、人の殺気で溢れていた。
「これからは先輩を笑えないな……」
そう呟きつつ突如現れた変な二人組に片手で照準を合わせる。
この銃が地面に置いても狙撃出来るタイプで助かった。
持って使用するタイプの狙撃銃なら怪我をした左肩が持たないうえに照準が狂う。
「うん、こんなもんかな?」
スコープを覗いた先には顔に化粧をした男が此方を向いて笑顔で手を振っていたが、外す心配が無かったので気にしないでおこう。
しかしトリガーに指を添えたとき、ふと後ろの方で誰かの足音を感じた。
廃ビルに誰かの足音が木霊する。
一定のリズムで次第に音は大きくなってくる。
確実に此方に向かってくる、いやもう直ぐ其処にまで来ているのだろう。
慌ててトリガーから指を外すとバックの中に手を突っ込む。
次の瞬間足音が消えた。
あれだけ響いていた音が、耳障りだった音が……
――あぁそうか誰かもうこの扉の向こうに立っているんだ。
消えた足音に合点がいったと時を同じくして閉めていた扉が開く。
「貴様があの音の……」
「やぁお早う。だけど公務執行妨害はいけないね……お兄さんは今忙しいんだよ」
扉を相手が開けた瞬間にベアクローを装着させた右ストレートを相手にお見舞いする。
「刑法第九十五条に抵触、君は三年以下の懲役又は禁錮――だが、まぁ情状酌量の余地が無いとは言えない」
そのまま後ろに倒れた相手に馬乗りになって額に刺さったベアクローを更に力で押しこむ。
始めは1cm程度しか刺さって無かった熊の爪がずぶりずぶりと奧へ進んでいく。
「だから裁判官に代わって君に判決を下そう」
完全にベアクローが根本まで埋まる。
恐らく脳はもうぐちゃぐちゃで生きてはいないだろう。
「――死刑だ」
危機が去った中川は名も知らぬ少年の額に刺さったベアクローを抜こうとする。
しかし硬くて片手ではびくともしない。
一輝の顔を踏みつけ、力を込めて抜こうとするがそれでも動かない。
色々試している間に鈍い音がする。
中川が足元をよく見ると足元の少年の顔が変な方向を向いていた。
「まぁいいさ……僕にはこんな野蛮な獲物は似合わないからね」
肩で息を切らしながら悔し紛れにそう言い捨てる。
「それよりも、問題は銃の照準だ。またやり直さないといけないよ」
邪魔者がいなくなった中川は再びスナイパーライフルの前に戻った。
「どれどれ先程の金髪みたいに害虫が隠れてなければいいのだけど」
再びスコープを覗くと律儀に待っていたのか顔に化粧をした男が、今度は此方に投げキッスをしているのが見えた。
「お休みのキスって訳かい?――いいよ、そのまま寝させてあげるよ」
多少のズレを修正しながらトリガーに再び指をかける。
「Good night」
スナイパーライフルから発射された弾はそのまま突き進み笑ったヒソカの顔のど真ん中を貫通する。
予想外の速度だったのか、制限下の元思った速度で回避できなかったのか、それとも銃弾を受けることがヒソカの愛情表現だったのかは解らない。
だが現実な事がただ一つ。
銃弾を顔面に受け、一人の男が倒れていくという事。
「へぇ……やるねぇ」
しかしその傍らに付いていた男は驚くどころか感嘆の息を洩らす。
「だけどね、彼はまだ殺して欲しくなかったな」
ヒソカが死んでしまっては此から当分一人の行動になる。
唯でさえ少ない量のニアデスハピネスなのだ。
此処で怒りに任せて消費するわけにもいかず、ビルの屋上を飛び跳ねて銃弾が飛んできたビルへと向かう。
「ヒソカが先程の餓鬼共の方を気にかけていたからこの場は見過ごすつもりだったが……標的を貴様に変更させて貰う」
狙うは首輪、対象の生死は問わない。
