[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.7
2/4【こち亀】○両津勘吉 /○秋本麗子 /●中川圭一 /●大原大次郎
2/4【NARUTO】○うずまきナルト /○春野サクラ /●大蛇丸 /●奈良シカマル
3/4【DEATHNOTE】○夜神月 /○L(竜崎) /○弥海砂 /●火口卿介
3/4【BLEACH】●黒崎一護 /○藍染惣右介 /○更木剣八 /○朽木ルキア
3/4【ONE PIECE】○モンキー・D・ルフィ /○ニコ・ロビン /○ウソップ /●道化のバギー
1/4【銀魂】●坂田銀時 /●神楽 /●沖田総悟 /○志村新八
2/4【いちご100%】●真中淳平 /○西野つかさ /○東城綾 /●北大路さつき
2/4【テニスの王子様】○越前リョーマ /●竜崎桜乃 /●跡部景吾 /○乾貞治
3/4【アイシールド21】○小早川瀬那 /○蛭魔妖一 /○姉崎まもり /●進清十郎
1/4【HUNTER×HUNTER 】●ゴン・フリークス /●ヒソカ /○キルア・ゾルディック /●クロロ・ルシルフル
3/5【武装錬金】○武藤カズキ /○津村斗貴子 /●防人衛(C・ブラボー) /●ルナール・ニコラエフ /○蝶野攻爵(パピヨン)
1/5【SLAM DUNK】●桜木花道 /●流川楓 /●赤木晴子 /●三井寿 /○仙道彰
3/4【北斗の拳】○ケンシロウ /○ラオウ /○アミバ /●リン
2/4【キャプテン翼】○大空翼 /●日向小次郎 /●石崎了 /○若島津健
3/4【キン肉マン】○キン肉スグル /○ウォーズマン /○ラーメンマン /●バッファローマン
4/4【ジョジョの奇妙な冒険】○空条承太郎 /○ディオ・ブランドー /○エリザベス・ジョースター(リサリサ) /○ブローノ・ブチャラティ
2/4【幽遊白書】●浦飯幽助 /○飛影 /○桑原和馬 /●戸愚呂兄
2/4【遊戯王】○武藤遊戯 /●海馬瀬人 /●城之内克也 /○真崎杏子
1/4【CITY HUNTER】●冴羽リョウ /●伊集院隼人(海坊主) /○槇村香 /●野上冴子
4/4【ダイの大冒険】○ダイ /○ポップ /○マァム /○フレイザード
3/5【魁!!男塾】●剣桃太郎 /○伊達臣人 /●富樫源次 /○江田島平八 /○雷電
2/4【聖闘士星矢】○星矢 /●サガ /●一輝 /○デスマスク
2/4【るろうに剣心】○緋村剣心 /○志々雄真実 /●神谷薫 /●斎藤一
5/6【DRAGON BALL】○孫悟空 /○クリリン /●ブルマ /○桃白白 /○ピッコロ大魔王 /○ヤムチャ
4/4【封神演義】○太公望 /○蘇妲己 /○竜吉公主 /○趙公明
1/4【地獄先生ぬ〜べ〜】○鵺野鳴介 /●玉藻京介 /●ゆきめ /●稲葉郷子
4/4【BLACK CAT】○トレイン・ハートネット /○イヴ /○スヴェン・ボルフィード /○リンスレット・ウォーカー
2/4【BASTARD!! -暗黒の破壊神-】●ダーク・シュナイダー /○アビゲイル /●ガラ /○ティア・ノート・ヨーコ
1/5【ジャングルの王者ターちゃん】○ターちゃん /●ヂェーン /●アナベベ /●ペドロ・カズマイヤー /●エテ吉
3/4【とっても!ラッキーマン】○ラッキーマン(追手内洋一) /●勝利マン /○友情マン /○世直しマン
3/4【世紀末リーダー伝たけし!】○たけし /○ボンチュー /●ゴン蔵 /○マミー
77/130 (○生存/●死亡)
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
勝者のみ元の世界に帰ることができる。
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
開催場所は作られた「ミニ日本」であり現実世界ではない。海上に逃れようと閉鎖空間の壁にぶつかり脱出は不可。
【スタート時の持ち物】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランダムアイテム」
「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。
「地図」 → 白紙、禁止エリアを判別するための境界線と座標のみ記されている。
「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。 (デスノートへの記入含む)
「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
「名簿」→全ての参加キャラの名前がのっている。 (ただし写真なし。デスノート対策)
「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが一つ入っている。内容はランダム。
※「ランダムアイテム」は作者が「エントリー作品中のアイテム」と「現実の日常品」の中から自由に選んでください。
必ずしもデイパックに入るサイズである必要はありません。
また、イベントのバランスを著しく崩してしまうようなトンデモアイテムはやめましょう。
【「首輪」と禁止エリアについて】
ゲーム開始前からプレイヤーは全員、「首輪」を填められている。
首輪が爆発すると、そのプレイヤーは死ぬ。(例外はない)
開催者側はいつでも自由に首輪を爆発させることができる。
この首輪はプレイヤーの生死を常に判断し、開催者側へプレイヤーの生死と現在位置のデータを送っている。
24時間死者が出ない場合は全員の首輪が発動し、全員が死ぬ。
「首輪」を外すことは専門的な知識がないと難しい。
下手に無理やり取り去ろうとすると首輪が自動的に爆発し死ぬことになる。
プレイヤーには説明はされないが、実は盗聴機能があり音声は開催者側に筒抜けである。
開催者側が一定時間毎に指定する禁止エリア内にいると首輪が自動的に爆発する。
【放送について】
放送は6時間ごとに行われる。放送は魔法により頭に直接伝達される。
放送内容は「禁止エリアの場所と指定される時間」「過去6時間に死んだキャラ名」「残りの人数」
「管理者(黒幕の場合も?)の気まぐれなお話」等となっています。
【能力の制限について】
超人的なプレイヤーは能力を制限される。 また、超技術の武器についても同様である。
・攻撃制限例(ドラゴンボール)
エネルギー弾の威力→普通の拳銃レベル
かめはめ波の威力→マグナムよりは強い。大木が1本倒れるくらい。
元気玉の威力→……使えるのか?使えたとして、半径50m位のクレーターが出来る。
・耐久度制限例
一般人の強さを1として
一般人→1
超人→3(普通の銃では致命傷にならない。ショットガンクラスが必要)
人外→5 (拳銃程度なら怯むだけ。マグナムクラスで気絶)
・超人的な再生、回復能力を持つキャラの制限(※一般人には適用されません)
軽度の銃創…安静にしていれば数十分で癒える。
骨折…安静にしていれば数時間で癒える。
重度(目や肺)の銃創…安静にしていれば1日で癒えるが体力消耗
切断(腕や脚)…切られた部分をくっつけて置いて、安静にして丸1日を要する。
再生…瞬時に再生できるが体力を相当消耗する。 体力回復は1日や2日では無理
切断(胴や首)、銃弾心臓or脳貫通…シボンヌ
・魔法や気などの威力制限案
エネルギー弾の威力→普通の拳銃レベル。連発も可能。
必殺技の威力→木が1本倒れるくらい。けっこう消耗する。
超必殺技の威力→一般家屋破壊。消費も凄まじい。1日1発が限度。
【舞台】
主催者3キャラの作った仮想空間が舞台で
面積は東京23区の半分程度(80u)
地形は日本列島(沖縄県、他島は除く)
季節は北海道 冬 日本海側 秋
太平洋側 秋 九州、四国 夏
乗り物は列島の端と端をつなぐ無人蒸気機関車が定期的に走っている。
都市部はあるが無人。主催者側が人間の世界を模して作成したものなので
実際に生活できるようには作られていない。人の痕跡なし。ガス、水道、電気
食料なし。建物が密集しており隠れるのに最適……かもしれない。
海は移動禁止区域。入ると脱出者とみなされて首輪爆発。
【作中での時間表記】
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
【SSを本スレに投下する時の注意事項】
・書き手はあくまで『リレー小説』である事を考えてストーリーを書きましょう(整合性を考えて!)
・投下する際は他の人が考えてるSSと被らない様に、なるべくSSに出てくるキャラの予約をして下さい。
・予約の際、登場させるキャラは全て明記しましょう。他の人とのトラベルを避けるためです。
・予約の期限は3日まで。期間中に書ける自信がない人は無謀な予約は控え目に。
・SS投下後は修整を求められる事等があるため投下する時は『トリップ必須』です。
・基本的なルールは他のSS、まとめサイト、感想スレを一読して参考にして下さい。
「これが勝浦の那智の滝・日光の華厳の滝とともに日本三大瀑布の一つである、袋田の滝ね。
・・・綺麗だわ」
茨城県久慈郡大子町、日本三大瀑布の一つである袋田の滝。
その大胆な奔流と一様でない繊細な流れを下流から見上げ、
考古学者であるロビンは内なる思いを自分の言霊に乗せずにはいられなかった。
「やけに詳しいな」
「・・・これを読んだだけよ」
ロビンの吐露した言葉に驚嘆と賛美を重ねつつも、傍にいた男が肩を並べる。
するとロビンは一枚の紙切れを差し出した。
「なるほど。これなら一目散に逃げても各地の名所を頼りに場所が特定できるってわけか」
男がロビンから受け取った紙切れを開き、覗き込む。
「へえ。別名『四度の滝』とも呼ばれてるのか。
滝の流れが4段に落下するからそう呼ばれてるわけだな」
シルクハットにタキシードをエレガントに着込んだ男が、
“観光案内”と書かれた紙切れを下流で覗き込むという
なんとも混沌とした雰囲気を醸し出している間に、ロビンはさっさとその場を跡にした。
一拍おいて、男は顔を上げ、微笑みと共に木にもたれ掛かる。
いつものようにタバコをくわえようとして、タバコがないことにきずく。
バツの悪そうに頭をかきながらも、やはりその漢――スヴェンは笑っていた。
「待ってるぜ、相棒」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ロビンとスヴェンが袋田の滝に到着するまでの間に、二つの事が起こっていた。
ひとつは追跡途中に一度スヴェンがロビンを完全に見失ったこと。
(その間ロビンは駅前で観光案内×2get)
そしてもうひとつは・・・・・・・
「ねえ、トレイン君・・・」「ん?」
「何にも見えないよ」
所変わって、トレイン、杏子。杏子の調子もある程度まで回復し二人で昼食をとっている時
驚異的な視力を持つトレインは南方から駆けてくる女性を見つけた。
そのトレインが対象をはっきりと確認できない距離であるのに、
一般人の杏子には影も形も見えるはずがなかった
「おっかしいなあ。向こうから女の人っぽいのが走ってきてるように見えんだけど」
「トレイン君、視力は?」
「ん?確か・・・両方6.0だったと思うぜ♪」
「・・・どこの原住民よ」
二人が他愛もない会話をしているうちに、人影は二つになり、そのシルエットは大きく、
鮮明になっていった。
「ん?あの白い帽子は・・・・」
次第に杏子にも凝視できる距離まで二人は近ずいてくる。なんせ二人とも走っているのだ
「ん?あの女(ひと)は・・・・」
・
・
・
・
「「あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっ!!!!!!!」」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「あ・・・」
ロビンは袋田の滝でスヴェンから逃げ切った。しかし神はロビンに休息を与えなかった。
見紛うはずがない。その完璧なフォルム。
それは将に神が創り出した、否 神其の者か。
「ウヌとは、以前遭った事がある」
ロビンは動けなかった。以前操っていた勝利マン、スヴェンをもってしてもその
進行すら止められなかった男が、今やたった一人の自分の目の前に立っているのだ
「この拳王、一度楯突いたとはいえ無抵抗の女を嬲る拳は持たぬ」
「あらそう、よかった」
「近くに戦う意思を持つものがいるなら我は戦うだけ。ちょうどこの先の滝に男が見えたのでな」
「え?」
次の瞬間、ロビンは恐怖から空回りした頭脳より先に、体が動いていた。
まるでラオウの行く手を阻むかのように。
「・・・私は、死にたくない」
――――紳士道のおじさん、危ないわね
「ならば早々に立ち去れ」
――――彼が死ねば私は・・・独り?
「死にたくないけど・・・立ち去らない」
――――マタ、ヒトリ?
「ならばこの拳王、身にかかる火の粉は完全に叩き潰す」
――――男が女を守る。これを守れないっていうのは、俺の紳士道に反するんでな
――――ヒトリはモウ、イヤダ
「あら残念ね、あなたと戦う気はないのよ」
ロビンは腰に巻いた千年ロッドを素早く取り出すと、前方にかざす
「ぬうっ!!!」
たちまち金縛りに遭ったかのように、ラオウはきおつけの姿勢になる
「これはある女の子からいただいた支給品でね、先端についた眼球の装飾を相手にかざすだけで
相手を意のままに操ることができるの。問題があるとすれば、強大な精神力を」
「ぬわあああああっっっっ!!!!!!!!!!!!!」
憤怒にまかせたラオウの豪拳が、ロビンの腹部を貫いた。
一般人の眼にはそう写っただろう。しかし次の瞬間
ラオウの右拳には粉々に砕け散った千年ロッドが。
ロビンの腹部には彼女を抱えた男の腕が巻かれていた。
この状況を完全に把握した者は、この場には一人しかいない。
その全てを“予見”し、その総てを“支配”した漢。
その漢の名はスヴェン。スヴェン=ボルフィード。
「レディを傷つけるような真似は、関心しないな・・・
ま、悪く思わんでくれ。これを黙って見過ごすってのは、俺の紳士道に反するんでな」
【茨城県・袋田の滝下流/夕方】
【ニコ・ロビン@ONE PIECE】
[状態]健康
[装備]:アタッシュ・ウエポン・ケース@BLACK CAT
[道具]荷物一式(二人分)
[思考]1:混乱
2:アイテム・食料の収集
3:死にたくない
(千年ロッド@遊戯王は破壊されました)
【ラオウ@北斗の拳】
[状態]:胸元を負傷。出血は止まった。大きく傷跡が残る
右腕にダメージ /右手ただれ薬指小指喪失
[装備]:無し
[道具]:荷物一式 不明
[思考]:
1.新たな強者を求めていく
2.いずれ江田島平八と決着をつける
3.主催者を含む、すべての存在を打倒する(ケンシロウ優先)
【スヴェン・ボルフィード@BLACK CAT】
[状態]健康
[道具]荷物一式(支給品不明)
[思考]1:ラオウと戦う?
