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ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.4
1 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2005/11/17(木) 23:52:10 ID:/h3j+Sl80
このスレは週刊少年ジャンプのキャラクターで所謂バトルロワイアルのパロディをしようという企画スレです。
これはあくまで二次創作企画であり、集英社や各作品の作者等とは一切関係ありません。
それを踏まえて、みんなで盛り上げていきましょう。

※ここはSS投下専用スレになります。感想、議論は下のスレでお願いします。

ジャンプキャラ・バトルロワイアル感想議論スレ PART.7
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1131259789/l50
前スレ
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.3
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/ymag/1123891185/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル PART.2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1121088002/
ジャンプキャラ主人公&ヒロインバトルロワイアル
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1115216913/
ジャンプキャラ・バトルロワイアルSS投下専用スレ PART.1
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1119971124/
ジャンプキャラ・バトルロワイアル準備スレ PART.2
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1116767239/
ジャンプキャラバトルロワイアル準備スレ PART.3
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/cchara/1117638620/
2 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2005/11/17(木) 23:52:35 ID:rHKxR4jk0
3/4【こち亀】○両津勘吉 /○秋本麗子 /○中川圭一 /●大原大次郎
4/4【NARUTO】○うずまきナルト /○春野サクラ /○大蛇丸 /○奈良シカマル
3/4【DEATHNOTE】○夜神月 /○L(竜崎) /○弥海砂 /●火口卿介
4/4【BLEACH】○黒崎一護 /○藍染惣右介 /○更木剣八 /○朽木ルキア
4/4【ONE PIECE】○モンキー・D・ルフィ /○ニコ・ロビン /○ウソップ /●道化のバギー
3/4【銀魂】●坂田銀時 /●神楽 /○沖田総悟 /○志村新八
4/4【いちご100%】○真中淳平 /○西野つかさ /○東城綾 /○北大路さつき
3/4【テニスの王子様】○越前リョーマ /●竜崎桜乃 /○跡部景吾 /○乾貞治
4/4【アイシールド21】○小早川瀬那 /○蛭魔妖一 /○姉崎まもり /○進清十郎
4/4【HUNTER×HUNTER 】○ゴン・フリークス /○ヒソカ /○キルア・ゾルディック /○クロロ・ルシルフル
4/5【武装錬金】○武藤カズキ /○津村斗貴子 /●防人衛(C・ブラボー) /○ルナール・ニコラエフ /○蝶野攻爵(パピヨン)
1/5【SLAM DUNK】●桜木花道 /●流川楓 /●赤木晴子 /●三井寿 /○仙道彰
4/4【北斗の拳】○ケンシロウ /○ラオウ /○アミバ /●リン
2/4【キャプテン翼】○大空翼 /●日向小次郎 /●石崎了 /○若島津健
4/4【キン肉マン】○キン肉スグル /○ウォーズマン /○ラーメンマン /○バッファローマン
4/4【ジョジョの奇妙な冒険】○空条承太郎 /○ディオ・ブランドー /○エリザベス・ジョースター(リサリサ) /○ブローノ・ブチャラティ
3/4【幽遊白書】○浦飯幽助 /○飛影 /○桑原和馬 /●戸愚呂兄
2/4【遊戯王】○武藤遊戯 /●海馬瀬人 /●城之内克也 /○真崎杏子
3 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2005/11/17(木) 23:53:10 ID:rHKxR4jk0
3/4【CITY HUNTER】●冴羽リョウ /○伊集院隼人(海坊主) /○槇村香 /○野上冴子
4/4【ダイの大冒険】○ダイ /○ポップ /○マァム /○フレイザード
4/5【魁!!男塾】●剣桃太郎 /○伊達臣人 /○富樫源次 /○江田島平八 /○雷電
3/4【聖闘士星矢】○星矢 /●サガ /○一輝 /○デスマスク
4/4【るろうに剣心】○緋村剣心 /○志々雄真実 /○神谷薫 /○斎藤一
6/6【DRAGON BALL】○孫悟空 /○クリリン /○ブルマ /○桃白白 /○ピッコロ大魔王 /○ヤムチャ
4/4【封神演義】○太公望 /○蘇妲己 /○竜吉公主 /○趙公明
3/4【地獄先生ぬ〜べ〜】○鵺野鳴介 /○玉藻京介 /○ゆきめ /●稲葉郷子
4/4【BLACK CAT】○トレイン・ハートネット /○イヴ /○スヴェン・ボルフィード /○リンスレット・ウォーカー
4/4【BASTARD!! -暗黒の破壊神-】○ダーク・シュナイダー /○アビゲイル /○ガラ /○ティア・ノート・ヨーコ
3/5【ジャングルの王者ターちゃん】○ターちゃん /●ヂェーン /●アナベベ /●ペドロ・カズマイヤー /○エテ吉
4/4【とっても!ラッキーマン】○ラッキーマン(追手内洋一) /●勝利マン /○友情マン /○世直しマン
3/4【世紀末リーダー伝たけし!】○たけし /○ボンチュー /●ゴン蔵 /○マミー

104/130 (○生存/●死亡)
4 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2005/11/17(木) 23:53:44 ID:rHKxR4jk0
まとめサイト
ttp://jumproyal.exblog.jp/
携帯まとめサイト (現在更新停止中)
ttp://www15.plala.or.jp/royale/
現在地&地図サイト
ttp://aaaaaa2005.hp.infoseek.co.jp/
5 名前: ポップ・ウソップ冒険記 [sage] 投稿日: 2005/11/18(金) 00:01:09 ID:GwHY1ewEO
前投下スレで途中まで投下してしまいましたが、最初から投下し直します
6 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2005/11/18(金) 00:01:37 ID:1NKkjjYr0
ワンピ、バギーが死んでるのに4/4になってる
7 名前: ポップ・ウソップ冒険記 [sage] 投稿日: 2005/11/18(金) 00:01:56 ID:GwHY1ewEO

冒険を再開しますか?