多いに超したことは無いのだが、二つもあれば十分だろうとヒソカと話していた。
復讐というのも柄ではないし、ヒソカに対しそんな感情は抱いていないのだが、此から自分に被さってくる苦労を考えたら腹立たしくなってきた。
「日本は本当に甘いなぁ。あの恰好ですら公然猥褻罪に問えないんだから……」
パピヨンこと蝶野攻爵に次の照準を合わせる。
ビルの屋上を跳びつつ此方に向かってくるパピヨンに片腕で照準を合わせるのは骨の折れる作業だ。
此方にひらり、あちらにひらりと跳び回る様子はさながら蝶の様だ。
「まぁいいさ、社会のゴミを片付ける為に敢えてこの僕が厳しく判断しよう」
中川が構えるスナイパーライフルの動きがピタリと止まる。
「――刑法第一七四条、公然猥褻罪に抵触して六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」
短い音と共に幾度目かにもなる凶弾が放たれる。
狙いはこのビルに来る為には着地しなくてはいけないビルの狭い屋上。
狙いさえ一ヶ所に絞れていれば、向こうからやって来る蝶一匹を撃ち落とす位なんて事はなかった。
着地する際に足を打ち抜かれたパピヨンはその場で失速しバランスを崩す。
「だけどどうせお金持ってないでしょ。だから君も――死刑」
動きを止めたパピヨンの胸に更に銃弾が襲いかかる。
銃弾が当たったパピヨンがその場で倒れ動かなくなった事を中川は確認する。
「警察官は大変だ。こんな時でも仕事をしなくちゃいけないからね……そう言えば金髪の子供達がまだいたっけ?彼らにも指導してあげないと」
早く外に行かなければ何処かに逃げられてしまうに違いない。
次の刑は何にしようかと悩みながら中川はスナイパーライフルを片づけ始めた。
粗方片づけ終わり、もしかしたらと少年が壊したビルから現れてないかどうかもう一度外を確認する。
「あれ、おかしいなぁ……」
外にはビルを破壊し隠れた少年二人の代わりに先程死刑を執行した筈の二人が立っていた。
「やぁ驚いたかい?」
顔面に銃弾を撃ち込んだ筈の男が何事もなかったの様に親しく声をかけてくる。
その男は顔に付いていた銃弾の跡をぺろっと剥がした。
薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)――紙のような薄いものに自分のオーラを乗せあらゆる質感を再現する技。
「キミの撃った弾は こ こ」
ヒソカが出した舌の上にスナイパーライフルの弾が乗っていた。
放たれた銃弾を歯で受け止め、そのまま薄っぺらな嘘で貫通したかのように見せていたのだった。
「君も人が悪いな。俺はお陰で痛い思いをしたんだぞ」
そう言って衣装に付いた埃を払うもう一人の変態。
此方の方には確かに銃弾が当たっていた。
破けた衣装から覗く痣がそれを物語っている。
「な……」
慌ててバックからスナイパーライフルを取り出そうとする中川。
「じゅ、銃が効かないなんてそんな馬鹿な……」
しかし焦れば焦るほどバッグの食料の中に紛れ込んだカプセルを探すのには時間がかかった。
「に、日本には化け物に対する刑罰はないのか!!」
やっとこさ探し当てたカプセルを投げ、スナイパーライフルを構える。
「糞っ、動くな!其処を動くなよ!!」
相手が近いが為置いて狙撃する方法では銃口が相手に向けられない。
仕方なく構えて撃とうとするのだが左肩の怪我の所為で銃口がぶれてしまう。
一歩一歩ゆっくりと近づいてくる変人二人を前に、中川は腰を抜かしながら後退する。
しかし後退していると背中に壁以外の物がぶつかって後ろに進めなくなる。
「ひぃぃぃ」