2:トレイン・イヴ・リンスと合流
【トレイン・ハートネット@BLACK CAT】
[状態]重傷(左腕に軽い擦り傷、右腕肘から先を切断。行動に支障はなし)
[装備]:ディオスクロイ@BLACK CAT(バズーカ砲。残弾1)
[道具]荷物一式
[思考]1:スヴェンを追う
2:杏子を守る
3:主催者を倒す
【真崎杏子@遊戯王】
[状態]健康
[道具]なし
[思考]1:ロビンを追う
2:遊戯と合流
琵琶湖の湖畔にある小屋にて星矢と麗子は口論していた。
四国へ行き太公望に会うという麗子を引きとめようと、星矢は必死に説得しようとしていたのだ。
星矢が麗子について行ければ少しは安心なのだが、麗子は星矢には越前に付いていてほしいと
頼んだことから話がこじれ、現在に至る。
越前はその様子を焦れったそうに眺めていたが、一つ溜息をつくとドアを開け外へ出た。
「あ、リョーマちゃん、待って!」
「もう待てないスよ。こうしている間にも時間は過ぎてくんスから。
俺は一人で大丈夫。それじゃ」
そういって自転車に乗って去っていってしまった。
「くそ、勝手な奴!」
「もう、仕方ないわね。何とか無事を祈るしかないか……」
今ならまだ星矢の足なら追いつけるのだが、星矢は越前よりも麗子の安全を優先したかったので
そのことは黙っていた。
「じゃあ私たちも四国へ出発しましょうか」
「俺たちがいない間ここに来てしまった人はどうするんです?」
もう麗子の行動は止められないと思っていたが星矢は悪あがきしてみる。
「そうね……琵琶湖まで来たのなら湖畔にあるこの小屋にもきっと気が付く筈だわ。
そういう人たちの為に置手紙を残しておきましょう」
無難な選択である。
麗子を気遣った星矢は手紙が自分が書くといい、麗子も特に反対しなかった。
そして置手紙は完成し、二人は小屋を後にして四国へと向かう。
この時、麗子は星矢の書いた手紙を確認するべきだったかも知れない。
しかし麗子は知人が二人も死んだことによる心労とこれからどうするかを考えることに没頭して
そこまで気が回らなかった。
その星矢は幼少の頃にギリシアへと送られ、それから6年間ずっとそこで暮らしていた。
そのため漢字が使えず、日本の文化にも疎かった。信じてもらえるようなるべく丁寧な言葉を使った。
その結果……
/
これはちゅうこくのてがみです
このびわこにきたひとにはふこうがおとずれます
あいぜんというひとがびわこにひとをあつめているのです
あいぜんはあくにんでひとをころしたりものをうばったりします
これはうそではありません ほんとうです
ぼくのともだちのいしざきさんはあいぜんとであったためしにました
このてがみをみたひとはなかまやであったひとたちにつたえてください
/
……まるで不幸の手紙のようであったという。
一方、大阪から名古屋を目指し進んでいた妲己、遊戯、カズキの三人は滋賀、三重との県境付近の
小さな山に差し掛かっていた。
迂回するほど高い山ではなかったのでそのまま進むことにする。
そしてしばらく登ると山頂でログハウスを発見した。
ログハウスは二階建てになっていて庭にはガーデンテーブルが置かれ、チェアも二脚あった。
「へぇ、居心地のよさそうな家だなぁ」
「そうねぇん、でも誰かが中にいるかも知れないわぁん」
遊戯の上げた感嘆の声に妲己が不安を被せる。
そこにカズキが名乗りを上げた。
「よし。それじゃ俺が中を調べてきます!」
「一人で大丈夫ぅん?」
「じゃあ僕も行くよ。妲己さんに危ない目には合わせられないから」
「頼もしいわん、遊戯ちゃん。それじゃわらわはここで待ってるから気をつけてねん」
仲間を思って遊戯もログハウス探索に手を上げ、妲己は庭で待つことになった。
人一倍鼻の効く妲己はログハウスの中に誰もいないことは既に分かってはいたが
そのことについては沈黙を護った。
その理由は――
妲己は二人がログハウスの中に入るのを確認するとおもむろに振り返った。
キルアはラーメンマンと分かれた後、東へと向かっていた。
そしてその途中、大阪府の県境付近でで妲己たちを発見したのだ。
キルアは絶を使い、彼女達を観察することにする。
マーダーであったなら容赦なく武器を奪い、無力化するつもりであった。
(もう、相手が何でも躊躇はしねぇ。ゴンの為に、他の参加者の為にマーダーは潰す)
大蛇丸相手に引いたことを斉藤に指摘されてからずっとキルアの頭の中にはそのことがあった。
強い相手と見るやすぐに勝つ気をなくしてしまう自分。
しかしそれはイルミの針を抜いたことで克服しているはずだ。
ゴンの脅威となるような奴は無力化させる。殺しはしないが眠ってもらうことにはなるだろう。
そんな決意を胸にキルアは木の上から枝葉に身を隠し、妲己たちの観察を続ける。
(あの薄紅色ってーかどピンクの髪の女……肌に張り付いたレオタードのような衣装といい
もしかして太公望の言ってた妲己って奴じゃないのか?)
藍染を倒した後の情報交換でキルアはその名を太公望から聞いていた。
利己的かつ残酷な性格で、自身の為ならどのような非情な行動も辞さないという。
『あの者は仙界でも比類ない強力な妖怪仙人でのう。奸智に長け、人を誘惑し操ることに秀でている。
傾世元禳がないとはいえその誘惑の術は 侮ることはできぬであろう。
彼奴ならばまず脱出を考えるとは思うが、もしもそれが不可能と判断したならば……
いかなる手段を用いてでも最後の一人となるに違いない。そして妲己の力ならばそれは不可能事ではなかろうよ。
それほどに彼奴は恐ろしい……知略も力ものう』
キルアは太公望の言葉を思い出す。
(そんな危険な奴なら尚更ほっとくわけにはいかない。だがどうする?
あれは仲間もいるようだし少なくともゲームに乗っているようには見えない。
何も知らない振りして接触して情報を探ってみるか?)
見ているとその仲間は女を残してログハウスの中に入っていく。おそらく中を調べに行ったのだろう。
(接触するなら今がチャンスか? どうする!?)
その時、女はおもむろにこちらの方を振り返った。
(ヤバ!)
慌てて木の影へと自身を滑り込ませる。
(絶を使っていたのに気付かれた? いや、偶然……?)
数秒で鼓動を落ち着け、おそるおそるもう一度女の方を覗いてみる。
(いない!?)
そう、既にログハウスの前には女の姿は影も形もなかった。
慌てて木の影から周囲を見回す。サワサワと枝葉が風にそよぐ。
(オレが身を隠してから再び覗くまでに約5.8秒。その一瞬で奴は姿を隠した。
マズイ、完全にオレの存在に気付かれてる。ここは離脱がベスト……)
「あはん、可愛い坊やねぇん。何を探しているのかしらん?」
(何ぃーーーー!?)
なんとその女はキルアのいる枝よりも上部の枝に腰掛けてこちらを見つめていた。
その妖艶な微笑みにキルアの脳は過去最大級の警鐘を鳴らす。
(オレがこの女から目を離してから声を掛けられるまで約9.1秒。ここからログハウスまで約29.7m。
その間にオレに気付かれずにそこに移動したっていうのか!?)
「わらわは見せるのは好きだけど、勝手に見られるのは好きではないのぉん。
わらわたちを監視していた理由、教えてもらえるかしらぁん」
「……何で、オレがいるってわかったの?」
相手は敵意を見せていない。しかし、にもかかわらずキルアの頭の中の警鐘は鳴り止むことはなかった。
女はクスクスと笑うと鼻の頭を人差し指で触れた。
「匂い、よん。わらわは匂いに敏感なのぉん。
フィトンチッドに紛れて人の汗と血の臭気が流れてきたから吃驚したわぁん。
さぁ、それであなたはだぁれ?」
「……オレはキルア。今までずっと一人でさ。仲間にして貰いたかったんだけどあんたたちが殺人者かも知れないって
思って……しばらく様子みてたんだ。でもそうじゃないっぽくて安心したよ」
キルアも笑って頭を掻く。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイ、こいつは危険だ。ここは何とかして切り抜けないと……)
「あらん、そうだったのぉん。ならわらわは大歓迎よぉん、わらわの仲間もきっと喜ぶわん♪
わらわは蘇妲己。今ログハウスを調べているの可愛い男の子が二人、仲間にいるわん。さぁ」
そういうと妲己は飛び降りて、無造作にキルアに背を向けてログハウスへと歩き始めた。
キルアもそれに続いて飛び降りる。
(やっぱり、妲己だった。今アイツは無防備だ。そしてログハウスに仲間がいる。
ここから反対方向に全力で逃げ出せばおそらく奴は追ってこない。ここは……)
その時、キルアの脳裏に斉藤の言葉が甦る。
『貴様は臆病者だ』
『ゴンとやらが心配なのにもかかわらず大蛇丸には手を出さなかった。
それは勿論自分の身に危険が及ぶ可能性が高いから。
しかも俺達に何らかの奥の手があるとも考えていたのに、尋問をそれよりも優先させた。
そこから貴様が実力の違いだけで大蛇丸を通過したのではなく、奴の威圧感に押されたことが予想される。
要するに奴から尻尾をまいて逃げたわけだ、貴様は』
『自分の仲間が襲われていると考えたら居ても立ってもいられない、そんなお人好しばかりと出会ったが、
貴様はそうじゃない。見えないところのお友達よりこの場の自分と安全のほうが大切な人間だ。
このことから貴様の臆病さがよく分かる』
( 違 う ! )
キルアは大きく頭を振る。
(大蛇丸から逃げたのはイルミの針に呪縛されていたせいだ!
コイツを野放しにすればゴンが危険なことも良くわかってる! だったらオレが取る行動は一つ!)
命を懸けてでもコイツをこの場で仕留める! コイツは妖怪。人間とは相容れない別の生物だ!
キルアはザックからベンズナイフを取り出すと無防備に背を晒して歩く妲己に向けて斬りかかった。
しかしその一撃は一瞬で宙に飛び上がった妲己を捕らえきれずに空を切る。
「あらぁん、せっかくお友達になれると思っていたのに……残念だわぁん」
妲己もまた打神鞭を取り出した。
「遊戯は2階を調べてくれ。オレは一階を調べてみる」
「うん、わかったよカズキくん」
二手に別れてログハウスの探索を開始した武藤ズだったが、カズキはこのログハウスに人がいないだろうことには
もう感づいていた。だからこそ遊戯を一人にすることができたのだ。
人がいなくても何か役立つ物が残ってるかもしれない。だったら二手に別れて効率よく探した方がいいというのが
カズキの判断だった。
部屋を一つ一つ調べていくが、武器になりそうな物や水、食料などを見つけることはできなかった。
厨房にまで何もなく、カズキはがっくりと肩を落とした。
この分では2階を調べている遊戯の成果も期待できないだろう。
遊戯を呼んで妲己のところに戻ろうかと、窓から彼女の姿を確認しようとした。
(妲己さんがいない?)
窓を開け身を乗り出す。するとどこからか連続して金属音が響いてきた。
(戦ってる? 助けなきゃ!)
窓枠に足を掛け、ふと遊戯に知らせるかどうか迷う。
しかしもし妲己が殺人者に襲われているなら遊戯はここにいた方が安全だ。
カズキは迷いを振り切って、妲己を救いに窓から外へと飛び出した。
(くそ、コイツ戦う気がないのか!)
キルアは常人には捕らえきれない速さでナイフを振るうが、
妲己は余裕の表情を崩さずにその全てを回避し、あるいは打神鞭で受け止めていた。
しかし妲己は先ほどから防御一辺倒で全く攻撃に転じようとしない。
キルアは思う。妲己は強いが体術そのものに関してはそう自分と大差はない。
相手が余裕を見せているうちにカウンターで爆砕符を貼り付けるか、ベンズナイフの毒で勝負をつけるのが
キルアの戦術だった。しかし鉄壁の防御を崩さない妲己には未だ傷一つつけられないでいる。
(チ、時間を稼いで仲間が来るのを待つつもりか?)
仲間に来られれば自分の形勢は一気に不利になる。キルアは焦り始めていた。
魔弾銃は間合いを取らないと使えない上に普通に撃っても妲己に当てられるとは思い難い。
長剣クライストは自分の身長では最も扱いにくい武器だ。
ベンズナイフと爆砕符。そして自身の念能力のみが今使える全ての武器だった。
(くそ、どうすればコイツを崩せる? 考えろ!)