>はい
 いいえ


ピッ


【AM5:54/鹿児島県川内(せんだい)、某日用品店内】


「なあ……ここ、本当に店なのか?なんで商品がこんなに少ないんだ?」
「表にデカい看板掲げてるじゃねぇか、間違いねえよ」

広い店内に一歩一歩奥へと足を進めながら物色している二人。
本来、ところ狭しと商品が陳列されているはずだったと思われる陳列棚はガランとしていて所々にぽつり、ぽつり、とたわいも無いガラクタ同然の日用品が寂しく配置されているだけである。

「う〜ん…主催者のやつらの手下が全部盗んでったんじゃねえのか?」
「手下…ねぇ。だったらもっと荒らされてる筈じゃないのか?床とかはきれいなもんだぞ?」

ゴミ一つ落ちていない床を見渡して首を捻るポップ。

「ん〜…ま、いいじゃねえか!考えてる時間がもったいねえよ。ほらほら!見てみろよこれなんか!(サランラップ)」
「ん?何だそれ?」
「ウオッホンッ!…これはどんな砲弾だろうが槍の一突きだろうが、…こうやって広げれば跳ね返すことが出来る!名付けて『ウソップ・バリ〜ア』だッ!!」
「メラ」
「うっウワッ!?何すんだ!!?熱ちっ!!!燃やすな〜っ!!!」
8 名前: ポップ・ウソップ冒険記 [sage] 投稿日: 2005/11/18(金) 00:03:28 ID:GwHY1ewEO




【AM6:12/鹿児島県川内、某日用品店従業員控え室】

「…最悪だ…」
「18人か、確かに最悪だな…。ウソップも俺も仲間がみんな無事だったのが唯一の救いか…」

朝の放送を聞き終わるやいなや青ざめた顔でボソリとそう呟いたウソップに、ポップは眉を寄せて苛立ちを押さえているかのような低い声で返す。

「確かにそうなんだけどよ……違うんだ、違う『最悪』なんだ」
「ん?…どういう意味だ?」
「こんな短時間の内に…あのルフィと互角に戦ったって聞いてた能力者が死んじまったんだ…!」
「能力者?ウソップの言ってた例の『悪魔の実』ってやつか?」
「ああ。…楽観過ぎたかもしれねえ。ルフィもロビンも簡単に死ぬ訳が無え、って…。オレの勝手な思い込みだったみてぇだ…」
「……」

ポップは鉛筆を固く握りしめて目を瞑り歯を食いしばるウソップのその様子に言葉を飲み込む。

「……」
「そうだな。俺も…そうだったかもしれない。ダイも、マァムも、俺みたいなドジとは違って簡単にやられたりしない、って…でも…」

先ほどの放送が真実であれば、自身の危惧している大きな不安であるフレイザードはまだ生きている。
過去に戦った当時の強さのままならばフレイザードなどに現在の自分たちは負ける要素は無い。しかし…
9 名前: 作者の都合により名無しです [sage] 投稿日: 2005/11/18(金) 00:04:21 ID:eY6orvnB0
支援
10 名前: ポップ・ウソップ冒険記 [sage] 投稿日: 2005/11/18(金) 00:06:30 ID:rDFkSRs6O


「なあウソップ、例の材料…集まったか?」
「ん?いや、まだなんとも言えねぇよ。金属の類がいまいち集まらなかったし、おり……何だった?そんな聞いた事無いモンもどこにもありそうもないしなぁ…」
「そうか…」

ポップは考える。
自分たちには武器が無い。
あの名工、ロン・ベルクに作ってもらった自分の杖が無い。
最初の広間で見たダイも剣が奪われていた。
オリハルコンとまではいかなくとも、それなりに良い金属さえ手に入れば…もしかしたら武器が作れるかもしれない。
最初に集められたあれだけの人数の参加者、彼らの中にもしかしたら自分たちに合った武器を作れるほどの技量を持つ者がいるかもしれない。
ウソップには…

「……ん?何だ?」
…きっと無理だ。

「おい!ちょっと待て!何だその悲しげな目は!馬鹿にしてんのかぁッ!!」
「あ、いや、そんな事ねえよ。頼りにしてるぜ、相棒」
「ん?ガッハッハッ!おう!任せとけ任せとけぃっ!この天才の名を欲しいままにし!海の芸術家とさえ言われ!絶賛さr〜〜〜」




絶対無理だ。
11 名前: ポップ・ウソップ冒険記 [sage] 投稿日: 2005/11/18(金) 00:07:52 ID:rDFkSRs6O



【AM7:26/鹿児島県出水(いずみ)、某一軒家】

「…よっ…と!」
「どうだった?床の下や屋根裏なんか探して、収穫あったのか?」
「まあまあ!慌てるな慌てるな!全く、この世界の家はスゲエなぁ。見た事の無い構造してやがるぜ。ま、大体の基本的なトコはオレの世界とおんなじみたいだけどな」
「へえ…ウソップって大工仕事もできるのか?詳しいもんだな」
「オレは狙撃手だ!ったく、みんなオレの事大工扱いしやがる!」
「違うのかよ?」

そのウソップの顔をのぞき見て笑顔を向けるポップ。
しかしウソップはどこか不満げに少し顔をしかめる。

「まあそれは置いといて…」
「ん?」
「……やっぱ変だぜこの世界。どう見たってこの家、新築って見た目じゃねえのに…屋根裏なんかきれいなもんだし」
「こまめに手入れしてたんじゃないのか?」
「ありえねえって。屋根裏だぞ?埃が溜まって汚れてるのが普通なのに…チリ一つ無かった」

汚れ一つ無い手のひらをポップに向ける。

「そうか…。確かに変だな」
「…ま、そのおかげで良い材料はいろいろ手に入ったぜ。時間が惜しいからな、早速始めるとすっか」
「時間はどれくらい掛かりそうなんだよ?」
「よいしょっ…と!う〜ん…そうだなぁ、何とか昼前には終わらせるよう努力はするぜ」
12 名前: ポップ・ウソップ冒険記 [sage] 投稿日: 2005/11/18(金) 00:12:25 ID:rDFkSRs6O

「昼前か、長いな…」

放送があってから、仲間の身を案じる不安の気持ちはどんどん重なる一方である。
ウソップの提案であるとはいえ、移動の時間を大きく削られてしまう事にポップは不安を隠せず…マァムたちを探したい気持ちが膨らむ今、その『昼前まで』との宣告を受けて深いため息を吐く。

「…なあ、やっぱやめにして…出発しないか?」
「えっ?」
「別に俺は武器なんて無くても戦えるし、こんな事してる間にも…」
「信じろ」
「………え?」

不意に言葉を挟まれ、ポップは目をキョトンとさせてキッチンテーブルの上に座って作業の準備を続けているままのウソップに視線を向ける。

「オレは会った事無えからポップの仲間の事詳しくは知らねえ。でも、仲間なんだろ?お前の」
「…ああ」
「その…ダイとマァムってのは、すげぇ強いんだろ?」
「ああ」
「だったら信じろ。自分の仲間の強さを。オレはルフィとロビンの事を信じてる。あいつらに会えた時のために、今のオレに出来る事全てを完璧にやっておくだけだ」
「……」

ポップの方には顔を向けず、淡々と言葉を続ける。

「…じゃなきゃ、あいつらに合わせる顔がねえよ」
「………」
「それが……仲間ってもんだろ?」

そこで初めてポップの顔を見る。
その表情は…自信に満ちた笑顔。

「…そうだな…分かった。悪かったな」
「ま、力を蓄えとくんだな。ゆっくり飯食えるのも今の内だけかもしれねぇからな」
13 名前: ポップ・ウソップ冒険記 [sage] 投稿日: 2005/11/18(金) 00:13:38 ID:rDFkSRs6O


ポップは正直、驚いていた。
この頼りなさげな相棒からまさかこのような言葉を受けるとは全く思っていなかった。
迷いや焦りは瞬時に吹き飛んだ。

(俺、どうにかしてたな。もしアバン先生だったとしても、同じような事言われちまったかもしれないな)


(…勘弁してくれよ!能力者が簡単にやられちまうような所なんだぞ!せっかく人が近寄り辛い禁止エリアの近くにいるんだ、急いで離れるこた無い。ルフィもロビンもきっとしっかりやってるさ!)