恐る恐る振り向くと其処には最初に殺した筈のあの少年の死体が横たわっていた。
「痛ぇじゃねぇか、中川」
聞き慣れた声がその死体から聞こえたかと思うと顔にベアクローを刺したまま死体が起きあがる。
「ったく……どうしてくれるんだ、これ」
その死体の姿は既に此処にやって来た少年の姿ではなかった。
其奴は短い足でのっそり歩きながら、腰に付けたホルスターからニューナンブを取り出しした。
「中川、銃ってのはこうやって撃つもんなんだよ」
「ひぃぃぃぃぃ先輩!」
両津の姿をしたそれは指で拳銃を回しながら中川の額に銃口を押しやった。
「おぉっといけね。安全ゴムを外すの忘れてた」
空いた手で頭を掻きながらトリガーの後ろに挟まった安全ゴムを取り外す。
その隙に反対方向に逃げようとする中川だったが、少し進んだだけでまた何かにぶつかった。
「逃げちゃ駄目じゃないか」
「君にも俺と同じ痛みを味わって貰わないとね」
狂気に満ちた目で笑いかける二人組。
「せ、先輩!冗談キツイですよ!」
既に逃げ場がない中川は目の前の両津に賛同を求める。
「後輩への指導だ。有り難く思えよ」
訴えるような目で見つめる中川の顎を片手で押さえて、無理矢理こじ開けた口にニューナンブの銃口をねじ込んだ。
「ふぇんふぁい!!ひょうふふぇんふぁい!!」
口に銃口を突っ込まれながら情けない声で喘ぐ。
六つの瞳が見守る中、廃ビルの中に短い音が鳴り響いた。
「――鳳凰幻魔拳。どうだ、地獄を見た感想は?」
床に倒れながら先輩と喘ぎ続ける中川を一別する。
「フッ、聞いてもムダか」
床に倒れたままひたすら呟くだけの中川を見て苦笑する。
扉を開けた瞬間、邪悪な小宇宙の主に向かって鳳凰幻魔拳を繰り出していたのだ。
中川が一輝に突き刺したと思っていたベアクローは一輝の後ろの壁に突き刺さっていた。
これでひとまずは銃撃の心配が無くなったという事だ――が……
「大きな小宇宙が二つ……ナルト達とはまた別の小宇宙の持ち主か」
一輝は呟きながら窓の外を眺める。
「どうやらこれで一段落とはいかないようだな」
「さて、どうしよっか」
立ち塞がった二体の影分身を難なく倒してヒソカはパピヨンに意見を求めた。
「そうだな、向こうは手負いが二人だ二人で行っても仕方ないだろう。逃げられていても困るし、俺は君が選ばなかった方で良いよ」
そう言って足元に空いた穴と銃弾が跳んできたビルを交互に指さした。
第一の目的は首輪の確保である。
二人で追いかけて逃げられましたではとんだ無駄骨だ。
首輪を多く確保する分には問題無いので少々の間二手に別れることを提案した。
「ん〜ボクとしては、断然こっちかな」
銃と奇術、どちらが面白いかなんて比べる迄もない。
ヒソカは親指を下に向けてナルト達が逃げた穴を指し示す。
「で、条件は?」
パピヨンとしても恐らく面白い方を追いかけたいに違わないだろうし、一応その裏を確認する。
「察しがいいね。なに、もしも知り合いに出会ったらその時は順番を回してくれってだけだよ」
パピヨンが今までに無い笑みを浮かべつつ答える。
その目が見つめる物は此から赴くビルでもなく、目の前の話し相手ヒソカでもない。
まだ見ぬライバル
「OKボクも遊びたい知り合いがいるからね。その時は譲り合おう」
「交渉成立。さて急ごうか」
二人は目と目で頷き合い、二手に別れた。
パピヨンはビルの屋上を舞い、ヒソカは穴に飛び降りる。
狙いは首輪、対象の生死は問わず。
二人のハンターが地をそして空を翔る。
「さて、何処に隠れているのかな?」
ビルの中へと降り立ったヒソカは自分の体を中心にオーラを広げ辺りの気配を探り出した。
纏と練の応用技である円。