(あらあら、思ったよりも強いのねぇん。本当もったいないわぁん、カズキちゃんたちより役に立つと思うのに。
やっぱり太公望ちゃんあたりからわらわのことを聞いていたのかしらん。)
妲己も笑みは浮かべているものの決して余裕があるわけではなかった。
キルアの激しい攻撃に防御に徹することで何とか無傷を保っていたがそれがこれからも続く保証はない。
(この子の攻撃は急所を狙うことではなくわらわの手や足にかすり傷さえつければいいという攻撃ねぇん。
つまりあのナイフには毒が塗られている可能性が濃厚。絶対に受けるわけにはいかないわん)
そんじょそこらの毒ならば無力化する自信が妲己にはあったが妙に力を制限されているこの世界で
あまり自分の力を過信するわけにはいかない。
妲己は待っていた。時間を稼ぎながら状況に変化が訪れるのを。そしてその時は近い。
(この分ならあまり力を使わなくても済みそうねぇん)
妲己は薄く笑った。
今まで風を撃たなかったのは力を温存するためである。
幾度目かのナイフを打神鞭で受け止めたとき、妲己は大げさな動きで後ろへと自ら飛んだ。
「きゃあん、やられちゃったわぁんっ」
「んな?」
これにはキルアが驚いた。妲己は倒れ、無防備な姿を晒している。
罠か、と身構えた瞬間キルアはこちらに近付いてくる気配に気が付いた。
(マズイ、気付くのが遅れた!)
「妲己さん!」
木陰からカズキが現れ、ドラゴンキラーを振りかぶってキルアへと打ちかかった。
ギィンッ
それをベンズナイフで受け止め、キルアは瞬時に間合いを取る。
「妲己さん、大丈夫ですか!?」
「ええ、何とか大丈夫よぉん……ありがとうカズキちゃん」
「あいつは?」
「仲間になりたいって言うからカズキちゃんたちの所に連れて行こうとしたらいきなり斬りかかってきたのぉん。
怖かったわぁん……あの子、このゲームに乗っちゃったのねぇん……」
カズキはグッと歯を喰いしばるとキルアを睨んだ。
(もうブラボーのような思いは……妲己さんや斗貴子さんはオレが護る!)
「ゲームに乗っているなら容赦はしない! とッ捕まえてふん縛ってやる!!」
咆哮とともにカズキはキルアへと攻撃を仕掛けた。
先ほどの妲己との攻防とは逆に今度はキルアのほうが防御一辺倒になる。
カズキが手強いのではない。キルアは戸惑っていたのだ。
(なんだコイツ? 妲己の仲間だから強いのかと思ったけど……。
一般人にしては戦るほうだけど、これならまだあの沖田とか斉藤って奴らのほうがマシだ)
拍子抜けしたがこれならまだ充分勝算はある。この男も妲己に騙されているだけのようだから殺す必要はない。
キルアはカズキの攻撃を掻い潜り、懐に入るとカズキの鳩尾に掌底を撃った。
「イズツシ!」
バチィッ!
まるでスタンガンのようにカズキの身体に電流が奔る。
「くぁあ……」
カズキは全身の筋肉を収斂させ……成す術なく倒れていく。
(電撃……スタンガン? 駄目だ、ここで倒れたら妲己さんが……)
目に映る地面はスローモーションで近付いてくる。
(せめて核鉄があれば……武装錬金が使えれば……)
自分の心臓にはある。しかしこの世界では自分の核鉄を使って武装錬金を行うことはできなかった。
(駄目だ! そんなこと言ってる場合じゃない! 戦うんだ!
立ち上がって妲己さんを、斗貴子さんを護る為に!)
ドクン、と鼓動が鳴った気がした。
ドサッと音を立ててカズキの身体が地面へと落ちる。
キルアはもうカズキには目もくれずに妲己の方へと身構えていた。
「本当に何にもないね……これじゃ一階も似たようなものだろうなぁ」
(ああ、でもまだあそこのサロンは調べてないだろう、行こうぜ相棒)
「うん」
ログハウスの二階を調べていた遊戯は、全く成果を上げられず落胆していた。
「せめて僕にも使えるような武器があったらなぁ」
たいした期待も込めずにサロンの扉を開く。
花瓶、カーテン、ティーポット。やはり武器や役立ちそうなものは置いていない。
「テーブルの足でも折って棍棒にしてみようかな」
(止めたほうがいいな、生兵法は怪我の元だ。自分に出来ることをしっかりと考えることが大事だぜ、相棒)
「……うん、あれ?」
部屋の中央に置かれている円卓にトランプが置かれているのを見つけた。
「これ役に立つかな?」
(ああ、目印にもなるし合図や暗号なんかにも利用できるかもな。持っておいて損はないだろうぜ)
「そうだね、じゃあ持って行こう」
遊戯はトランプをポケットに入れると、妲己の元に戻るべく階段に向かった。
――それに……闇のゲームにも使えるかもな……
その裏の遊戯の呟きは遊戯に聞こえることはなかった。
妲己の思惑はキルアとカズキが打ち合っている間に打風刃でキルアをピンポイント攻撃することだった。
カズキの力ではキルアに抗しきれないのは解っていたが、しばらく撃ち合えばキルアの隙を突けると思っていた。
しかし、カズキはキルアの電撃によってあっさりと崩れ落ちる。
(あらあら、キルアちゃんがあんな技を持っていたのは驚いたけどカズキちゃんも随分と情けないわねぇん。
やっぱり武装錬金のない錬金の戦士というものは期待できないのねぇん……仕方ないわぁん)
妲己は打神鞭を構え、力を込める。多少の消耗は覚悟して全ての力を持ってキルアを屠ることに決めたのだ。
風が、渦巻き始め……そして止んだ。
(あらぁん?)
妲己は打神鞭を下げた。
カズキが再び立ち上がったのに気付いたのだ。しかしその姿は――
(電撃を見せたのは不味かったか? いや、格上相手に出し惜しみしてもしょうがねぇ!
ここは全力でいく!)
ナルカミ―落雷―で妲己の動きを止め、爆砕符で勝負を決める。
キルアは瞬時に戦術を組み立て、いざ飛び出そうとしたその時!
ドシュウゥウウッ!!!
キルアの全身から蒸気のようにオーラが溢れ出し、吸い取られていく。
「な、何だよコレ!?」
物凄い勢いで消耗していくのに驚愕するキルア。
(な、何だ? オーラを吸い取る能力者?)
振り向く、そこには一人の少年が立っていた。
淡く光る蛍火の髪、熱を帯びた赤銅の肌、先ほどまでのカズキとは全く違うカズキ。
黒い核鉄を命にしたことで人間とは全く別の存在へと武藤カズキが変化した姿。
最初にこの姿に変化したものの名をとってヴィクター化と呼ばれる状態であった。
この状態に変化したカズキはヴィクターIIIと呼ばれる。
強い意志の力と共にカズキはキルアを睨んだ。
「この力は……使いたくなかった。でも、こんな力まで制限されていて良かった。
そのおかげで妲己さんにまでエネルギードレインが及んでない」
本来のエネルギードレインは一般的な学校校舎全体に及ぶほどの広い効果範囲を持つ。
しかしこの世界ではカズキの周囲7〜8m程までに抑え込まれていた。
「う、うおおおおおお」
「エネルギードレインを君一人に集中する。死にはしないけどしばらくは身動きも取れなくなる……」
「こいつ、人間じゃ……ない!?」
急激に身体から力が抜けていき、がっくりとキルアは膝を突く。
ふと妲己を見ると薄っすらと笑みを浮かべて楽しそうにキルアを見つめていた。
(カズキちゃんがこんな隠し玉を持っていたなんて……黙っているなんて水臭いわぁん。
でもこれで面白くなってきたわねぇん♪)
その妲己の冷たい瞳を見てキルアは確信する。
(ヤバイ、コイツに殺す気がなくてもこんな所で倒れたら妲己に殺される!)
この期に及んで四の五言っていられない。
殺 ら な け れ ば 殺 ら れ る !
「悪いけどオレまだ死ぬわけにはいかないんだよねっ!」
キルアはオーラが空になる前に勝負を仕掛けた。
ナイフを鞘に収めると肉体操作で爪を伸ばし、硬化させた貫手でカズキの心臓を貫く!
電撃のダメージから回復しきれていなかったカズキはかろうじてキルアの腕を掴むが、
攻撃を止めることまでは出来なかった。
「ぐあぁっ!!」
カズキの胸に沈み込んだキルア手は心臓ではなく何か金属製の板片を掴み取る。
(心臓がない! コイツやっぱり人間じゃない!!)
それがキルアの最後の躊躇を払拭させた。
渾身の力を込めて金属片を引き摺りだす。
「ガッ、ハ……」
小さく喀血し、彼の命そのものである黒い核鉄を奪われたカズキは崩れ落ちる。
――キミと 私は 一心同体だ ―― …
(斗貴子さん……ゴメン、約束、守れな……)
倒れる勢いに任せてカズキは最後の力を振り絞りキルアにしがみつく。
(……妲己、さ……今のうち……逃げ……)
―――――――――
最期まで……他人の身を案じながら、武藤カズキはその短い生涯を終えた。
「く、そ……! 離れろ!」
エネルギードレインによって大半のオーラを吸収されていたキルアは力が思うように入らず
しがみ付いてきたカズキを振りほどくのに数瞬の時間を要する。
そして妲己にとってその数瞬は絶好の攻撃の機会だった。
「うう、立派だったわぁん、カズキちゃん。その死は無駄にはしないから安心してお休みなさぁい!」
「疾ッ!!」
妲己の振るう打神鞭から風の刃が撃ち出される。
完全回避不可能なタイミングで迫る風の刃をキルアは咄嗟に左手を翳して受け止めた。
ボギッ、メキッ ボリボキ……
残り少ないオーラを全て左手に収束させる「硬」を使って受け止めたものの
打風刃の威力を打ち消すには及ばずキルアの指から肘、肩までの骨が連鎖的に砕ける。
そしてその威力に足が踏ん張りきれずその場から10mほども飛ばされてしまった。
「ぎぃッ……」
激痛と叫び声を必死に堪えてキルアは起き上がる。
妲己は追い討ちをかけようとこちらに向かって駆け寄ってきていた。
(く、このままここにいても殺されるだけだ。ゴンを護るためにはオレはまだ死ねないんだ!
悔しいけど逃げるしかない!)
キルアは足元の石ころを拾うと片手で器用に爆砕符を巻きつけ、それを妲己に向かって投げつけた。
爆砕符は貼り付けてから時間経過で起爆するが、衝撃を受けた際はその瞬間に起爆する。
これで妲己が倒せるなどとは思っていないが何とか逃げる時間は稼げるはずだ、とキルアは判断する。
しかし妲己は向かってくる石礫に気付くと傍にあった「モノ」を拾い上げ、投げつけた。
それは……カズキの死体。
空中で石礫と接触した瞬間、爆発が起きる。
カズキの身体は砕け散り、爆発の衝撃から妲己を護った。
妲己は風を操作して爆風からも身を護り、一瞬の溜めの後もう一度打神鞭を振るう。
「疾ッ!」
風のリング、打風輪が爆煙の間を縫ってキルアへと襲い掛かった。
「ち、くしょぉお!」
ザ ン ッ
打風輪はキルアの右腕を二の腕から切断し、その地に落とす。
キルアは倒れ、懐から黒い核鉄が零れ落ちた。
しかしキルアは正真正銘最期の力を振り絞って立ち上がると今度こそ一目散に逃げ出す。
「逃さないわぁん!」
「妲己さん!」
追撃しようとした妲己だが、横合いから掛けられた声に動きを止め振り向いた。
声を掛けた相手は……。
「……遊戯ちゃん」
そこには信じられないといった表情で妲己を見つめる遊戯が立っていた。
キルアは走る。
生き延びる為に、生き延びてゴンを護る為に。
オーラを殆ど消耗してしまい体が鉛のように重い。
後ろも振り返らずにただ走る。
右腕から血が滴るが、左腕も使い物にならないため止血もできない。
魔弾銃のベホイミを使おうにも銃を撃つこともできない。
意識が朦朧とし、今にも倒れて気絶してしまいそうだが強靭な意志の力で彼は走る。
誰かを見つけて助けてもらうしかない。今の自分の状態では信用できるか等とは言っていられない。
(友達なんだ……やっとできたオレの友達なんだ! 護りたいんだ!!)
その為に生き延びるのだ。
そして森を抜けた所で彼は一人の少年を見つけた。
森から飛び出し、キルアは少年へと迫る。
キルアは口を開いたが、それは声にならずただ空気が漏れ出るだけだった。
「ちぇ、ついてないなぁ……」
越前リョーマはそう悪態を吐き、チェーンの外れた自転車を修理している。
滋賀県と大阪府の境でチェーンが外れてしまったのだ。
「結構時間食ってるし、早く直さないと」
いつ襲われるとも限らないし、と一人ごちようとした所で
森から「何か」が越前に向かって飛び出してきた!
