0098:空条承太郎の見解



「ジョジョくん、一体なにを捜しているんだい? 早く仲間を捜しに行こうよ!」
「ああ……悪いが少し待っていてくれ」
あくまで快活な口調で問いかける背後の大空翼に対し、空条承太郎は視線だけを向けて答えた。
新潟県南部の山中。二人が出会った場所からさほど離れていない場所にある、旅館の厨房に二人はいた。

収納棚をひとつひとつ物色しながら、承太郎は内心ひとりごちた。
(やれやれ……建物の内装に至るまで完璧に『日本のミニチュア』を作っておきながら、武器になりそうなもの
はさっぱり置いていやがらねえ。ちょっとは期待していたんだがな……まったくご丁寧なことだぜ)
清潔だが使い古された様子の食器類。「○○旅館」の文字がプリントされた手ぬぐい。目に付くのは妙に生活臭
を感じさせる、日用品の数々。棒や刃物の類は、この場からきれいに取り除かれているらしい。
スタンド使いである承太郎には、武器の有無はさして問題ではない。しかし翼に支給された『禁鞭』は明らかに
彼の手に余る代物だ。なにか代わりの武器を調達できればと考えてこの旅館に立ち寄ってみたのだが、この調子
ではどうやら空振りに終わりそうだ。
厨房を調べ終え、事務室に向かう。後ろから翼がついてくるのを確認しつつ、承太郎はこの『ゲーム』について
考えを巡らせた。

己の首に巻き付いている、鈍い光沢を放つ金属の環。
このくだらない茶番を企画した連中の鼻を明かしてやるためには、まずコイツをどうにかすることが必須条件だ。
承太郎のスタンド『スタープラチナ』の精密動作をもってすれば、首輪の中に仕込まれているという爆破装置を
解体することもそう難しいことではないだろう。
しかしそれは、爆破装置が『承太郎の知る世界の理』に沿って作られたモノならばの話だ。

承太郎はあの大広間で見た光景を思い出す。
わずかな運指のみで衝撃波を発し、口から光線を噴く禿頭の男―――確か『ナッパ』と呼ばれていたか。
『スタンド使い』とは異なる、承太郎の知る常識とは違った世界を生きる者が、このゲームにはたしかに存在している。
そしてナッパの攻撃を軽くいなしてみせた『フリーザ』という名の有角の怪人。百人からの人間(中には人間かどうか
怪しい輩もいたが)の首元に、瞬時にしてこの忌々しい金属の環を出現させてみせた『バーン』という老人。
首輪を介して『参加者』達の生殺与奪を握っているのも、得体の知れない力の持主達なのだ。
この首輪がいかなる法則のもとに成り立っているものか、それを見定めるまではヘタに手を出す訳にはいかない。
まずは『情報』を集めること。それが当面の目的となるだろう。

「待たせたな……じゃあ行くぜ」

承太郎が旅館内をあらかた調べ終えたのは一時間ほど後のことだった。収穫といえるのは何本かのボールペンのみ。
その半分を学ランのポケットに収めると、承太郎は残りを翼に差し出した。
「持っておけ。こんなものでも何かの役には立つ」
「ボールペン? なんだかよくわからないけどありがとう!」
屈託を感じさせない笑みを浮かべながら、翼はそれを受け取る。
「でも、行くってどこへ行くんだい?」
「東京だ。ちゃんとしたアテがあるわけじゃあないがな……おれ達が最初に集められたあの大広間にいた、
『竜の騎士』とか呼ばれていたガキを憶えているか?」

殺し合いを、してもらう―――あのバーンという老人にそう告げられたとき、誰よりも早くそれに反応し殴りかかった、
名も知らぬ黒髪の少年。
承太郎も翼も、自分達をこの異常なゲームに招き入れた者達のことを何一つ知らない。しかしあの『竜の騎士』という
少年は明らかにバーンと面識がある様子だった。彼からバーンに関する情報を得られれば、自分達を縛りつけている
この首輪を外すための突破口が開けるかもしれない。
それが承太郎の考えである。
「あのガキがどこにいるかは分からねえ。だが人が集まる可能性が高い場所といえば、都市だ。
あいつがおれ達と同じ世界の住人とは思えないが、人づてにでも『東京が日本で一番の都市だ』
と聞けば、東京を目指すかも知れねえ。あの状況、あのタイミングでバーンに殴りかかったって
ことは、あいつも『乗る気』は無いってことだからな……おそらく仲間を捜しているはずだ。」

そこでいったん話を止め、翼の反応を窺う承太郎。しかし返ってきた答は、どうにもズレたものだった。
「うん、あの男の子は凄い運動神経だったよね! 僕も彼が仲間になってくれたらと思っていたんだ!
彼ならきっと素晴らしい選手になれるよ!」
「……何だって?」
場違いなほど爽やかな笑みとともに発せられた、やはり場違いな翼の言葉に流石の承太郎も一瞬硬直してしまう。
「よし、これで目的地が決まったね! じゃあ一刻も早く東京に行こう!」
「いや、だから確証があるわけじゃあ……選手ってなんだ?」
承太郎の呆れた様子にも構わず、翼はすでに旅館の外へと駆け出していた。

「やれやれ……」
そう呟きながら承太郎は帽子を深く被り直す。
どうもこの青年の思考の中心には常にサッカーがあるらしい。この状況下で少々イカレてしまったのか、
それとも元からこういうヤツなのか。
どちらにしろ、彼が殺し合いに進んで加わるような人間でないことは確かだ。少々危なっかしいが、それでも
この状況で共に行動できる仲間がいるということは僥倖に違いない。
「どうしたんだいジョジョくん? さあ、早く行こう!」
承太郎を振り返り、翼が呼び掛ける。

「やれやれだぜ」
もう一度小さく呟くと、承太郎は翼の後を足早に歩きだした。





【新潟県南部/深夜】

【大空翼@キャプテン翼】
[状態]:健康(精神的にやや壊れ気味?)
[装備]:なし
[道具]:荷物一式、ボールペン数本、禁鞭@封神演義
[思考]:1 東京へ向かう 2 仲間を11人集める 3 主催者を倒す

【空条承太郎@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:荷物一式、ボールペン数本、らっきょ@とっても!ラッキーマン
[思考]:1 バーンの情報を得るべくダイを捜す 2 東京へ向かう 3 主催者を倒す


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