あさっての方を向いて作業を続けているウソップがそんな事を考えているとは、今のポップには気付けるはずも無かったわけで。


【AM10:43/鹿児島県出水、某一軒家のキッチン】

「よぉ〜し!完成っ!!」
「お、やっと終わったか!」

窓の外をぼんやりと眺めていたポップの顔がパッと明るくなり、ウソップの元へ歩み寄る。

「どれどれ……へぇぇ、お前凄いな」
「ようやく気付いたのかねポップ君。ほら、これがお前のだ」

ポイッと木製の棒のような物を投げられ、慌てた手つきで受け取る。

「取り外せる先端の中にナイフの刃を仕込んである杖だ。名付けて『仕込み杖(ナイフロッド)』!!」
「まんまじゃねえか。…へへ、ありがとよ。ありがたく使わせてもらうぜ」
「他にもいろいろ作れたが…ま、俺たちには必要無い物がほとんどだ。俺にはこいつがあるしな!」
14 名前: ポップ・ウソップ冒険記 [sage] 投稿日: 2005/11/18(金) 00:14:47 ID:rDFkSRs6O

「なんだそりゃ?えらくイビツな形だなぁ」
「じゃ〜ん!パチンコだ!この世界にもウソップ輪ゴームが有るとは思わなかったぜ!」

その手に収まっている物は、ナイフで削って作られた胴体に軽く捻った輪ゴムの束をくくり付けられている…
見た目はいびつではあったが、それは確かにパチンコそのものであった。

「そんな物、武器になるのか?オモチャじゃねえか」
「ぬっふっふっふっ…甘いな。こいつこそ世界最強の武器!新作の弾も作れたし、これでもう俺様に恐れる物は無ぁ〜いッ!!」
「本当かよ…」

その新作、ガラスを小さく砕いて詰めた『特製チクチク星』と手頃な大きさの石ころ数個をポケットに詰め込み、残りの完成品をポイポイカプセルの中へと収める。

「よし、じゃあそろそろ出発しようぜ。だいぶ時間も食っちまったし」
「ち、ちょっと待て。俺が長年苦しめられている持病の『家の外に出てはいけない病』が…」

腹を押さえて苦しげにうめくウソップ。

「……おい、そんな病気聞いた事無いぞ。ほら!行くぞウソップ!」
「待て待てポップ!イテッ!ひ、引っ張るなって!イテテテッッ!!!」


はてさてこの楽しげなコンビ、一体これからどんな出会いや出来事が待っているのやら。




ここまでの冒険を記録しますか?

>はい
 いいえ
15 名前: ポップ・ウソップ冒険記 [sage] 投稿日: 2005/11/18(金) 00:17:48 ID:rDFkSRs6O



【鹿児島県、出水/昼】

【ウソップ@ワンピース】
[状態]健康
[装備]:賢者のアクアマリン@ハンター×ハンター
:いびつなパチンコ(特製チクチク星×5、石数個)
:大量の輪ゴム
[道具]:荷物一式(食料・水、残り3/4)
:死者への往復葉書@ハンター×ハンター
:手作りの作品や集めたガラクタなどの数々
[思考]1:アイテムを信じて仲間を探す
2:ルフィ・ロビン・ポップの仲間との合流

【ポップ@ダイの大冒険】
[状態]健康
[装備]:魔封環@幽遊白書
:ウソップ作の仕込み杖(投げナイフを使用)
[道具]荷物一式(食料・水、残り3/4)
[思考]1:ダイ・マァム・ウソップの仲間との合流
2:フレイザードを早めに倒す
16 名前: 大阪探索は波乱含み [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 23:05:10 ID:Mghim3D10
入り組んだ住宅街。一見するとごく普通の家々。
違うのは、きっと現実なら聞こえているだろう音が、何一つしないこと。
子供の声もしない。大人の声もしない。飼い犬の声も。野良猫の声も。車の声も。笑う声も。鳴く声も。
何の声も聞こえない。死んだように静まり返った街。
ひどく明るく穏やかな日差しの中で、何一つ動くもののない世界は、夜中以上に不気味に見えて、
遊戯は小さく身を震わせた。
「ここにも、誰もいないみたいだね…。」
ほっとしたような、落胆したような、力の無い声で呟く。この街に3人だけの唯一の声。

探索を始めてから3時間ほど。彼らは未だに、他の参加者と出会っていなかった。

「二人とも大丈夫?少し休もうか?」
先頭を歩くカズキは、前方を油断無く見回しながらも、心配そうに二人に声をかける。
「ううん、まだ大丈夫だよ!」
「わらわもまだ大丈夫よぉん。」
休んでいる暇はない。今この瞬間にも、誰かが襲われているかもしれないのに。
しかし言葉とは裏腹に、遊戯はかなりの無理をしていた。
この3時間、移動で歩き詰め、建物の上り下りも多い。
戦士であり元々運動の得意なカズキや、ある程度の修行を積んでいる妲己と違い、遊戯は体力があまり無いのだ。
その上、いつ襲われるかわからず、仲間も誰も見つからないという、精神的な疲労。
もしかして誰も居ないんじゃないか? みんな殺されてしまったんじゃ? 城之内くんのように―――。
不安。希望。落胆。絶望。恐怖。死。どれだけ否定して振り払っても、何度も同じことを考えてしまう。
平和な日常を生きてきた遊戯にとって、あまりにも強すぎる重圧。
体力の消耗は精神を、精神の消耗は体力を、更に少しずつ蝕んでいく。

(相棒。)
心配そうな彼の声。
(大丈夫、だよ。もう一人のボク。)
大丈夫じゃなきゃいけない。足手まといになるわけにはいかない。
これから先も、脱出できるまでは、まだまだこんな時間が続くのだ。
皆を守るためには、こんなくらいでへこたれているわけにはいかない。だから―――
17 名前: 大阪探索は波乱含み2/6 [sage番号入れ忘れた] 投稿日: 2005/11/19(土) 23:07:31 ID:Mghim3D10