「う、うわぁっ!」
反射的に立ち上がり、傍に置いてあったラケットを掴み取り構える。
森から飛び出してきたのは自分と同じくらいの少年。
しかしその鬼のような形相で大きく口を開き、自分に向かって駆けて来るその様は
越前に襲い掛かってきていると錯覚させるには充分だった。
ラケットを振るった。
ガツッ
越前は何かを叫び、恐怖に混乱しながらラケットを振るい続けた。
最初の一撃で鎖骨を折られた。
次の一撃で頬骨が砕けた。
全くオーラを出すことができないキルアは常人以下の防御力しか持たない。
鍛え上げられた身体といえども、ボロボロの身体では越前の攻撃をどうすることもできなかった。
――おい……ちょっと待ってよ……マジかよ……
オレはゴンをまもらなくちゃいけないんだよ……頼むよ……オレは……
頭蓋骨が陥没する。
額が割れた。
―― 待ってくれよ…… ――オレは……ゴンを……、光……光が見える……ゴン、おまえなのか……?
ゴン……オレも…… 一緒に ―――
「ハァ、ハァッ、ハッハァ、ハァ……」
呼吸を荒げ、越前はもう動かなくなった少年の死体を見下ろしていた。
(なんだ……これ?)
(この子、本当にオレに襲い掛かってきたの?)
呆然と血に濡れたラケットを手にしたままキルアの死体を見つめる。
(腕がない……この子、襲ってきたんじゃなくてホントは助けを求めてたんじゃないの?)
「……オレ、なんてことを……」
どうすればいいのか分からず越前はただ呆然とその場に立ち尽くしていた。
【滋賀県 琵琶湖畔の小屋→四国へ/午後】
【星矢@聖闘士星矢】
【状態】健康
【装備】なし
【道具】食料8分の1消費した支給品一式
【思考】1、麗子と共に四国へ行き、太公望達と合流。 藍染の計画を阻止
2、藍染、ハーデス達を倒す。
【秋本・カトリーヌ・麗子@こち亀】
【状態】部長、中川の死による精神的ショック(中)
【装備】サブマシンガン
【道具】食料8分の1消費した支給品一式
【思考】1、四国へいき、太公望達と合流
2、藍染の計画を阻止
3、主催者の打倒。
【滋賀県と大阪府の境(三重寄り) /午後〜夕方】
【越前リョーマ@テニスの王子様】
【状態】少々の疲労 空腹
【装備】血に濡れたテニスラケット、チェーンの外れた両さんの自転車@こち亀、線路で拾った石×4
【道具】荷物一式(半日分の水を消費)
サービスエリアで失敬した小物(手ぬぐい、マキ○ン、古いロープ
爪きり、ペンケース、ペンライト、変なTシャツ )
【思考】1:茫然自失
2:大阪へ向かい新八を探す
3:情報を集めながらとりあえず地元である東京へ向かう。
4:仲間(乾、跡部)との合流。
【滋賀、三重の境にある小山/午後〜夕方】
【蘇妲己@封神演義】
[状態]健康
[装備]打神鞭@封神演義 魔甲拳@ダイの大冒険
[道具]荷物一式(一食分消費) 黒の章&霊界テレビ@幽遊白書
[思考]1:キルアの追跡を諦め、遊戯と話す
2:仲間と武器を集める
3:本性発覚を防ぎたいが、バレたとしても可能なら説得して協力を求める
4:ゲームを脱出。可能なら仲間も脱出させるが不可能なら見捨てる
【武藤遊戯@遊戯王】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]荷物一式(一食分消費)
[思考]1:妲己に事の次第を問いただす
2:ゲームを脱出するため仲間を探す(斗貴子・杏子を優先)
3:ゲームから脱出し元の世界へ帰る
[闇遊戯の思考]:妲己の警戒を続けるが、妲己が善人ならばと希望を抱いている。また『闇のゲーム』執行を考えている
【キルア@HUNTER×HUNTER死亡確認】
【武藤カズキ@武装練金死亡確認】
【残り75名】
キルアの道具とカズキの道具はその場に放置されています。
(爆砕符×2@NARUTO、魔弾銃@ダイの大冒険、中期型ベンズナイフ@HUNTER×HUNTER、
クライスト@BLACK CAT、魔弾銃専用の弾丸@ダイの大冒険:空の魔弾×7 ヒャダルコ×2 ベホイミ×1
焦げた首輪、荷物一式 (食料1/8消費))
(黒い核鉄III@武装錬金 ドラゴンキラー@ダイの大冒険 荷物一式(一食分消費))
状態表修正
【武藤遊戯@遊戯王】
[状態]健康
[装備]トランプ
[道具]荷物一式(一食分消費)
[思考]1:妲己に事の次第を問いただす
2:ゲームを脱出するため仲間を探す(斗貴子・杏子を優先)
3:ゲームから脱出し元の世界へ帰る
[闇遊戯の思考]:妲己の警戒を続けるが、妲己が善人ならばと希望を抱いている。また『闇のゲーム』執行を考えている
街道の真中には右拳を突き出した拳王が。
その右拳の数m先には女性を抱きかかえた紳士が。
互いにその存在を認め、睨み合っていた。
(さて、どうするかな・・・
正直ギャンザみたいなタイプはあまり得意じゃないんだが、
ロビンを連れて逃げ切れるとも思えない・・・仕方ない)
「ロビン、途中で通り過ぎた二人組がいただろ?一人が俺の相棒でな。
多分こっちに向かってるはずだから、とりあえずそこまで逃げな」
スヴェンは抱えていたロビンを下ろすと、今まで見せていた
スケコマシのような態度が一変、険しい表情になる
「え・・・!?紳士さんはどうするの?」
「アイツは俺が、引きつける」
「そんな・・・無理よ」
「早く行け!!」
怒号を放つスヴェンの背中が、ロビンには彼らの背中と重なる。
剣士と。砲撃手と。コックと。航海士と。医者と。・・・そして船長と。
――――ああ。そうだった。
私は死にたくない。私は誰にも裏切られたくない。
でも彼等は・・・そして目の前の男は・・・
「私を・・・守ってくれるの?」
「・・・ああ。」
次の瞬間。
ロビンはスヴェンと肩を並べた。スヴェンにケースを差し出しながら
「何してんだ」「・・・苛つくのよ。あなたも、前の男も」
スヴェンはケースを受け取りながら、訝しげな顔でロビンを見る。
「私はね、賞金首なの。皆して私を舐め過ぎよ」
「そりゃあ悪かったな。じゃあロビン。
・・・そういうことでいいんだな?」
「ええ。女だから手を出さないですって?絶対承知しない」
「ははは、威勢のいい事で」
危険な状況下で掃除屋と海賊は手を組んだ。たとえそれが
無謀な挑戦であっても。ただ自尊心を守るためだけに。
「ウヌには北斗七星の脇に輝く星が見えるか?」
均衡を破ったのはラオウだった。
ヨーコの治療があったとはいえ、胸元にはV字の傷跡に二つの弾痕。
そして右手は爛れ薬指、小指は激しい損傷。決して万全とはいえない。
しかし目の前には二つの壁。覚悟を決めた堅固な壁。
立ち向かわずして何が拳王か。
打ち砕かずして何が世紀末覇者か。
ラオウに撤退の二文字は無かった
「いってる意味が分からないな。そんなことより、
先に言うべきことがあるだろ?レディを傷つけた罪は重いぜ」
「フン、歯向かう者は倒すだけよ」
ラオウは両足に力を込めると、闘気を放ちながら突っ込んできた
「・・・屑が。行くぜロビン、サポート頼む」「・・・分かった」
ラオウはすぐさま間合いを詰めると、拳を唸らせスヴェンに打ち込む。
スヴェンは愛用のケース――アタッシュ・ウエポン・ケースを構え、
後方にジャンプ。完璧なタイミングでラオウの豪拳をかわした。
スヴェンは後方に飛び退きながらケースを右手で構える。
ガコン、という音と共にケースの側部からマシンガンの銃口が覗く
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!
「ぬうっ」
予想外の攻撃に驚きながらも、ラオウは瞬時に側転で左に逸れる。
「六輪咲き(セイスフルール)!!」
二人が神速の攻防を行っている間に、
距離を取りチャンスを伺っていたロビンがラオウの四肢を絡めとる。
しかしラオウはそれをものともせず強引に払い退ける。
「フン、ぬるいわ!」
だが、六本の可憐な腕に気をとられたわずかな隙を、スヴェンは見逃さなかった。
ボシュッ!
ケースから射出された“ソレ”は、ラオウの元に飛んでいった
否、ラオウの目には“覆い被さった”ように見えただろう。
なぜなら飛んできたソレはロビンに気をとられている隙に上空まで飛んできて、
ラオウが見上げた時にはソレが鈍色の錘にかこまれた鉄製のネットに展開されたのだから。
「捕縛ネット・・・その網からは、簡単には逃げられないぜ」
「ぬるいと言うのが、分からぬかあぁぁっ!!!」
小細工無用、ラオウはその闘気のみで鉄製の捕縛網を引きちぎった。
「すごいなアンタ。でもこの電磁ムチを喰らっても、その余裕は保てるかい?」
スヴェンはそれを見越したかのように、ラオウの元へ一本のロープを射出する。
網を解くために両腕を大きく広げたラオウの胸元へそれは飛んでいく。
その到達点は勝利マンと浦飯幽助が作った傷跡。即ち胸部。
普段のラオウにはダメージすら与えられないかもしれないそれは、
能力制限を含めた様々な奇跡が重なり、ラオウの胸に届いた。
バチバチバチバチィッ!!!!!!!!
「ぐをおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!」
「倒れろこの野郎ォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!」
(頼むぜ、こっちはもう限界なんだ!)
ラオウの雄たけびが。スヴェンの怒号が。森じゅうに響き渡る。
「杏子、すぐそこみたいだぜ。そのロビンて娘も俺の相棒も。聞こえたろ?」
「今の叫び声・・・ねえ、二人とも何があったの?」
トレインと杏子は、ロビンとスヴェンを追って来ていたが、予期せぬ轟音に戸惑っていた
「敵が現れたと見て間違いないだろうな」
「そんな・・・どうすれば」
「いいか杏子、あそこにログハウスがある。
いまから杏子は一目散にあそこへ向かって走れ。これから俺が様子を見てくるから
すべて片付いたら迎えに行く」
「けど・・・」
躊躇する杏子に自分の荷物一式を預けると、
トレインはウルスラグナを左手に抱え、轟音の方角へ向かっていこうとした。
「荷物、頼んだぜ」「ま、待って。ログハウスにトレイン君以外が来たらどうするの?」
杏子の問いも最もである。もうすぐ日が沈むというのに、暗いログハウスでは
人の識別は難しく、戸を開けるにしても分厚い扉越しには声が伝わりにくい。
「う〜ん・・・じゃあこうしよう、この首にかかってる鈴の音を鳴ら・・」
リン――――――リン。
「?」
「どうしたの?」
「いや、なんでもねえ。ログハウスの前で鈴の音を鳴らした奴が
俺、あるいは俺の仲間だ」
「トレイン君以外?」
「ああ。もしもってこともあるしな」
「トレイン君、何を言ってるの?」
「じゃあな、杏子。戸締りはしっかりしとくんだぞ」
「待って、トレインく・・・」
次の瞬間、トレインは杏子の前から姿を消した。
黒猫が森の中を駆ける。信頼する相棒の下へ。未だ見ぬ強敵を感じながら。
(ちくしょう、俺が行くまで間に合えよスヴェン。お前がいなきゃ、
主催者に不吉を届けられねえ。首輪が唯の爆弾なら冷凍弾“フリーズブレット”さえ
見つければどうにかなると思ってたんだが、どうやらこいつはもっと精巧らしい。なんせ、
盗 聴 器 ま で つ い て る ん だ か ら よ ! )
黒猫は森の中を駆ける。信頼する相棒の下へ。未だ見ぬ危機を感じながら。
「嘘だろ・・・」
「フン、この拳王にはいかなる小細工も通用せぬ」
スヴェンは電磁ムチに電流を流しつづけた。
その行程を終えてなお、拳王は立っていた。驚愕する二人を尻目に、ラオウは
先ほどと全く劣らぬ動きで向かってきた。
(さっきまでの戦いで、俺とコイツのスピードはほぼ互角。
だから攻撃もなんとか見切って避けられたし、タイミングよく攻撃も当てられた。
当たり前だよな。支配眼“グラスパーアイ”を使ってたんだから)
支配眼とは、自身への体への負担が大きいが、
目に見えるすべての動きを支配してスロウにし、そして自分だけが
普段に近い感覚で動くことができるというスヴェンの切り札である。
その中で、スヴェンとラオウのスピードがほぼ互角だったなら、連続使用が不可能な
者に勝ち目など無い。
ラオウの神速、神域の豪拳が迫る。スヴェンはその拳に全く反応できず、庇う様に出した
ケースに拳が叩き込まれる。
「ぐおっ」「紳士さん!!」
その衝撃でスヴェンは数m吹き飛ばされる。転がりながらもスヴェンは必死で体制を整える。
「もう終わりか。さっきの勢いはどうした」
眼前にせまるラオウ。
「紳士さん大丈夫!?」
「へっ、俺はたいしたダメージを受けちゃいないし、
このケースがあるかぎりアイツの攻撃は何度でも防げる」
「ほう、そのケースでか?」
スヴェンが右手を見るとその先には、先ほどの攻撃で粉々に砕け、拉げた鉄の塊だけがあった
「う・・・」
「つまらぬ小細工ばかりであったが、その勝利への執念、敵ながら見事であった」
スヴェンに豪拳が振り下ろされる。
「三十輪咲き(トレインタ・フルール)!!」
ラオウの体中に生えた無数の腕が防害する
「ハング・・・」
「邪魔をするな!!」
しかしロビンの技は終焉を迎えることは無く、逆に彼女が終焉を迎えた。
ラオウの矛先はロビンに向かい、矛は彼女の体を貫いた。
防御する暇すら与えず、ロビンの肋骨は全て砕け、血を吐きながら、泥のように蹲った。
やがて、ピクリとも動かなくなった
「ロビン・・そんな、ロビーーーンッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「そう悲しむな。女もお前もよくぞ我に臆せず立ち向かった。