纏で纏ったオーラを練にて一気に広げ、その間合いに入った人物を察知する。
だが勿論便利な反面欠点もある。
それは制限の所為か数m迄しか円を広げられない上に、広げた分大量にオーラを消費するのだ。
つまり近くに相手が隠れていると確信している時以外で使うのは自滅に等しいという事だ。
上下左右と張り巡らせたオーラにを纏い、穴が出来ないように丁寧に捜して歩く。
壁や床に穴は空いていない。
なら逃げるとしても扉を通ってしか逃げるルートは無い筈。
一通り瓦礫で覆われた部屋の中を探索し終えるとヒソカは扉を通り次の部屋へと向かう。
走って逃げれば円を使うまでもなく気配で直ぐ察知が出来る。
しかしその気配が無い以上はこの辺りに隠れているという事なのだ。
「ん〜何処かな〜?」
次の部屋へと入ったときヒソカの足が止まる。
「み〜つけた」
暗闇の部屋の中にヒソカの楽しげな声が響き渡った。
通常ならば見逃して当然の気配。
ヒソカ達念能力者達に言わせればオーラを完全に絶って気配を消す――絶。
それと似た様に気配その物を消して隠れているナルトを発見した。
部屋に木霊したヒソカの声に観念してかナルトが飛び出した。
円を消し、即座に凝に切り替えるヒソカ。
ナルトの左ストレートを左手で反らしつつ、右手で腹部にオーラを乗せたアッパーの一撃を加える。
その一撃でナルトは部屋の隅まで飛ばされ、崩れ落ちる。
「もう一人は何処に隠れているのかな?」
余裕からかナルトを気にせず、此処に逃げ込んだもう一人の少年を捜す。
ナルトと同様このビルから逃げているという事は無い筈だ。
ならば少し離れたところへ隠れさせていると考えるのが妥当だろう。
「って事はそう長く遊んでもいられないって事か……」
戦闘中に逃げられては流石に気付いたとしても追いかけることは無理だろう。
「残念だけど、もう終わりにしてしまうよ」
そう言ってナルトの近くまで歩み寄り、ヒソカはナルトの首に手を伸ばす。
「へへ……甘いってばよ!!」
そう叫びながら無防備なヒソカに大勢のナルトが一斉に飛びかかる。
「うずまきナルト乱打!!」
だがヒソカはそれらを一別するとたった一発だけパンチを繰り出した。
その一発で今まで大勢いたナルトとヒソカの前に倒れていたナルトが全員消滅する。
「な、なんで……わかったんだってばよ……」
腹を抱えつつ、今度こそ本物のナルトが倒れた。
腹を強打されチャクラのコントロールが乱れた影分身は維持出来なくなり消滅してしまったのだ。
ビルの中が暗い事が幸いした。
目に映る物だけに頼らず凝によって見分けることが出来たのだ。
影分身の術とは言えども所詮チャクラで偽の肉体を増やすだけの術。
本物とチャクラの固まりのコピーとではオーラが全然違う。
つまり先程まで目の前で倒れていた者のオーラと一人違うオーラを選んで攻撃すれば良いだけなのだ。
偽物を殺しても無意味で消滅するだけなのは先程の屋上で経験済み。
本物に攻撃を加えれば偽物が消えるかどうかは一種の賭であったが、屋上にて本人が仕掛けて来なかった以上その可能性は高かった。
「ん〜今度こそ終わりの様だね」
再び倒れたナルトに手を伸ばすヒソカ。
だが再び背に誰かの気配を感じる。
「さっきの少年かい?」
そう思い振り返った先にいた者は自分の思っていた者とは違った。
宙を翔てくる4人のナルト。
「――何人倒せば終わるのかな?」
次第に苛立ちが募り始めたヒソカは直線に翔てくるナルト全員を一瞬で叩き落とす。
しかし全く手応えがない。
拳に当たった瞬間それは幻であったかの様に霧散する。
屋上で闘ったときとは全く違う手応えにヒソカは少々驚いた。