「うぷっ!」
疲れで少しぼんやりしていたらしい。立ち止まった妲己の背中にぶつかってしまった。
「ご、ごめんね妲己さ…」
そこまで言葉にしてから気付く。妲己が自分を見ることなく、前を見ていることを。
そう、ただ前だけを。前方、3人の前にあるものを…
遊戯は目を見開いた。

「う…わあぁぁっ!?」

それは紅い水たまり。血だまり。べっとりとした紅。その紅に沈む肉塊。人。人であったもの。なれの果て。
外側と中身が混ざり合った頭部を見れば、それが絶命していることは一目瞭然だった。
髪の長さから少女であろうことは見当が付くが、顔も半ば潰れてしまっている。
「……っ!」
胃を逆流するものを無理矢理押さえ込む。
あれは…人間!?本当に!?あんな…!
ぐるぐると渦巻く。死は知っていても、本物の死体など初めてだし、何よりこれは酷すぎる。
遊戯は真っ青な顔で口元を押さえ、ただ、立っているのが精一杯だった。
18 名前: 大阪探索は波乱含み3/6 [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 23:09:01 ID:Mghim3D10
一番最初に言葉を発したのはカズキだった。
「…どうして、こんなこと…!こんな子供まで…っ!」
絞り出すような、震える声。悲しみと怒りが滲んでいる。
そう言われて遊戯は初めて、少女の身体がとても小さいことに気付いた。
華奢な身体。血の気を失った肌。
きっと弱い自分よりも更に弱い少女。こんな子までが、どうしてこんな…。
「カズキちゃん…。」
妲己は口元に手を当て、涙を浮かべ、不安げにカズキを見つめる。
「……ごめん。二人とも、少し休んでて。俺は…この子を埋葬してから行くから…。」
「そう…。ごめんなさい、わらわは少し休ませてもらうわぁん…。」
遊戯は俯いていた顔を上げる。
青い顔のままだが、カズキを見つめ、確かな声で言った。
「…カズキくん。ボクにも手伝わせて。」
カズキは心配そうな顔をしたが、大丈夫かどうかは聞かなかった。
代わりに遊戯の目を見つめ、一度だけ強く頷いた。



ざく。ざく。ざく。ざく。ざく。ざく。ざく。ざく。
死んだ街に穴を穿つ音だけが響く。
剣で。石で。
それぞれに。ただ、ただ一心に。

 
19 名前: 大阪探索は波乱含み4/6 [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 23:11:05 ID:Mghim3D10
どのくらいの時間が経っただろうか。
もうすぐ掘り終わるという頃、遊戯の身体が大きく傾いだ。
(相棒!)
「遊戯!?」
遊戯の体力と精神力が限界に来ていたのだ。
なんとか地面に倒れこむことは避けたが、誰の目から見ても無理は明らかだった。
「遊戯、妲己さんと少し休んでて。もうすぐ終わるから…。」
「でも…!」
(相棒!今倒れたら、守るものも守れないぜ!)
「…わかった。少しだけ、休ませてもらうね…。」
遊戯はややふらついた足取りで、家の影で待つ妲己の元へと向かった。
自分の無力さを情けなく感じながら。

遊戯はカズキと妲己を守りたいと願う。
けれど、自分はお荷物、きっと守られてしまう側だろう。
カズキと妲己どころか、自分より弱いあの少女すら守れない。
カズキはこの大阪探索で、遊戯と妲己を守るために、常に先頭に立って歩いていた。
きっとカズキは、遊戯を守り続けるだろう。彼が弱者である限り、自分の身さえ厭わず。
自分には力が無い。そのことがひたすらに歯痒い。
優しさ。勇気。強い心。それだけが遊戯の持つもの。
しかしそれだけでは誰かを守れない。守られてしまう。
力が欲しい。傷つけるためじゃなく、杏子や海馬くんを、カズキくんを、妲己さんを、
あの少女のような参加者を、みんなを守れる力が。


すぐそこの曲がり角、家の影へ。そこに妲己が居る。居るはずだった。
「…あれ?」
辺りを見回す。目に入るのは、誰も居ない住宅街だけ。
「……妲己さん…?」
20 名前: 大阪探索は波乱含み5/6 [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 23:12:18 ID:Mghim3D10
無造作に落とされていた紙を拾い上げる。
『”黒の章”人間の闇の部分を記録したビデオ』
妲己の目の前にあるテレビ。
そこに映し出されているものは、最低最悪のビデオ。この世で最も残酷で非道な人間の姿。
「ふぅん…なかなか良い趣味ねぇん。」
妲己は小さく微笑した。ビデオの中の人間よりも、遥かに邪悪に。

埋葬を手伝うつもりなどさらさら無く、悲しんだフリをして休んでいた妲己は、ふと声に気付いた。
微かにだが確かに聞こえる声。静かな街から聞こえる声。そして、何か違和感を感じる声。
妲己は最初、複数の参加者が何か言い争っているのだと思っていたが、次第に妙なことに気付いた。
数分経つごとに、声が全く別人たちのものになるのだ。
どう考えても、交互に話しているというような替わり方ではない。
そう、まるで切り替わったように。
まだしばらく作業が終わらないことを確認し、妲己は声の方へ向かうことにした。

「まぁまぁってところねぇん。」
しばし鑑賞してから、妲己はテープと霊界テレビをそこにあったポイポイカプセルに詰める。
脱出するにしにも、優勝するにしても、使える道具は多い方がいい。
まぁ、お土産ってことでもなかなかいいわよねぇん。
なかなか楽しいものを見た妲己は、上機嫌で民家を後にした。



もうすぐ、2度目の放送が流れる。
21 名前: 大阪探索は波乱含み6/6 [sage] 投稿日: 2005/11/19(土) 23:17:26 ID:Mghim3D10
【妲己ちゃんと愉快な武藤達】
【大阪住宅街/昼】

【蘇妲己@封神演義】
 [状態]:健康
 [装備]:打神鞭@封神演義、魔甲拳@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)、黒の章@幽遊白書、霊界テレビ@幽遊白書
 [思考]:1 二人のところへ戻る。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集める。
      3 太公望、竜吉公主、趙公明から自分の本性を明かされるのを防ぎたいが、
        本性がバレても可能ならば説得して脱出のため協力し合う。
      4 どんな事をしてもゲームを脱出し元の世界に帰る。 可能なら太公望や仲間も脱出させるが不可能なら見捨てる。