その心意気やよし!この拳王と拳を交えた事、あの世で誇るがいい」
膝をつき項垂れるスヴェンにさえ、容赦の無い鉄槌が迫る。
そしてラオウは全てを終わらせるべく、右手を高々と上げた。
「・・・この一発は、強力だぜ。」
ラオウのちょうど二の腕の辺りに、光速の鉄球が“撃ち放たれた”。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッッッ!!!!!!!!!!!」
ラオウと鉄球は一体となり、幾つもの木々を突き破り飛んでいった。
スヴェンには全てが理解できた。完璧な射撃。見たことのある光線弾道。
「・・・トレイン。」
「よっ」
付近の木の枝に乗っていたトレインは、スヴェンにいつもの笑みで手を上げた。
「遅ぇよ馬鹿」
「何ぃ?助けにきてやったのに馬鹿とはなんだ馬鹿とは」
「・・・そうだ、ロビン!!」
トレインの言葉を無視し、スヴェンはロビンの元へ駆け寄る。
木から降りたトレインは、物言わぬ女性を見て、取り乱し女性に近づく相棒の姿を見て悟る
「ロビン、ロビン!」
スヴェンはロビンを抱きかかえ、必死で揺さぶり呼びかけるが、彼女の体は
鈍く、重く、冷たくなっていく。
「スヴェン、もう、その娘・・・」
「俺が守るって言ったんだ!死なさねえって誓ったんだ!!」
彼女を抱え、何度も何度も揺さぶるスヴェン。駆け寄ってくるトレイン。
「スヴェン・・・!」
「お、俺が守るって・・」
「スヴェン!」
「守るって・・・うう・・・・」
「スヴェン避けろおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!」「!?」
抱える女性もろとも、スヴェンの嘆きも悲しみも。全て拳王の拳に飲み込まれた。
「スヴェン!!畜生!!!!」
残段数0のウルスラグナをハンマー型に切り替え、トレインは拳王に飛び掛った
「うおおおおおお!!!!!!!!!」
拳王は疲労のせいか、トレインの怒りの一撃はまともにヒットする。
「なんでてめえが生きてやがる!!奪ったのか!?俺の右腕だけじゃ飽き足らず、
あの青年の命も!幽助の命も!あの娘の命も!スヴェンの命もおおおお!!!!!!!」
「五月蠅いいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!」
拳王の闘気が、豪脚が、豪拳がトレインを襲う。
トレインの怒りが、眼光が、爪がラオウを襲う。
トレインはその闘気に吹き飛ばされた。電磁砲“レールキャノン”に加え、
怒涛のラッシュでついに拳王の右腕は千切れ飛んだ。
「ぐうう!!」「がああ!!」
そして吹き飛ばされ体制を大きく崩したトレインに、ラオウの左拳ストレートが。
「かああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
「あああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「トレイン!!」
それは中心核に闇を抱く球。二人の間に投げられたそれが割れると同時に、
空間に穴を穿ち二角を持つ鬼面のような岩が出現した。
「こんなもの、もろともに砕いてくれる!!!!!!!!」
ラオウの拳は岩に止められる。しかし岩にひびが入り弾ける様に壊れる。
「こんなもので我を止められると思うな!!」
ラオウの進行は止まらない。しかしそれを投げたスヴェンは、勝利を確信した
現れたのは二振りの長剣。その名を星皇剣。
「トレイン!それを使え!!諸刃の剣だが、万物を切り裂く名刀だ!!」
「スヴェン・・生きてたのか。良かっ・・て諸刃の剣ぃ!?」
「かあああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「早くしろおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」
「畜生おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっッッッッッッ!!!!!!!!!」
トレインの左腕につかまれた星皇剣とラオウの左拳が激突した。
カッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
「なぜ砕けぬ・・・・・なぜ砕けぬう!!」
「守るものがあるからだ・・・なんてキザなこと言うつもりはねえけどよ。
どうやら相打ちみてえだぜ」
ラオウの左腕から右胸にかけて、くっきりと斬痕が描かれ、トレインの左腕は音を立てて
砕け、拉げる。そして星皇剣も消滅していった。
「がはっ!」
拳王の一撃はトレインの胴までその衝撃を伝えていた。吐血と共に蹲るトレイン。
死期を悟ったラオウは、悔しさと虚しさ、そして清々しさを同時に感じていた。
「ウヌの名、聞いておこう」
「トレイン=ハートネットだ。アンタは?」
「世紀末覇者、ラオウ」
「強えな、アンタ」
「ウヌも以前遭った時より、若干迅かった」
「俺はもともと左利きだからな」
「フフフ」「ククク」「カカカ」「ヒヒヒ」
「「ははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!」」
ズウン、という音を立ててラオウは大の字に倒れこんだ。
「トレイン!!」
「スヴ・・ェン」
駆け寄ってきたスヴェンに、トレインは力を振り絞って答える。
「トレイン!!」
「スヴェン・・・」
スヴェンはトレインを抱き起こす。
「大丈夫か」
「当たり前じゃねえか」
「そうだよな、お前は殺しても死なないくらい丈夫だよな」
「いやあ・・今回は相手が丈夫過ぎたぜ」
「ははは、ちげえねえ。」
「スヴェン、よく聞けよ。ここから西に進むとログハウスがある。
そこに杏子って娘がいるから助けにいってやれ。」
「トレイン?何を言って」
「この鈴を鳴らせば信用してくれる。」
そう言うとトレインは鈴をスヴェンに渡した。
「トレイン・・・」
「俺もう、ダメみたいだ・・・」
「トレイン!!」
「(コノクビワハ、トウチョウキガツイテル)」
「え?」
それは口唇術。口の動きだけで相手に言葉を伝える、闇に生きるものにとっては常識の技術
「じゃあな、スヴェン」
「トレイン?」
それっきり、トレインは動かなくなった。
そのとき丁度、夕日が沈んでいく。今日の太陽の仕事はおわった。
三人の燃える様な命も。紳士が募らせる感情とは裏腹に。
【茨城県・袋田の滝下流/夕方】
【スヴェン・ボルフィード@BLACK CAT】
[状態]:体中に裂傷、捻挫多数
左腕から肩にかけて複数の内出血
[装備]:無し
[道具]:星皇剣@ダイの大冒険(一振り)、荷物一式
[思考]:1.杏子を探す
2.イヴ・リンスと合流
【真崎杏子@遊戯王】
[状態]健康
[道具]荷物一式(トレインのもの)
[思考]1:鈴の音を待つ
2:遊戯と合流
(ウルスラグナ@BLACKCATは破壊されました)
(アタッシュ・ウエポン・ケース@BLACK CATは破壊されました)
(ラオウの荷物はその場に放置されています)
【ニコ・ロビン@ONEPIECE 死亡確認】
【ラオウ@北斗の拳 死亡確認】
【トレイン・ハートネット@BLACKCAT 死亡確認】
【残り72人】
「おいおい、まるで都市ごと神隠しにでもあったみたいだな」
仙道彰のぼやきは、誰にも聞こえることはなく。
彼は今、日本の首都、東京にいた。
そう。確かに日本の首都。
首都といえば国の中心的都市であり、人の賑わう場所である。
しかし、仙道が歩くそこは――無人の東京。
仙道彰、デスマスク、槇村香の三名は、ここ東京で他の参加者の捜索に当たっていた。
参加者の一覧を見てもわかるように、このゲームに参加している者は、なぜか日本人が多いようである。
まだ生き残っているはずの香の仲間、伊集院隼人と野上冴子も日本人。
仲間との合流を目指すなら、こういった人の集まりそうな大都市に来る者が多いとふんだのだが……
「おーい! 誰かいないかー!?」
いくら仙道が呼びかけようが、返ってくる言葉はない。
無人、無人、無人。
そこには、仙道以外の人間は存在しなかった。
「仙道君、どうだった?」
「ああ、香さん、デスマスクさん。いえ、こっちは収穫なしです。そっちは?」
「駄目だ。上からも探してみたが、ひとっこ一人見つからねぇ」
デスマスクと香、二人は仙道のすぐ横に聳える建物――この都市のシンボルともいえる、東京タワーの中から出てきた。
この都市に着いたとき、あまりの人気のなさから、仙道は二手に分かれての捜索を提案した。
誰が潜んでいるかもわからない場所で、そんな危険なまねはできないと二人に反対されたのだが、
『大丈夫ですよ、俺にはこれがあります』と、あのダーク・シュナイダーをも押さえ込んだカードを片手に、早々に東京の街を走り去ってしまった。
取り残されたデスマスクと香は、仕方なく東京タワー内の捜索に当たったのだが、結局こちらも成果は仙道と同じ。
誰もいない東京タワーの前、三人は寂しげにたたずんでいた。
「しかしこれからどうする? 東京にこうも人がいないとなっちゃあ、おまえさんの仲間もどこにいるかわからないぜ」
「そうよね……考えられることいったら、他の大都市……たとえば大阪なんかに集まっていると思うの」
「そうですね。もし西日本に近いところにいたとなれば、そっちのほうに行く可能性が高い。しかし、やっぱりこの人気のなさは異常だ。まだ九十人近くは残っているはずなのに、東京を目指す参加者が誰もいないなんて」
考えられることは、三つ。
一つは、参加者が西日本に固まっている場合。
このゲームの開始地点は参加者ごとにランダムのようだし、必ずしも日本全体に均等に割り振られているとも言えない。
下手をしたら、東日本にいたのは仙道たちが出会った数名だけだったということも考えられなくはない。
二つ目は、日本を知る参加者が西日本に固まっている場合。
日本人が多いのはわかりきっているが、その日本人が全員、東京とはかけ離れた地点にいるとしたら。
東京よりもまず、目先の大都市へと向かうだろう。
それでなくてもまだ一日目。東京を目指していても、まだ着けていないという可能性もある。
そして、最悪なのは三つ目。
「ひょっとしたら、ここら一帯にいた奴らは、もう全員脱落しちまったのかもな」
山梨には、ダーク・シュナイダーという危険極まりない輩がいた。
ダーク・シュナイダーが、とは言わないが、彼のような強大な力を持った者が、東京を目指す者を片っ端から一掃してしまったとしたら。
ただでさえ人が集まりやすい大都市。狩人が待ち伏せをするには、絶好のポイントでもある。
「まさか……こうしてる今も誰かに狙われてるなんてことは……」
「いえ、それだったら俺が一人になったときに襲っていたでしょう。たぶん、純粋に今ここには人がいないんだ」
「ここに誰もいないとしても、この周辺に誰かいる可能性はある。いたとしても、マーダーの可能性が高いがな」
デスマスクの危惧が現実のものだとしたら、このままここに留まるのは危険である。
しかし、やはりここは日本の首都。待ち続ければ、そのうち人が集まってくる可能性も十分にある。
だが、忘れてはいけない。彼らには、今もどこかでしぶとく生き残っているであろう、もう一人の仲間がいることを。
「……洋一君のことも心配だし、一度山梨に戻ってみない?」
東京タワー捜索中も、香はずっとそのことが気がかりだった。
ダーク・シュナイダーに襲われたときに死んだと思われた、ついてない少年。
彼と別れてから数時間。彼の生存を知ってからさらに数時間。
これ以上放っておくのは、さすがに可哀想というもの。
ひょっとしたらもうすでに、新たな襲撃者に襲われて「ついてねぇー!」とか言っているかもしれない。
それでも、不思議とまだ死んでいない気がするのはなぜだろう。
「そうですね。このままここに留まっていても、当分は誰も来そうにありませんし。先にそっちと合流しましょう」
「だがもうすぐ放送だぞ? ひょっとしたら、そいつの名前も読み上げられたりしてな」
「もう、そういう冗談はやめてよね!」
これからの行動を決めた三人は、その場をあとにする。
目指すは山梨、香がダーク・シュナイダーに襲われた地点。
まだそこに洋一がいるかはわからないが、怪我で動けない状態だったりしたら大変である。
彼らの危惧どおり、東京周辺には何人かのゲームにのった参加者がいた。
そのうえ、香やデスマスクの仲間も関東にはいない。
それらのことを考えたら、その場を離れたのは正解といえるかもしれない。
誰とも会わないということは、なんのハプニングも起こらなかったということ。
おかげで、三人のチームワークは着実に高まっていった。
しかし……彼らは知らない。
探し人である洋一が、すでに彼らの予想を遥かに越える不運に巻き込まれていることを。山梨にはもういないということを。
ついてない少年に振り回されて向かう山梨には、なにが待っているのか。
凶悪なマーダーに襲われる可能性もあれば、誰にも会えず、日本中をたらい回しにされるという可能性もある。あくまで、可能性だが。
だがなんとなく……三人の紅一点である香には、世界一ついてない男、追手内洋一の振りまいた不幸の残り香がした――
【東京都/東京タワー周辺/夕方】
【仙道彰@スラムダンク】
[状態]:健康
[装備]:遊戯王カード