そうしている間にナルトの第弐グループがまたも翔てくる。
それを再び迎撃したヒソカが霧散したナルトの中から出てきた物体に気が付いた。
其れは石。
何処にでも落ちているような唯の石ころである。
どうやら相手は石にオーラを周で纏わせ、自分の技薄っぺらな嘘の如く虚像を見せているらしかった。
自分と同じ系統の技のお陰でその技の正体を難なく見破ることが出来た。
「誰だい邪魔するのは?」
先程の少年でも目の前の少年とも違う技を使う存在が直ぐ其処にいる。
未だ隠れている少年ではこんな技は使えない筈だ。
そしてこの技は物を投げる事で成り立っており、つまりは目の前で倒れている少年ではなく入り口の向こうで石を投げている存在こそがいるという事だ。
現れたのはまたしてもナルト。
だがそれは本物でも虚像でもなく、全く別の存在であるとヒソカは瞬時に気が付いた。
「少年よ、何を寝ている。貴様は俺と同じ高貴なる存在――妖狐なのであろう」
感づかれたを悟ってか偽ナルト――玉藻京介は自分にかけていた幻視の術を解いた。
首さすまた探し彷徨っていたのだが、鵺野鳴介と会話をしている間に完全に見失ってしまっていた。
その後色々廻り、いつの間にか九州に辿り着いていたのだがナルトの九尾のチャクラを嗅ぎ付けこのビルにやって来たのだった。
「私も貴様と同じ種族。さぁ変化を解いて本当の力を見せつけるのだ」
玉藻はそう言うと変化を解き、妖狐本来の姿に戻った。
ヒソカは目の前に現れた狐顔の男に目を細くする。
「うん、さっきの姿よりそっちの姿の方が良いよ」
そう言って茶々を入れるヒソカだが先程とは目つきが違った。
更なる強敵の出現と自分が遊ばれていた事への怒り。
その二つの相反する感情がヒソカに恍惚の感情を浮かばせていた。
鵺野鳴介から教わった人を思う、思いの強さ。
先程の放送で流れた名前に聞き覚えのある名前があった。
稲葉郷子――鵺野鳴介の教え子の名前だ。
その放送を聞いた時、少なからず迷いが生じたのは確かだ。
このままゲームに流されるか、それとも終生のライバル鵺野鳴介の様に人を護りつつあがらうか。
恐らく鵺野鳴介の事だ、稲葉郷子の死を嘆きつつも何処かで人を護って闘っているに違いなかった。
嘗ての自分ならばその稲葉郷子を殺したのも人間だと皮肉っていただろう。
だがその迷いを乗り越えた所に鵺野鳴介はいた。
そう思った瞬間に首さすまたより此方に足が向いていた。
同族――妖狐の気配。
ナルトが屋上で使った影分身のお陰で九尾のチャクラを感じる事が出来た。
「――鵺野先生だけ強くなるのは許しませんよ」
人を思う心を理解した妖怪玉藻はそう呟いて同族の元に走り出していた。
同族を護りたいと思う心とは裏腹に、なにかと理由を付けて本心を隠した呟き。
如何にも自分らしい呟きに玉藻は唇の端を少し上げた。
「思い出せ!誇り高き姿を!そして気高きプライドを!」
同族に向かって玉藻が思いの限りを叫ぶ。
「――ボクね、無視されるの嫌いなんだけど」
蹲っているナルトを無視して乱入者玉藻に襲いかかろうとする。
だがその足をがっしりと掴まれ停止を余儀なくされる。
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
ヒソカの足元に倒れていたナルトがヒソカの足首を握っていた。
ヒソカが凝で見たモノは爆発的なまでに増殖されたオーラが纏によって周りに固定されたその姿。
人は其れを化け物を呼び忌み嫌う。
「思い出せ!高尚なる知性を!」
だが、玉藻が護りたかった存在――目覚めさせたかった存在は化け物へとなり目を覚ました。
獣の雄叫びと共に鈍い骨の外れる音がする。