【武藤カズキ@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:ドラゴンキラー@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1 少女を埋葬する。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集め、趙公明を発見したら倒す。
      3 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、杏子、海馬を優先。
      4 蝶野攻爵がこの状況でも決着をつける気なら相手になる。
      5 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。

【武藤遊戯@遊戯王】
 [状態]:健康
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1 妲己がいないことで困惑。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集め、趙公明を発見したら倒す。
      3 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、杏子、海馬を優先。
      4 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。
 [闇遊戯の思考]:妲己の警戒を続けるが、妲己が善人ならばと希望を抱いている。
22 名前: 魁!一護100%〜戦う壮年〜 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 01:33:49 ID:kJo3RtHr0

――拝啓おふくろ様
  ご無沙汰しております。最後にお会いしてから、もう六年になりますね。
 それというのも、便りが無いのはなんとやら、という言葉にあやかろうと思い立ったからです。愚かな考えではありますが。
――ごめんなさい、嘘です。
  ユズもカリンも元気にしています。ヒゲはぶっちゃけ元気すぎで迷惑です。
 さて、バカ息子一護の近況をお話いたします。 何の因果か、今、オレはクソッタレな殺し合いゲームに巻き込まれています。

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23 名前: 魁!一護100%〜戦う壮年〜 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 01:34:21 ID:kJo3RtHr0

「次から次へと…この天は余程、このアミバの才を妬んでいるとみえる」

 アミバは、目の前に現れた巨漢、江田島平八に対して語りかけた。
その身を包むものは余裕。己が才に対する絶対の自信。独学で北斗神拳すら会得した、天賦の才をもつものとして
このような場で死ぬことなどありえないという確信。先は子供二人相手に不覚を取ったが、同じ過ちを繰り返すような愚は
このアミバには有り得ない!!

 ――実際、一護の秘孔を突くために拳銃を腰に仕舞ったという行動自体が悪手ではあったが、生憎、今の時点では
アミバがそれに気づくことは無かった。

「貴様…そこの二人に何をした?」
 江田島は問いかける。静かな声で。だが、その声音は抑えきれない怒気を孕んで。
「黒髪の餓鬼は、この天才が我がアミバ流北斗神拳の新たなる一歩のための実験体になってもらった。
 オレンジの方も、これから実験体になってもらうつもりだ。何、運がよければ死ぬことは無い。いや、
 死んだとしても、この天才の糧になれたと思えば、むしろ喜ぶべきことだとは思わんかね?」
 アミバは感心していた。目の前の男が放つ威圧感に。
アミバは慢心していた。圧倒的に有利な立場に居る自分を自覚して。
アミバには自信があった。自分の溢れんばかりの才能に対して。
アミバには過信があった。自分の溢れんばかりの才能に対して。

 江田島の目の前に居るのは男。名をアミバ。この男が行っているのは、闘いではない。
無力な者を嬲り、踏みつけ、己を誇示することになんの躊躇も無い行動。これは闘いではない。
江田島の頭に、一瞬、死んだ男塾一号生筆頭の顔がよぎる。それは、一瞬の回想。

 桃よ。日本男児として恥じない、立派な散り様だったのだろう。
さらばだ、剣桃太郎。わしは貴様のような塾生をもって誇りに思うぞ!!

 次の瞬間、江田島から溢れる威圧感が。
この戦場を覆い隠すかのように広く、深く、大きく、重く膨れ上がる!

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24 名前: 魁!一護100%〜戦う壮年〜 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 01:35:47 ID:kJo3RtHr0

「おい、真中!大丈夫か?!」
 一護は這いずる。先ほど砕かれた膝は言うことを聞かず、今は這いずることしかできない。
目の前で、また誰かが傷つけられた。自分はまた、守ることが出来なかった。そして、今は這いずることしかできない。
自分の動きが、まるで泥の中を泳ぐように緩慢におもえる。それでも。先ほどから痙攣を続けている真中の下へ這っていく
「ファー…ブルスコ…ファー…ブルスコ…ファ-」
だが。未だ痙攣している真中に声をかけても、まともな返答がない。
極度の緊張、実際に襲われたという事実、アミバに突かれた秘孔の作用…
あるいはそれ等全てが真中の内部で出会ってしまい―――化学反応を起こしスパーク……はしなかったが。
「くろ…あし…あぐ!」
「あ?」
「あがが…ひざ…うたれ…」
「つーか、お前が大丈夫かよ!?」
「かゆ…うま…」
「って、まて。お前は何を言おうとしてるんだ?!」
 
――拝啓おふくろ様
 こっちにきてから、オレはどんな状況でもツっこんでばかりです。オレは一体どこに行くんでしょうか。

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25 名前: 魁!一護100%〜戦う壮年〜 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 01:36:29 ID:kJo3RtHr0

「おれはどんな拳法でもだれよりも早く習得できる天才だ!!」

 叫ぶ。叫ぶ。アミバは吼える。この天才としたことが、相手を過小評価していたとは!
目の前の相手、江田島の姿が、何倍にも大きく見える。越えることを考えることすらできない、絶壁のように
見える。―考えろ。越えられぬ絶壁など無い。超えられぬ相手などない。

 思いついた一手。それは…

――フン、先程と同じ手で行くか。

 人質をとること。あいつらが、黒髪のガキが言っていた仲間に違いない。ならば、仲間の命をチップにつかえばいい。
目の前の男は強い。だからこそ、我が北斗神拳の進化のためのいい木人形になってくれるだろう。
そこで、アミバは銃口を真中に向けようとし、ついに自分の失策に気付く。

―それは、一護の秘孔を突くために拳銃を腰に仕舞ってしまったという、単純なミス。
拳銃を抜き、照準を合わせ、引き金を引くという三挙動が生み出す、致命的なまでの隙。
目の前の相手が、それを見逃してくれるとは、アミバにはさらさら思えなかった。

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26 名前: 魁!一護100%〜戦う壮年〜 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 01:42:09 ID:kJo3RtHr0

……
………

 ――拝啓おふくろ様。
 淳平です。何の因果か、訳の分からない殺し合いゲームに巻き込まれています。
殺人者に襲われたっていっていた男性を助けたら、突然、変なツボを押されて、只今、絶賛痙攣中です。
先程の超常バトルはオレの理解を超えていました。映画監督を志す身としては、非常に情けないのですが
音声だけお伝えすると、以下のような感じです。

「死ねィ!江田島ッ!! 天破活殺ッ!!」
「ふ、それで天才とは笑わせよる。気の練り込みが全く足らんわ。せっかくの技が泣いておるぞ」 
「アミバよ、これが拳。これが技。これが千歩氣功拳じゃあッ〜!!」