「真紅眼の黒竜」「光の護封剣」「闇の護風壁」「ホーリーエルフの祝福」…未使用
「六芒星の呪縛」…翌日の午前まで使用不可能
[道具]:支給品一式
[思考]:1、山梨に戻り、追手内洋一を探す。
2、首輪を解除できる人を探す。
3、海坊主、冴子を探す。
4、ゲームから脱出。
【デスマスク@聖闘士星矢 】
[状態]:そこそこのダメージ(だいぶ回復、戦闘に支障なし)
[装備]:アイアンボールボーガン(大)@ジョジョの奇妙な冒険
アイアンボール×2
[道具]:支給品一式
[思考]:1、仙道に付き合う。
2、山梨に戻り、追手内洋一を探す。
【槇村香@CITY HUNTER】
[状態]:健康
[装備]:ウソップパウンド@ONE PIECE
[道具]:荷物一式(食料二人分)
[思考]:1、山梨に戻り、追手内洋一を探す。
2、海坊主、冴子を探す。
やあ。こんにちは。
いや、そろそろ「こんばんは」かな。
俺の名は乾貞治。
青春学園中等部3年11組、テニス部所属の普通の中学生だ。
何の因果か突然、最後の一人になるまで殺し合うというゲーム――――まさしく「バトル・ロワイアル」だな――――に
巻き込まれている最中だ。
ただの中学生である自分がこのようなゲームに巻き込まれる確率は、開始から丸一日近く経とうとしている今でもまだ
計算しきれていない。
何せ答えを出すためのデータが足りなさすぎるのだ。
香川県――――ここが本当の日本でないため、香川県(仮)としておこうか――――瀬戸大橋のすぐ側。
古びたビルの入り口に、俺は腰掛けている。
支給された時計を見ると、もう夕方を過ぎる頃だ。
元いた東京都とは違い灯りに乏しいこの場所で、俺が何をしているのかというと。
「だ、大丈夫か?乾」
ビルの中、入り口付近に待機している鵺野先生がそっと顔を覗かせる。
「大丈夫ですから、鵺野先生は中にいてください。そうやって出てきてしまったら近づいてくる人間がいても警戒して
しまうかもしれないじゃないですか」
「だが……」
心配そうな顔で鵺野先生が言い淀む。
「やっぱり、子供にこんな危険な役をさせるのは……」
鵺野先生はさっきからこの調子で5分に1回は顔を覗かせる。
確かにこの状況下で、人と接触し仲間になってくれるように交渉するという役目は危険極まりないものだ。
だが、自分と鵺野先生と両津さんというグループの中でこの役に適役なのはどう考えても自分なのだ。
それについては再考の余地はない。
「それについては先程説明したとおりです。……大丈夫です。だからもうしばらく中にいて下さい」
説得力の欠片もないな、と自分でも思う。
どういったデータと確率を持って大丈夫と言えるのか、相手を納得させられるほどの根拠は全くない。
だが鵺野先生は心配そうな顔を保ちながらも大人しくビルの中に戻ってくれた。
それを見送り、乾はまた思考に耽る。
(まずは――――人との接触。可能ならば仲間となり共に脱出を目指す。脱出を目指すにあたり、問題点がいくつかあるな)
薄暗い中、眼を凝らし、乾は手帳に自分の考えを書き綴る。
脱出についての問題点、其の一。首輪。
首輪爆発の条件は、
@禁止エリアに踏み込む
A無理に外そうとする
B24時間1人の死者も出ない
「……ん?」
何かが引っかかる。
首輪爆発の条件。
この首輪の中に爆発物が仕掛けられているのは、あの大広間で大男が殺された事から判断しても間違いないだろう。
なぜ、あの大男の首輪は爆発したのか。
あの大男は禁止エリアに留まったわけでも、無理に外そうとしたわけでもない。
当然Bの条件は論外だ。
ならば――――答えは一つ。
辿り着いた推論に呼応するかのように乾のメガネがきらりと光る。
「爆発させた、ということか……」
主催者が、主催者の意志で。
それはつまり、主催者は彼らの意志でいつでもこの首輪を爆発させること出来る可能性が高いということだ。
もしそうならば……それは『いつ』だ。
考えられる状況は、参加者達が主催者の意に背いたとき――――例えば、脱出が可能になったときなどだろう。
ならば、主催者達はどうやってその事実を把握できるのか。
「首輪、か」
盗聴器や、そういった参加者の動向を主催者に伝える手段が首輪に搭載されている可能性は高い。
そっと自分の首にはめられている金属物を撫でるが、指先に伝わる感覚からは継ぎ目も凹凸も見つけられない。
どうやってこの小さな薄いモノの中に爆発物や盗聴器の類を組み込んでいるのだろう。
もしかして異世界の文明の産物なのだろうか。
そうだとしたら自分の持っている知識がどこまで通用するのか…………。
あくまでも推論に過ぎないが、とにもかくにも、これからは発言にも注意した方がいいのかもしれない。
(やっかいなことになったな……)
表面上は無表情に、乾はため息をついた。
わずかにひそめた眉はそのままに、更に乾は手を動かし続ける。
先程記した首輪爆発の条件の下に、とりあえず今わかる事実を書き連ねる。
@から、参加者達の居場所を主催者側が把握していることがわかる。
Aから、首輪にある程度以上の衝撃を与えると爆発する仕掛けになっていることがわかる。
Bから、参加者達の生死を主催者側が把握していることが解る……これは、「放送」からもわかることだが。
続けてそれらについての自分が感じた疑問を更に書き付けていく。
@について。
主催者側はどうやって参加者達の居場所を把握しているのか。
考えられるのは、首輪に発信器のようなモノが組み込まれているという事。
その発信器が参加者の生死を判断し、更には居場所も判断しているのだろう。
そのような働きをする機械とはどんなモノなのだろう。
そして……参加者の居場所を把握するメリットは何か。
Aについて。
首輪は、どの程度の衝撃を与えると爆発するのか。
無理に外そうとすれば爆発するというのなら、ただの中学生である自分の力でも爆発させることができるということか。
つまりは……自分にも、人を殺せる手段があるということか。
人を殺す気などさらさらないが、あらゆる可能性を考え対策を持っておくのは性格なのだ。
今更どうしようもない。
思考を元に戻そう。
首輪に衝撃を与えると爆発するとされているが――――衝撃以外の要因ではどうだろうか。
手っ取り早いところで、水。
自分の知る限りでは機械というモノは水に弱い。
「……それはないな」
何度か自分の首輪をそっと触って確かめてみたが、この首輪には継ぎ目や凹凸が感じ取れない。
継ぎ目がなければ水が中に入り込む余地はない。
ならば、氷ではどうだろうか。
人の首に巻かれた首輪を凍らせることができれば、壊すことは可能だろうか。
試してみる価値はあるかもしれない。
Bについて。
脱出を目指すにあたり、非常なやっかいな枷だ。
首輪を外そうにも、出口を探そうにも、24時間という制限時間の中で行わなければならない。
首輪を爆発させずに外せるのであれば、それをカモフラージュに使うことも出来るが……。
脳内で考え得る限りの状況と可能性を組み立て、それらを手帳に綴っていく。
少しずり下がったメガネの位置を直し、乾は思考を先へと進める。
脱出についての問題点、其の二。出口。
一言に「脱出」と言うが、『どこから』脱出するのか。
この奇妙な世界から出るための扉はあるのか。あるのならそれはどこに存在するのか。ないのならどうやってここから外に
出るのか。
そして――――この世界から出ると、どこに辿り着くのか。
あの大広間なのだろうか。
それとも主催者達の目前か。
少なくとも……元いた世界にすんなりと帰れる可能性は低いだろう。
高く見積もっても、5%くらいの確率か。
もし――――脱出が現実になり、主催者達と戦うようなことになったら自分はどうするべきか。
戦闘において役に立たないだろう事は明らかだ。
ならばせめて足手まといにならないように、なんらかの対策は立てておくべきだろう。
いや。その前に戦う力を持った人物を捜し出すのが先決だ。
そしてその人物と協力体制を作らなくてはならない。
一般人の自分には、主催者達と戦うにはどの程度の戦闘力が必要なのか想像も付かない。
ヤムチャは「俺には無理だ」と言っていた。
自分と比べれば遙かに力を持つヤムチャでもそう言うのであれば、戦える人物を1人ではなく何人か探し出さなくては
ならないだろう。
それも2,3人ではなく、できればもっと沢山の人を。
人海戦術というのは、使いどころさえ正確なら有効な策なはずのだ。
脱出についての問題点、其の三。越前。
人を集め、戦力が整い、脱出が可能となった時にその場に越前がいなければ、自分にとってはその状況もあまり有り難くない
ものになってしまう。
越前は必ず共に連れ帰らなくてはいけないのだ。
青学が全国制覇を為すためにも。
これからの青学テニス部のためにも。
一体……越前はどこにいるのだろう。
無事なのだろうか。…………生きているのだろうか。
昼の放送では、越前の名は――――ついでに跡部の名も――――呼ばれなかった。
だがもう後数十分後となった午後6時の放送で彼の名が呼ばれない保証はないのだ。
隠しきれない不安に、動き続けていた乾の手が止まる。
(やはり今すぐ越前を探しに行くべきか……?だが、むやみに動いてはすれ違いになる可能性もある。となるとやはり東京を
目指すべきか。しかし……)
――――――――――――ザッ
微かにした物音に、乾はハッと顔を上げた。
立ち上がり、周囲を見回す。
日が落ち、「薄暗い」から「暗い」へと移りつつある前方から、誰かが歩み寄ってくるのがわかる。
次第にはっきりとしてくるシルエットから、近づいてくる人物の背が低いことが視認できた。
(越前だとよかったんだが……)
どうやら違うらしい。
乾から3メートル程の距離を取って歩みを止めた少年は、しっかりとした声で乾に話しかけた。
「俺の名はダイ。あなたは?」
油断なく乾を見つめ、そう名乗る少年には見覚えがある。
確か、あの大広間でバーンという主催者の1人に飛びかかっていった少年。
これはどうやら。
「大当たり……ってことかな」
メガネを中指で持ち上げ位置を直し、乾はにこやかに――――本人はあくまで爽やかなつもりで、口を開いた。
「やあ。はじめまして、だね。ダイ君。俺の名は乾貞治。もちろんこのゲームには乗っていないよ」
「本当に?……後ろの建物にいる人たちは?」
隠れているはずの両津と鵺野の存在を察知されたことに驚きを感じつつ、乾は笑顔のまま言葉を続けた。
「ああ。あの人たちは俺の仲間なんだ。俺たちはここから脱出するために仲間を捜していたんだが、状況が状況だからね。
少し警戒させてもらっているんだ。もちろんゲームには乗っていない。君に会えたのは本当に幸運だったよ。もちろん君も
ゲームには乗っていないのだろう?」
「……どうしてそうわかる?」
「だって、君はあの大広間で主催者の1人に飛びかかっていったじゃないか。つまりはアイツらと敵対しているんだろう?」
「そうだけど……」
困惑した様子のダイに、乾は更に言葉を重ねる。
「しかも、君はあの時『皆はどうした?!』って叫んだだろう?そのことから、君が仲間を気にかける程度には優しさを
持ち合わせてると判断したんだ。だから俺は、君がこのゲームには乗らず主催者達を倒すために動くんじゃないかと思って
いるんだが……俺の判断は間違っているかい?」
淡々と、それでも熱を含む乾の言葉に心を動かされたのか、ダイはようやく肩の力を抜き笑顔を見せる。
互いに歩み寄り改めて自己紹介をしたところで、事の成り行きを見守っていた両津と鵺野がビルから走り出てきた。
「乾、その子は……!」
驚きの声を上げる両津も、目前の少年を思い出したのだろう。
隣に立つぬ〜べ〜も警戒心を解いたようだ。
「とりあえず情報交換をしないか?君は1人なのかい?」
「……ううん。他の人達は別の場所にいる。あなた達がここに来たのが見えたから俺が様子を見に来たんだ」
少しの戸惑いの後、ダイはそう3人に告げた。
恐らく、自分達に仲間の存在を教えることを迷ったのだ。
だがダイは迷いながらも教えてくれた。
自分達を信用することにしてくれたのだろう。
「君の仲間のところに案内してくれるかい?もし、俺達が信用できないのなら案内はせずにここで話し合っても
構わない。君に任せるよ」
「……信用するよ」
再び迷った後で、ダイはそう言い切った。
「実は俺達、あなた達があの橋を渡ってくるのをずっと見てたんだ。その時はまだ敵か味方かわからなかったから様子を見ることに
して……。太公望が味方を送ってくれたのかとも思ったんだけど何の連絡もなかったし。でもしばらくしてもあなた達が動く気配がな
かったから、思い切って俺がここに来たんだ。……行こう。みんなのところに案内するよ」
「ああ。……ありがとう。信じてくれて。両津さんも鵺野先生も異論はありませんか?」
「わしはない。多くの人と接触して仲間を増やすのがわし達の目的だからな。鵺野先生、あんたは?」
「俺もないです。……それに、一緒に行けばこの子を守ってやれる。俺は二度と子供を殺させはしない……!!」
手袋に覆われた右手を強く握りしめ、ぬ〜べ〜はギリギリと奥歯を噛みしめた。
ダイがバーンという主催者に一目置かれていることは知っている。
だが、この子はまだ子供だ。
俺が守れなかった郷子や、元の世界で心配しているだろう広や美樹や克也達と同じ子供なのだ。
「必ず、君を守って……主催者達を殺してやる……!!」
「鵺野先生……」
かける言葉が見つからず、乾も両津も視線だけをぬ〜べ〜に送る。