踵の間接を外し、僅かに出来た隙間を利用してナルトの手からすり抜ける。
間合いを取ったヒソカは自分で外した間接を痛みを感じながら無理矢理元に戻した。
「そろそろ、ボクでも苛立ってきたよ」
ヒソカも自分の周りにオーラを纏う。
入り口を玉藻に塞がれている以上、この獣の檻から逃げ出すことは出来ない。
「いくよん」
その言葉とどちらが早かったであろうか、ヒソカが全力で疾走する。
狙いは乱入者の玉藻ではない、暴走状態で理性が保てていないナルト。
ナルトも其れを迎え撃つが為に咄嗟に作り出した螺旋丸を構える。
ビルを破壊した時の其れとは大きく異なるその魔力の渦がヒソカを捉える。
「じゃぁねん、また会おう」
ヒソカが笑うと共にナルトがあり得ない速度で加速する。
伸縮自在の愛(バンジーガム)を腹部に貼り付けられていたナルトは伸縮するヒソカのオーラでタイミングを狂わされた。
元の速さから更に伸縮の速度を加えられたナルトはヒソカの脇を通り過ぎ、向かいの壁に激突する。
「いけない!!」
だが玉藻が気が付くよりも早くヒソカは螺旋丸にて空けられた大穴より脱出する。
最後に玉藻とナルトに投げキッスを残して。
【福岡県(市街地)/朝】
【跡部景吾@テニスの王子様】
【状態】右肩が痺れている、襲われたらやり返す覚悟を決めた
【装備】衝撃貝(インパクトダイアル)の仕込まれた篭手@ワンピース
【道具】荷物一式(少量の水を消費済み)、アバンのしるし@ダイの大冒険
フォーク5本、ソーイングセット、ノートとペン、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、ヒソカに見つからないように隠れる
2、乾と越前を捜す
【うずまきナルト@NARUTO】
【状態】右上腕に弾丸貫通(応急処置はしたがまだ出血中)、空腹、九尾のチャクラ暴走中
【装備】無し
【道具】支給品一式(1日分の食料と水を消費済み)
ゴールドフェザー&シルバーフェザー(各5本ずつ)@ダイの大冒険
フォーク5本、ソーイングセット、ロープ、半透明ゴミ袋10枚入り1パック
【思考】1、暴走中
2、サクラ、シカマルを探す
3、主催者をやっつける
【中川圭一@こち亀】
[状態]:左肩を負傷 精神完全破壊
[装備]:
[道具]:荷物一式
[思考]:1.先輩怖い、先輩怖い、先輩怖い
【玉藻@地獄先生ぬ〜べ〜】
[状態]:服はボロボロ、多少の切り傷擦り傷、行動にはほぼ支障無し
[装備]:なし
[道具]:荷物一式 石ころ数個
[思考]:1、暴走状態のナルトを何とかする
2、伊達から首さすまたを取り戻す
【パピヨン@武装錬金】
[状態]:健康 背中に極軽度の打撲(再生能力のため、直ぐに回復します)
[装備]:核鉄LXX@武装錬金(ニアデスハピネス少量消費)
[道具]:荷物一式(食糧二食分消費)
[思考]:1、狙撃手から首輪を手に入れる
2、知り合いとの合流、ヒソカと行動
【ヒソカ@ハンターハンター】
[状態]:健康 全身に軽い打撲、裂傷(処置済み) 中程度の疲労
[装備]:無し
[道具]:荷物一式(食糧一食分消費)
[思考]:1、玉藻、ナルト達から逃げる
2、更木、ナルト、玉藻を含む強者と戦いたい
3、知り合いとの合流、パピヨンと行動
【一輝@聖闘士星矢】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:荷物一式
[思考]:1、ナルト達以外の大きな小宇宙を持つ者達への対処
2、ハーデスを倒す
【ベアクローとスナイパーライフル(残弾16発)は廃ビルの一室に放置されています】
←前 時間別一覧 投下順一覧 次→