 先の闘いは、平八のおじさんの勝ちでした。決まり手はビームです。
あの隈取り鍼灸師みたいな奴は「モルスァ」みたいなこと言いながらすごい勢いで飛んで行きました。

 ――拝啓おふくろ様。先立ちそうな不幸をお許しください。

でも。東城も、西野も、つかさも、黒埼も、平八のおじさん…いや、おじさまも、絶対に死なせはしません。


――死なせて、たまるか。

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27 名前: 魁!一護100%〜戦う壮年〜 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 01:42:51 ID:kJo3RtHr0

【埼玉県(森)/朝】
【アミバ@北斗の拳】
 [状態]:ダメージ大・気絶中
(森の奥で、つたに絡まって逆さ吊りになってます)
 [装備]:ニューナンブ@こちら葛飾区亀有公園前派出所
 [道具]:支給品一式(食料1日分消費)
 [思考]:1.目の前の敵と戦う 
     2.皆殺し

【いちご100%@真中淳平】
【状態】手首捻挫 痙攣中(1時間ほどで治まる)
【装備】無し
【道具】無し
【思考】1.知り合いとの合流
    2.東京を目指す

【江田島平八@魁!!男塾】
【状態】健康
【装備】無し
【道具】支給品一式、不明
【思考】1.「わしが男塾塾長、江田島平八である!!!」
    2.「日本男児の生き様は色無し恋無し情けあり」

【黒崎一護@BLEACH】
【状態】両膝破壊 (名簿に写真がないため、メガネ藍染かオールバック愛染かは知らない)
【装備】シャハルの鏡@ダイの大冒険
【道具】支給品一式
【思考】1.目の前で襲われている奴らがいたら助ける
    2.朽木ルキアとの合流
    3.東京を目指す
28 名前: 拳の王 ◆BvF.18eh2c [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 02:51:27 ID:N9Y4mYgS0
「蟻が幾ら束になろうと、象には敵わぬが、然し」

青色の光弾――霊丸(レイガン)の撃ち放たれた方角を見遣れば、二名の男の姿が浮かぶ。
"霊界探偵"浦飯幽助と、死を呼ぶ"黒猫"トレイン・ハートネット。
土煙の中に悠然と佇む世紀末覇者ラオウは、対峙していたクロロに加勢が現れたことに、臆すどころか喜びを感じていた。
雑魚を雑魚として各個撃破するなどと言う作業は、其れこそ凡百の雑魚どもに任せるべきことだ。

「同時に、脆弱な矢であろうとも、集えば折れぬこともあると聞く。
 この拳王、多勢に無勢であろうと逃げも隠れもせん!
 ウヌらが唯の蟻であるか、其れともこの拳王と言う名の天に向け射られた矢であるか。
 ここで試してみるのも面白かろう」

スゥ―― 
大地を踏みしめた巨漢が深く息を吸い込めば、唯でさえ巨大な彼の存在が、より密度を増したように感じられた。
北斗神拳奥義『天龍呼吸法』
通常人間は30%程度の力しか出すことは出来ぬ。其の、秘められた潜在能力を自在に扱うための奥義。
身体中に満ち満ちた闘気は溢れ出さんばかりであって、今正に、捧げられる生贄を待ち望んでいた。
円満な解決など、有り得ぬ。この闘争に終止符が打たれるとすれば、其れは、どちらかの死を以ってしてのみ。
29 名前: 拳の王2/8 ◆ErG3fI.u3U [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 02:53:52 ID:N9Y4mYgS0
「好き勝手言ってやがるけどな。
 オレはそういう暑苦しいの、興味ないんだよね!」

拳王の放つ圧倒的なプレッシャー。杏子は勿論、他の面々も迂闊には手を出すことも出来ずにいる。
そんな膠着した時を動かしたのは、黒猫と呼ばれる掃除屋、トレインだった。
――猫は自由な生き物。一時であろうと、束縛されるのを極端に嫌うのだ。
可変型バスーカ砲"ウルスラグナ"を肩に構えると、即座に、引き金に手を掛ける。
"不殺"だ如何だと躊躇している場合ではないことは理解していた。手を抜いてる場合でも!

「――――!」

轟音とマズルフラッシュ。
悲鳴は誰のものか判断不可能。全ての音が、より凶悪な音によって飲み込まれた。
放たれたバズーカ弾は、確実に拳王を名乗る人物を巻き込み、影も残さぬ塵芥と――

「斯様な兵器の前に敗北する北斗ならば、誰も世紀末覇者を目指そうとは思わぬ」

爆心地には何も残されていなかった。黒死体と化すべきラオウも、対峙していたクロロも。
豪、とした声とは裏腹に、跳躍した巨漢の動きは、実に流麗――北斗神拳『空極流舞』
全身の神経を研ぎ澄まし、空気の動きに逆らわずに跳躍することにより、向かい来る飛び道具を回避する秘儀。
然し、この技の真に恐るべきは、回避とほぼ同時に反撃に転ずるカウンター技であることだ。

――やべえ!

バズーカ弾の行方に気を取られていた黒猫の瞳に映るは、爆発の勢いさえ利用し、宙を舞ったラオウの姿。
移動して回避するには、抱えてしまったこの"ウルスラグナ"は重過ぎる――
30 名前: 拳の王3/8 ◆ErG3fI.u3U [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 02:54:57 ID:N9Y4mYgS0
「……させるかよ!」
「……!」

今正に、黒猫め目掛けて拳を下ろさんと振り被ったラオウの両サイドに、2つの影が浮かび上がる。
着地する左膝を目掛けて、クロロの強烈なローキック。
振り上げた右腕に対して、幽助の霊気を篭めた右ストレート。
さしもの拳王も自在に空は飛べぬ。この猛者を打倒するならば、与えられる隙は幾度かの数瞬――
クロロ、幽助とて示し合わせたわけでは勿論ないし、そのような時間も与えられる筈もなかったのだが、
二者の豊富な戦闘経験が、微かに与えられた隙を見逃すこともなく、結果として同時同瞬の攻撃を可能としたのだ。

「……羽虫風情が、思いの他、やりおるわ!」

腕だけを抑えられれば、脚があった。脚だけを抑えられれば、腕があった。
然し其の両方を同時に奪われたとあっては、拳王とて力を振るうことは出来ぬ。

「然し、……未だ、生温い!」

其の動きを挟み込むように封じてしまった上でも、ラオウの優勢には皹も入らぬ。
裂帛の気合と共に、腕と脚に纏わりついた二名を、唯、力任せに弾き飛ばし、
同時に、上半身を捻りながら旋回させれば、唯一自由な左の豪腕を、幽助の身体へと叩き込んだ!