自分の最愛の妻を、大切な生徒を殺された彼の痛みは自分の想像を絶するものなのだろう。
3人の雰囲気に何かを感じ取ったのか、ダイも困惑しながらもぬ〜べ〜を見守っている。
気まずい沈黙が、いい加減暗くなってしまった辺りに立ちこめる。
「行きましょう」
それでも乾はあえて口を開いた。
「こういう状況になってしまった以上、俺は俺が出来ることをするだけです。それは両津さんも鵺野先生もダイ君も
同じでしょう?ならば先へ進みましょう」
「そうだな!行こう、鵺野先生!わし達は死んでいった者達の分までやるべき事をやらなきゃいかん。今わし達がやるべき
事は一刻も早くこのゲームを壊すことだろう」
乾の言葉に、両津も力強く賛同する。
悲しみも、怒りも、戸惑いも、恐怖もある。
だが自分のやるべき事を見失ってはならない。
今自分達がやるべき事は――――マイナスの感情をプラスに変えて『ゲーム破壊』へ向けて進むことなのだ。
「両津さん……乾……」
自分と両津の言葉を、鵺野先生がどう受け止めたのかはわからない。
だが先程よりは明らかに落ち着いた様子の鵺野先生は、ダイに歩み寄るとその頭をくしゃりと撫でた。
「君に一つ言っておく。俺はもう、子供を絶対に死なせはしない。だから俺は全力で君を守るよ」
突然のぬ〜べ〜の宣言に戸惑った様にダイが乾へ視線を向ける。
それに笑顔で頷いて見せた乾は、再度口を開いた。
「行きましょう。……もう誰も死なせないために」
その言葉を合図に、4人は歩き出す。
彼らの行く先は、彼らの求める希望かそれとも絶望か――――――――。
時刻はもう間もなく午後6時を迎えようとしている。
【初日香川県瀬戸大橋@夕方】
チーム【公務員+α】
【共通思考】1、ダイについて行く
2、仲間を増やす。
3、三日目の朝には兵庫県へ戻る。ダメなら琵琶湖へ。
【両津勘吉@こち亀】
【状態】健康
【装備】マグナムリボルバー(残弾50)
【道具】支給品一式(一食分の水、食料を消費。)
【思考】1、ダイの仲間達に合い、これからのことを話し合う
2、伊達、玉藻と合流
3、主催者を倒す。
【乾貞治@テニスの王子様】
【状態】健康
【装備】コルトローマンMKV@シティーハンター(ただし照準はメチャクチャ)(残弾30)
【道具】支給品一式。(ただし一食分の水、食料を消費。半日分をヤムチャに譲る。)手帳、
弾丸各種(マグナムリボルバーの分は両津に渡してある)
【思考】1、ダイの仲間達に合い、これからのことを話し合う
2、越前、跡部と合流し、脱出を目指す。
3、脱出、首輪について考察中
【鵺野鳴介@地獄先生ぬ〜べ〜】
【状態】健康
【装備】御鬼輪@地獄先生ぬ〜べ〜
【道具】支給品一式(水を7分の1消費。)
【思考】1、ダイを守る
2、武器を探し玉藻、伊達と合流。
3、戦闘になった場合、相手を殺す。
4、マーダーを全員殺す(主催者を含む)。
※(乾と両津の言葉により、今は落ち着いています)
【ダイ@ダイの大冒険】
【状態】健康・MP微消費
【装備】出刃包丁
【道具】トランシーバー
【思考】1、両津、乾、鵺野を公主とターちゃんのいる場所へ案内する
2、四国を死守
3、公主を守る
4、ポップ、マァムを探す
※ダイの荷物一式、公主の荷物一式、ペガサスの聖衣@聖闘士星矢は公主とターちゃんのいる場所へ置いてきています。
※太公望からの伝言は、ターちゃんには伝えました。
「なあ、桑原、さっきからそのパソコンで何をやっているんだ?」
プチャラティは先程からリンゴのマークのノートパソコンを
いじり続けている桑原に痺れを切らし、
邪魔しては悪いな、と思いつつもついに話し掛けた。
その半透明のリンゴのマークはi-Bookの証。プチャラティはパソコンやネットといった物には
疎かったが(せいぜいおねえちゃんのパンツをこっそり見る位)、
こればかりは趣味のウィンドウショッピングの最中、VAIOと共に幾度となくあちこちの電気屋で見かけている。
だから、これがかなり上等のパソコンであることぐらいはわかった。
そして、桑原がプチャラティより遥かにこのマシンやネットについて詳しいことも、何となくわかっていた。
桑原は一心不乱にキーボードを叩き続けるかと思えば、急に考え込んだり、
「なるほど、こうか」「くそ、そこまでは甘くはないか……」などと呟いたりする。
プチャラティは「変な奴が来ないか、見張っていてくれ」と桑原から渡されたベレッタを握ったまま放置プレイだ。
変な奴って何だよ、今の状況じゃお前が一番変な奴だよ――などとは言えなかったので黙っていたが。
さて、その桑原はプチャラティの問いに対し振り向きもせずに
「まあ、ちょっと待っていてくれ――もう――少しだ」と答える。
桑原がもう少しキーボードを叩き続けると、ウィンドゥの中に"%"だの"#"だのが混じった英文が流れ始め、
桑原もそれに呼応してキーボードを打ち返す。
「よし」
桑原はつぶやくと、最後にデータをダウンロードするように指示し、手を止めた。
後はダウンロード終了を待つだけだ(もっとも、終わったらログを書き換えて証拠を消さなければならない)。
その後は、手に入れたデータをもとに作戦を練ることになる。
単にデータを書き換えるか、それとも独自のプログラムを組んで相手をより巧妙に騙すか。
後者の場合ちょっと手間ではあるが、まあ半日もあればなんとかなるだろう。
さすが俺。電脳ヒーロー桑原様だ。
「桑原、説明してくれよ」
プチャラティがもう一度言うと、桑原はニヤリと笑って、iBookから身体を離し立木に身を預ける。
我ながら少し興奮しているな、と思えたので気を落ちつかせるために一つ息をついた。
無理もない。さっきプチャラティに「見張っていてくれ」と言った時点ではどう出るか確信が持てなかったのだが。
今は――勝ったも同然だ。
ゆっくり、口を開く。
「とにかく俺は、ここから逃げることを考えた」
桑原が頷く。
「それでな」桑原は自分の首を指差す。
桑原自身には見ることはできないが、プチャラティには、
プチャラティr自身も首に巻かれている同じ鈍い銀色の首輪が見えているはずだ。
それは皮肉にも、桑原自身かつて戦闘衣装と共にアクセサリとして付けていた
あの首輪と、デザインが酷似していた。
「本当はな、こいつを何とかして外したかった。
これのおかげでこちらの位置があのクソ野郎どもにばれているわけだ。
つまり、今俺が、お前と一緒に居ることも。
こいつのおかげで俺達は逃げようとしても簡単に捕捉されるし、
あるいは、中の爆弾に電波を送られて一発で殺されてしまう。……何とか外したかった」
桑原はそこで手を大きく開いた。肩を竦めて見せる
「だけど、諦めた。中がどうなっているかわからない以上、いじりようがない。
きっと分解したら爆発するような仕組みぐらいにはなっている筈。
多分、起爆用のコードが内側に張り巡らされているんだろう。そいつを切ったら」
「ドカンといく、のか?」
桑原は右手でプチャラティを指差す。
「ご名答。そんなところだろう。そうなれば危ない橋は渡れない。
あるいは、首と首輪の間に鉄板をはさんで……とも思ったけど、
まあ、多分、挟める程度の鉄板じゃ鉄板と一緒に首も身体と泣く泣くサヨナラだろうな」
プチャラティがまた頷く。
「そこで俺はまた考えた。ならいっそのこと、俺達の捕捉、
そして首輪の爆破用の電波を管轄する本部のコンピュータ、あれだ、あれに一働きしてもらおうと。
………言ってる意味わかる?」
そう、現代の社会は情報戦。そして桑原はマンガのヒーローであると共に電脳世界のヒーロー(自称)だ。
どのプレイヤーよりも情報を溜めこんでおかなければならない。
その情報を効率良く扱うにはやはりコンピュータは必須。
というわけで桑原はより良いプレイヤー
――いや、ここでは敢えて戦闘マニアと言おう――であろうとするために、
コンピュータの扱いには習熟していった。というより、元から単なるオタクであった。
最近ではクラッキングの技術もひとかどのものとなり、あの防衛庁のデータベースにも侵入し、
データを盗み取った事もある。
まあ、そんな努力は、飛影や蔵馬の見てくれだけでキャーキャー熱狂するファンにはサッパリ伝わらなかったようだが。
プチャラティは首を縦に振る。
「うん、まあハッキングをしかけようと思ったわけ。それで俺はパソコンを探した。
接続のために必要な携帯電話は持ってるしね。
このクソゲームは私物の持ち込みは許可しているようで何よりだった。
その辺の民家の電話回線が使えるとは思えないし。
まあ、こんなことなら俺の愛機を持ってくれば良かったんだけど、まあ仕方がない。
このiBookが見つかったから良いとする。後は電源だけど、そのバッテリはそこらの車から外した。
電圧の調整はまあ俺らもよく海外に飛んでるし、常にそれなりのコンバータは携帯している。簡単だ」
桑原の説明でプチャラティは漸く地面に直接置かれたiBookと携帯電話が
一体何をしているのか理解し始めたらしく、小さく何度も頷いていたが、急に何か思いついたように口を挟んだ。
「ちょっと待ってくれ、俺も携帯をかけてみたんだが繋がらなかったぞ?」
桑原はニヤリと笑って「ちょっとお前の携帯貸してみろ」と言った。
プチャラティが携帯を渡すと、桑原はまたニヤリと笑う。
「J-PHONE、しかも旧式の携帯!(爆ワラ)か、貧乏臭せぇ〜お前。まあそんなことはどうでも良いや。
あのな、J-PHONEはどの国の電話会社だ?ここが日本であるなんて、誰が言ったんだ?」
プチャラティは「えっ、……そ、そういえばそうだよな」と納得しかけたが、すぐに立ち直って
「じゃあ、ここはどこなんだよ?それに、どうしてお前の携帯は繋がるんだよ?質問に答えてないぞ?」
と切り返した。
「そりゃ、俺の携帯は特別だからな。あ、でも俺もここがどこかはわかんないよ。
……日本じゃないことは確かだと思うけど」
と桑原は言うと、iBookに繋がったままの携帯を持ち上げて示した。
その携帯には「Irdium」と刻まれている。
「イリジウムだ。聞いたことないか?
アメリカのイリジウム社がが1998年秋にスタートさせた衛星携帯電話サーヴィス。
66基のイリジウム衛星を利用して地球上のどこからでも通話が可能という夢のサービス」
プチャラティは目を見張った。
「凄いじゃないか!でもそんなのを良くあいつらは見逃してたね、普通警戒しそうなものだけど」
「それがさ」桑原は答える。「ラッキーだったんだよ、非常にラッキーだった」
桑原はイリジウムについて語りだした。
イリジウムのサービスは夢のようなものだったが、加入者数が伸び悩み、投資を回収することができなかった。
1999年8月に破産申請、2000年3月にはサービス終了。
日本では、旧DDIと京セラが資本参加し日本イリジウムを発足させ、日本におけるサービスの窓口となっていたが、
アメリカイリジウム社の破産により、こちらも会社清算を余儀なくされた。
アメリカイリジウム社の倒産後、66基の衛星の破棄さえも検討されたのだが、
新たに発足したイリジウムサテライト社がアメリカイリジウム社の資産を買い取り、
商業サービスの復活に向けて準備を進めていた。
そして今年、2001年3月には、世界各地の13社のサービスプロバイダーとの契約締結も済ませ、
サービス提供、販売、保守の窓口が用意された。
サービスプロバイダーは、アメリカ、カナダ、イギリス、オランダ、ロシアなどに点在しているのだ。
「イリジウムの復活は日本ではほとんど報道されなかった。何せこれは日本では電波法違反なんだからな」
桑原は手に持った携帯をブラブラさせながら話を続ける。
「日本の電波免許って言うのは携帯一個一個について出すんじゃなくて、携帯を扱う会社に一括して渡す。
キリがないから。ところが今日本にはイリジウムの窓口がない。
日本イリジウムは今は清算会社で、無線局免許については無線局廃止届が、
第一種電気通信事業者免許には事業廃止届けが出ていて、一切免許がない。だから、違法」
プチャラティはうんうんと頷く。
「だから日本ではイリジウムの復活を知っている人間はほとんど居ない。
あいつらが見逃していても何ら不思議はないって事。
そして復活してからはデータ通信サービスもやるようになったんだ、イリジウムは。まさに天佑ってやつだ」
「それで?」プチャラティは続きをうながす。
「あとは大した話じゃない。通常電話用、それもアメリカのモジュラ用のモデムと
携帯電話を繋ぐのはちょっと骨が折れたがな。何せ満足に道具があるわけでもないし。
しかし、それはまあ、俺の持ってる素晴らしい技術と経験で何とかやった。――それで、
とにかく電話回線に入った。それから一旦俺の家のマシンにアクセスした。
クラック――ハッキングってのは、普通のインターネットと違ってさ、特殊なツール――プログラムが、
まあ暗号解読のソフトとかが要るんだ。そいつをまず取り寄せた。
いや、俺が中学生であるが故にマッカーで良かったよ。
家にあるのがマックだったからこいつで全く同じように扱える。」
桑原はiBookを軽く叩く。
「俺はかなり直感で動いていたんだ。
この華麗なるプレイヤーを沢山抱える主催者の周りには金の亡者がいっぱいだからさ。
きっと俺達のこのゲームも賭けの対象になってる、そう読んだんだ。
ところでインターネットと言ったら相場は何だと思う?」
プチャラティは首を傾げて返事とした。
ていうか、もう、桑原の言ってることが大分訳が分からなくなっていた。
「リアルタイム更新だ。賭けの行方がどうなってるか皆知りたいだろ?