「……ぶッ」

間一髪、両腕で防御するも、身体ごと大きく吹き飛ばされる。"無敵"の筈の鉄鋼が、上げる悲鳴、軋み声。
単純な腕力をのみ考えようとも、拳王は拳王。場の誰にも劣りはせぬ。
31 名前: 拳の王4/8 ◆ErG3fI.u3U [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 02:56:12 ID:N9Y4mYgS0
蜘蛛の子を散らすように飛散する、天に弓射るが如き三名――、地に伏したままトレインが怒声を上げた。

「……こんにゃろぉッ!!」

――ガコン、撃鉄の落ちるような可変音。
砲身を握り手に、グリップを槌の形へと見立てれば、バズーカ砲"ウルスラグナ"は一転して一撃粉砕の鈍器へと転じる。
一足飛びに襲来する黒猫めを眼に映しながら、拳王は不敵に唇を歪めるのだった。



地面に叩きつけられ、刹那、朦朧とした意識の中で浦飯幽助は考えた。
目を見張るような特殊なルールを強いられるわけでもなかった。
強力な武器を扱うわけでも、怪しげな秘術を用いるわけでもなかった。
唯、其の肉体の頑健さのみにおいて、何者をも寄せ付けぬ、最強の存在。
――思い出さぬわけにはいかなかった。師を殺し、妖怪に転じた、あの男を。

「戸愚呂……!」

倒せるか倒せぬかはさしたる問題でなかった。
力を求める誰かの傲慢が、いずれ他の誰かの不幸を呼ぶことを見逃すわけにはいかねえ。
この男はオレがココで始末する――、いや、始末せねばならないのだ。

覚醒する意識。じり、と砂を掴む幽助を介抱するように、何時の間にか近づいていたクロロが手を伸ばした。
伸ばされ手を勢いよく振り払う。クロロは、少しだけ笑ったように見えた。この状況で、不思議と。
32 名前: 拳の王5/8 ◆ErG3fI.u3U [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 03:14:14 ID:N9Y4mYgS0
「随分と熱くなっているようだが、少しだけオレの話を聞く気はないか?」

無策に殴り掛かりそうな幽助に対して、語り掛けるクロロの声。

「ああ?」
「そういきり立つな。勝つものも勝てなくなる」

今の浦飯は、言うなれば点火済みの導火線。言葉に配慮など無くなって然りだ。
見れば自らを拳王と名乗った人物と、黒猫――トレイン・ハートネットが戦いを繰り広げている。
戦況は、拳王に優勢、否、一方的に打ち込まれるラオウの拳撃を、如何にかオリハルコンの鉄槌で防いでいる状況。
鋼ごと、兜ごと粉砕するラオウの拳を以ってしてさえ、オリハルコンの防壁を打ち破るのは易々とはいかぬようだ。

「さっきの青い光、アレはアンタの能力だな?」

瞳は戦闘へと差し向けたままに、クロロは短く尋ねた。
先刻、横合いから放たれた青い光による衝撃。自分の物差しで図るのならば、"放出系"の能力。
ラオウに応戦中の少年が其の持ち主ならば、無策に突っ込みはするまい――そう考えての問い掛けだ。
冷静に戦況を眺めるクロロに対し、幽助と言えば今にも飛び出さんとしていた。
"それがどうした"と口調も荒々しく苛立ち、

「霊丸だ。オレの18番だったんだんだが……見ただろう、あの肉だるまには利きやしねえ。
 間の悪いことに、後二発しか残ってねえしな」

青い光呼ばわりされたのが気に食わなかったわけではないけれど、怒鳴るように吐き棄てた。
クロロは自らの顎を捻るように思案すると、

「……二発、ね。
 其れだけあれば十分だ」
33 名前: 拳の王6/8 ◆ErG3fI.u3U [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 03:20:06 ID:N9Y4mYgS0
確信に満ちた笑顔を、差し向ける。怪訝そうに睨み付ける幽助。
クロロは怖い顔をするなよ、と前置いてから、

「拳王だっけか、確かにあの男は不死身の怪物のように思えるかもしれないが、実際は違う。
 アンタの攻撃は、着実に効いている。いや」

言葉を一度切った。大切な部分だ、念押すように息を吸い込むと

「今までのところ、"アンタの攻撃しか効いてない"と言っても過言じゃないだろうな。
 アレは唯の筋肉の塊なんかじゃあない。凄まじいまでのオーラの鎧に包まれた、難攻不落の要塞だ」

「……結局、何が言いてえんだよ、アンタ」

ラオウを見据えるクロロの瞳は、鋭く尖るような輝きに満ちていた。"凝"――相手のオーラを知覚する技術。
盗賊の眼に映るのは、ラオウの全身を覆う禍々しい程のオーラ――闘気。
"理想的な強化系の能力者だ"とクロロは感じると共に、戦慄する。単純ではあるが、其れ故に攻略困難。
生半可な攻撃ではあのオーラの防壁を崩すことは、不可能。
然しながら、同程度に高められた"強化系"或いは――"放出系能力者"ならば。
クロロは瞳を流し、ついと指を持ち上げると、指し示した。

「オレが隙を作る。霊丸――だっけ。
 必殺技を撃つならば、胸を狙うといい。ケチらずにな」

ラオウの胸を。目を凝らせば、確かに紅く"V"の形に傷が刻まれていた。
勝利に固執する一人の戦士が、自らの死と引き換えに刻み込んだ最後の一撃。
盗賊は口元をニヤリと歪めると、ラオウを回り込むように走り出した。遅れるな、と背中で語って。

「へっ。前置きが長過ぎんだよ」
頭に血が上り過ぎていた幽助の顔に、微かな笑みが浮かぶ。
やがて彼も、グルグルと柔軟運動のように腕を振り回しながら、加熱する戦いの場へと駆け出した――
34 名前: 拳の王7/8 ◆ErG3fI.u3U [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 03:22:41 ID:N9Y4mYgS0
降り注ぐ拳の雨。否、其れが雨ならばどれだけ良かっただろう。
拳王の放つ一撃一撃は、目にも留まらぬ速さであるとか、反応が間に合わぬほどの連続攻撃であるとか
其の類の不可避な拳撃ではけっしてなかった。特に、一流の掃除屋である、トレイン・ハートネットにとっては。
唯、繰り返される一撃が、即ち必殺。回避を損ねた瞬間に、自らに訪れるのは絶対なる死―― 故に、気が全く抜けない。
ハンマー型に可変させた"ウルスラグナ"を盾に、撃ち込まれる数多の拳を回避し切るので、今は手一杯だ。
然し、ラオウとて其れは同じ筈。粘り続ければ、何れ反撃の機会はきっと――