それを随時お知らせするにはインターネットは最適なんだ。
そこで随時インターネットでお知らせをするにはこちらからデータを送らなければならないだろ?
ということは本部の俺らを捕捉、もしくは生殺与奪の権を握っているコンピュータもまた
ネットに接続されてるってことだ。ネットに接続されてるってことは、
クラック――ハッキングを仕掛けるチャンスもまた、あるってことだ」
「ははあ、なるほど(…よく分かんねぇけど)」
プチャラティは感心して桑原の話に聞き入るばかりだ。
もちろんその間にも周囲ヘの警戒は怠ってはいないのだが。
「で、だ。まずはフリーザ、もしくはバーンの名が付くサーバを
webサーバだろうが何だろうが片っ端から当たった。
まあ普通の神経だったらそんな安易な名前はなあ、違法行為をやってるんだから避けるべきなんだろうが、
何せ華麗なる俺達の周りには戦闘バカばっかりだろ?
バカと言えば何でもそうだけど、特にコンピュータに弱いのが相場だ。
わかりやすい名前にしてるんじゃないかって読んだんだけど、これがビンゴ。
見事に俺らが賭けの対象になっていて随時リアルタイム更新!
何時何分にどこそこプレイヤー何々の誰々が死亡!死因は中川が射殺!だの何だの
書かれているwebページが見つかったさ。
今後の為にちょっとログを覗いておいたがアレだな、フレイザードか拳王が危険人物だな。
まあ拳王は死んだみたいだけど…」
プチャラティは不快感に顔を歪めたが、桑原は構わず話を続けた。
「そこがまあリアルタイム更新されていたってことは、そこへデータを送っているサーバがここの本部ってことさ。
そこへ突っ込んだ。こっちは多少面倒だったんだが、動ける範囲で色々調べてたら、
寝ぼけたことに作業用のバックアップファイルを残していやがったんだな。
で、こいつを頂いた。細かいところは省くが、その中に一つ意味ありげな暗号文字があった。
その解析をさっきお前に会うまでこいつにやってもらっていたって訳。答えはこうだ」
桑原はiBookに手を伸ばし、通信状態はそのまま、別のメモファイルを開いて24ポイントの特大表示でプチャラティに示した。
TAKUROは覗きこむ。
“SAMA FREEZA”
「サマ…フリーザ……?」
「そう。ナルシストもここまで来ると大したもんだよな。くだらねえ母音入れ替えで暗号にしてあったんだが。
まあとにかくこれがルートのパスワード。――あとはやり放題。今やってたんだけどな。
今、本部のコンピュータの中のデータをまるごと頂いているところだ。
俺はそいつをいじってお返しする。そうすれば俺達を縛り付けているこの首輪を無効にしておさらばさ。
やつらは本部の回りを禁止エリアで囲んで俺達がもう近づけないと安心しているようだが、
俺達はそこを急襲できるって寸法。
そして、一旦あの本部を押さえれば他の連中――まあマーダー組は考えものだけど――を助けることだって
できないわけじゃない。あるいはそれが無理でも、俺達がもう死んだことにして、
二人でとっととここをおさらばすることはできる」
そこまで一気に喋って一呼吸置き、桑原はまたニヤリと笑った。「どうだ?」
もはや、プチャラティは放心したような表情をしていた。「凄い」とだけ言った。
桑原もその素直な反応に満足してにこっと笑った。
ありがとう、プチャラティ。何にせよ、自分の能力を誰かに褒めてもらうのは嬉しいことだね。
「桑原――」
まだその放心したような顔のまま、プチャラティが口を開いたので、桑原は眉を持ち上げた。
「何だ?何かまだ聞きたいことでもあるか?」
「いや――」プチャラティは首を振った「あの――あのさ」
「何だよ?」
プチャラティは視線を落として、手にしている支給品(それは、彼には酷く不釣り合いの物だった)を
少し眺め、それからまた顔を上げた。
「あの、――何で、お前は俺と一緒に行動してくれるんだ?
俺、マジで戦闘以外何にもお前の役に立てないし、むしろ足手まといだし」
桑原はニヤリと笑った。
「お前を見張る。それだけさ」
桑原はそこで一旦言葉を切ると、真剣な目でプチャラティの目を覗きこんだ。
「俺はお前を信頼する。信頼したい。それで良いじゃないか。
このゲームは信頼できなくなったら負けだ、俺はそう思ってる」
「ありがとう」
その言葉にまた桑原の表情は柔和なものに変わる。
「水臭せぇ、俺ら、仲間じゃんか。
まあ、その仲間同志で殺しあっている奴らもいるんだから、まあ無理もないけど」
そして、ぴゅうと口笛を吹いた時に、その口笛以外にぶん、という音を桑原は聞いた。
桑原は眉根を寄せ、いささか慌てて腰を上げた。
なぜならその音はマッキントッシュ標準の警告音だったからだ。
桑原はまたiBookの前に膝を付き、その画面に見入った。そして目を見張った。
そこに出ているメッセージは、回線が切断され、ダウンロードが中断した旨を継げていた。
「――何でだ」
桑原の口から漏れた声は、うめきに近いものだったかもしれない。
慌てて、キーボードを操作する。しかし、回復は叶わなかった。電話回線自体は繋がっている。
そりゃそうだ、あいつらがイリジウムに手を出せる筈がない。
しかしもうプログラム関連ヘのサーバの接続は全く出来なくなっていた。
ご丁寧に公式サイトにまで接続できなくなっていた。
慌てて匿名プロクシをあさったが、それではプレイヤー達の個人データを見ることはできても、
肝心のプログラム関連のサーバには接続できなかった。
馬鹿な――。桑原は今は停止しているiBookの画面を呆然と眺めていた。
クラッキングを気付かれたわけがない、そもそも気付かれないようにやるからクラッキングなのだ。
そして、桑原には十分にその技術があった。
「桑原?どうしたんだ、桑原?」
プチャラティが方の後ろから声を掛けたが、桑原は答えることができなかった。
その時だった。
「皆さん〜!!!」という、耳障りな声が暮れゆく日本の中に響き渡ったのは。
>>69 勝手に無効にするな。
作者がどれだけ頑張ったと思ってるんだ?
あれだけの長文書いたことあるのか?
>>58-67気にせず続けてください
太陽は落ちていく。
世界は闇に飲み込まれ、光は失われ、長い夜が始まろうとしている。
岐阜県の南部、名古屋城が見える森の中で、斗貴子、月、友情マンは休息をとっていた。
名古屋は都市部だ。斗貴子が居なかった間に、人が集まって来ている可能性は高い。つまりそれだけマーダーが居る可能性も高い。
自分達が襲撃されたり、あるいは誰かが襲撃されているかもしれない。その時に歩き疲れていたのでは困るからだ。
特に一般人である月の疲労は大きかった。何せ普通の大学生と戦士と宇宙人、体力には大きな差がある。
既に情報交換を終えた彼らの間に会話は無い。
その情報交換すら形式的なもので、肝心なこと――例えばお互いにまだ見せていない武器のことや、自分たちの能力のこと、
もし名古屋が駄目なら東京でケンシロウと落ち合うこと、など――は殆ど隠している状態だ。
月と友情マンはお互いの腹の内を探りたかったのだが、
「休める時は無駄口を叩かず休むべき。それに声を聞かれてマーダーが来てはまずい」
という斗貴子の指摘により、名古屋城までは会話を禁じられていた。
傾いた陽光は視界全てを赤く染め上げる。
自身も真っ赤に染められながら、友情マンは目的地である名古屋城を眺めていた。
(もうすぐ放送か。なるべく沢山死んでくれているといいな。
ケンシロウ君は生きていてくれないと困るけど。友達になって守ってもらわないとね)
視線を斜めにずらすと、同じく名古屋城を眺めていた斗貴子が目に入った。
しかし友情マンの視線を感じるとすぐに視線を戻し、彼を睨み付ける。
友情マンはそれが何故だかわからないとでもいうように、いかにも不思議そうな表情をしてから、
再び名古屋城に視線を戻した。
(それにしても、斗貴子さんにはかなり警戒されてるみたいだ。
簡単に始末できそうにもないし、早めに信頼を得ておかないと、後々厄介なことになるかも…。
もしケンシロウ君のほうが簡単に攻略できそうなら、そちらから攻めた方がいいかもしれない)
月は心の中で舌打ちをした。
苛立ち、思わずポケットの中のものを握り締める。もちろん表情には出さないまま。
彼は福島からここに来る数時間の間、友情マンと接触を図ろうと試みた。しかし斗貴子の厳しい監視の目がそれを許さなかったのだ。
もっとも、監視は月ではなく友情マンに向けられたものだが、それは月の計画も阻んでいた。
何かメモを書いて渡すことくらいなら出来たかもしれない。
だが友情マンが何を考えているかわからない以上、下手なことを書いて証拠が残っては困る。
(仕方ない、交渉は名古屋城に付いてからだ。今は大人しく体力を回復するとしよう。
もうすぐ放送か。Lは…死んでくれていればありがたいんだが、きっと生きているな。
何せこのキラの最大の敵だ。そう簡単にくたばるわけがない)
木々の間から覗く名古屋城を仰ぎ見る。その瞳も夕陽によって染まり、赤く妖しい光を放っているかのようだった。
月の手がポケットの中で握り締められたのを、斗貴子の鍛えられた視力が捉えた。
もうすぐ放送だ。きっと彼も仲間の無事を願ってやきもきしているのだろう。
(しかしあのポケットには…………
…考えるな。それが彼のためだ。あれが彼の精神安定に役立つならば何も言うまい)
手にしたペットボトルを口に運んだ。中の水が跳ね、太陽の最後の輝きを反射する。
斗貴子は夕陽に半ば背を向けていた。
目を焼かれ、動きが鈍っては困るからだ。沈む日の光は強すぎる。
どこを見ても夕暮れの赤と影の黒ばかりが目立つ。何かの警告のような赤さだった。
(もうすぐ放送か。
ケンシロウ。桑原。…カズキ。
無事だろうか。いや、きっと無事なはずだ)
それは信じるというよりも願いだった。ただひたすらな、ただ一つの想い。
それはずっと前からの想いだった。彼と運命を共にするよりずっと前からの、ただ一つの願い。
それは―――日常。
騒ぐ岡倉。煽る六枡。慌てる大浜。呆れるちーちん。はしゃぐさーちゃん。そして、笑顔のまひろ。
あの日常に彼が帰ること。それが斗貴子のただ一つの祈り。
その中に自分が居ることを望まないわけはない。
(しかしあの暖かい日常から君を引き離したのは、他ならぬ私自身だ。そんな権利などあるはずがない。
あの化け物たちがカズキに目を付け、こんなところに連れてきたのも、全て私のせいだ。
私が、君を…巻き込んだ。
だから、必ず君を連れ帰る。冷徹な殺人者を、あの化け物どもを殺し、何としても連れ帰る。
そのためには私がどうなっても構わない。私は何でも償う。
だから…だから、君だけはどうか、あの日常に―――――)
手にした水の反射する光が弱まってきたのを見て、斗貴子はそれをデイパックにしまった。
「休憩はここまでにしてそろそろ向かおう。6時に間に合わなくなる」
彼女は立ち上がった。最後まで太陽を見ることはなく。
太陽光は沈み消え行く。押し寄せる闇に抗えずに。
夜が、始まる。
【岐阜県南部/夕方】
【Black stomachrs】
【友情マン@ラッキーマン】
[状態]:健康
[装備]:遊戯王カード(ブラックマジシャン、ブラックマジシャンガール、千本ナイフ、光の封札剣、落とし穴)
[道具]:荷物一式(一食分消費)、ペドロの荷物一式、食料セット(十数日分、ラーメン類品切れ)、青酸カリ。
[思考]:1.斗貴子達を利用する。
2.強い者と友達になる。ヨーコ優先。
3.最後の一人になる。
【津村斗貴子@武装練金】
[状態]健康
[装備]:ダイの剣@ダイの大冒険、ショットガン、リーダーバッチ@世紀末リーダー伝たけし!
[道具]:荷物一式(食料と水を四人分、一食分消費)、ワルサーP38
[思考]1.人を探す(カズキ・ブラボー・ダイの情報を持つ者を優先)
2.ゲームに乗った冷酷な者を倒す
3.友情マンを警戒
4.午後六時までには名古屋城に戻る
【夜神 月(ライト)@DEATH NOTE】
[状態]歩き疲れ
[装備]真空の斧@ダイの大冒険
[道具]荷物三式 (4食分を消費) 子供用の下着
[思考]1.斗貴子に同行。利用する。
2.弥海砂の探索 。南下。
3.斗貴子の目を盗んで友情マンと接触したい
4.使えそうな人物との接触
5.竜崎(L)を始末し、ゲームから生き残る
前スレ429-439の『たらい回しの不運』のLのセリフに違和感があったとのことでしたので、修正します。