「ふぬ。…………余興めと戯れておったが、単調に過ぎる。この拳王、聊か飽いた」

ずしゃ。
左脇に構えていた右腕を、斜め上に振り上げる貫手の一閃。
グツグツに熱した鉄棒を当てられたような痛みが走れば――、ボトリと落下するトレインの右腕。
「……ッッ!」
一呼吸の間も無く続く一蹴を、如何にか"ウルスラグナ"で防御するも、其の先が続かなかった。
――ラオウにとって今までの攻勢は、未だ児戯に過ぎなかったのだ。
ドンッ! 人形のように吹き飛ばされ、何度か転がってはうつ伏せに地を舐める。
慣れた拳銃"ハーディス"とは勝手が違い過ぎる。この超重武器を、片腕で支えるには無理がある――

「トレインッ!!!!!」
「……ちぃ、遅いぜ、幽助」

右腕を、長年連れ添った相棒の片割れを失った。けれど、窮地に立たされようとも、黒猫は弱音を吐くことはなかった。
ただ、"新しい方の相棒"の声に返事を返せば、槌を支えに立ち上がる。彼の瞳は、諦めなど微塵も感じさせなかった。
双眸は絶望に染まるどころか、愉しげに答えすらした。既に、戦える状態ではなかったけれど。
35 名前: 拳の王8/8 ◆ErG3fI.u3U [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 03:23:32 ID:N9Y4mYgS0
「ま、感謝しろ。美味しいところは残しておいてやった」
「……へ、言いやがる。フラフラじゃねえか」

追い討ちを仕掛けんとするラオウの前に、立ち塞がる影は、浦飯幽助。
ほぅ、と感嘆の声を上げる拳王。立ち上がるオーラは、先程のそれとは比較することも敵わぬ。
背姿のまま、青年は言った。誇り高き黒猫に。瞳の端に、未だ震えて動けぬ杏子の姿が映った。

「立てるよな。だったら、あの女の子を頼む。テメエにしか頼めねえ仕事だ。トレイン」

逃げろ、とは言わなかった。互いに一人の男として、通じ合えるものがあったから。
不器用な心遣いを受けて、黒猫は静かに微笑んで、ああ、小さくと頷いた。

「この腐れゲームで最初にアンタに会えたのは、幸運だったぜ、幽助。
 ――生き延びろよな、絶対」

着飾った言葉は必要なかった。後は、請け負った仕事は完遂するだけだ。最高のスイーパーの誇りにかけて。
鉄槌を如何にか肩に抱え、茫然自失とした少女を促すと、トレイン・ハートネットは森の奥へと消えていった。


「……別れの言葉は済んだようだな」
唇を歪ませながら、拳王が呟く。背中を見せ逃れ行く手負いの黒猫は、最早眼中に無かった。
ラオウにとって猛者との闘争、其の打倒こそがこのゲームの全て。負傷した弱者は既に、死と等価である。
「気負う必要は無いんでね。また、直ぐに会える」
拳を打ち合わせて音を鳴らし、幽助――そして、クロロは対峙する、左掌には、開かれた"盗賊の極意"。
「笑止」
拳王の前に立ち塞がるは、何れ違わぬ猛者。けれど、最期に勝ち残るはこの拳王を除いて他にはあらぬ。
言葉と同時――、戦いの火蓋が、三度切って落とされた。
36 名前: 拳の王 ◆ErG3fI.u3U [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 03:24:16 ID:N9Y4mYgS0
【栃木県/午前】

【トレイン・ハートネット@BLACK CAT】
[状態]左腕に軽傷/右腕肘から下を切断
[装備]ウルスラグナ@BLACK CAT(バズーカ砲。残弾二発)
[道具]荷物一式
[思考]
1:杏子と共に逃走
2:スヴェン、イヴ、リンスを探す
3:幽助に協力する
4:ゲームからの脱出

【浦飯幽助
@幽遊白書】
[状態]健康(頭部軽ダメージはほぼ完治)
    本日の霊丸の残弾2/4
[装備]新・無敵鉄甲(右腕用)@るろうに剣心
[道具]荷物一式
[思考]
1:ラオウを打倒
2:桑原、飛影を探す
2:トレインに協力する
4:ゲームからの脱出
37 名前: 拳の王 ◆ErG3fI.u3U [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 03:28:37 ID:vmwziCOl0
【真崎杏子@遊戯王】
[状態]歩き疲れ/ラオウの出現に困惑
[道具]無し
[思考]
1:ロビンを追う
2:遊戯、海馬を探す
3:ゲームを脱出

【クロロ・ルシルフル@ハンター×ハンター】
[状態]:健康
[道具]荷物一式(支給品不明)
[思考]能力、アイテム、情報などを盗む
   1:ラオウの襲撃から逃れる
   2:霊丸(レイガン)を盗む
   3:可能ならば杏子を利用
[盗賊の極意]:予見眼(ヴィジョン・アイ)

【ラオウ@北斗の拳】
 [状態]:胸元を負傷/霊丸によるダメージ(闘気で軽減)/右腕にダメージ
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式 不明
 [思考]:
1.目の前の事態に対処、打倒する。
2.いずれ江田島平八と決着をつける
3.主催者を含む、すべての存在を打倒する(ケンシロウ優先)
38 名前: 拳の王 修正 ◆ErG3fI.u3U [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 04:17:42 ID:vmwziCOl0
たびたびすみません……
トレインのウルスラグナの残弾を修正
二発⇒一発に

【栃木県/午前】

【トレイン・ハートネット@BLACK CAT】
[状態]左腕に軽傷/右腕肘から下を切断
[装備]ウルスラグナ@BLACK CAT(バズーカ砲。残弾1発)
[道具]荷物一式
[思考]
1:杏子と共に逃走
2:スヴェン、イヴ、リンスを探す
3:幽助に協力する
4:ゲームからの脱出

【浦飯幽助
@幽遊白書】
[状態]健康(頭部軽ダメージはほぼ完治)
    本日の霊丸の残弾2/4
[装備]新・無敵鉄甲(右腕用)@るろうに剣心
[道具]荷物一式
[思考]
1:ラオウを打倒
2:桑原、飛影を探す
2:トレインに協力する
4:ゲームからの脱出
39 名前: ◆HKNE1iTG9I [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 09:33:37 ID:kJo3RtHr0
ミス修正しておきます
つかさ→さつきで

26 :魁!一護100%〜戦う壮年〜:2005/11/20(日) 01:42:09 ID:kJo3RtHr0

……
………

 ――拝啓おふくろ様。
 淳平です。何の因果か、訳の分からない殺し合いゲームに巻き込まれています。
殺人者に襲われたっていっていた男性を助けたら、突然、変なツボを押されて、只今、絶賛痙攣中です。
先程の超常バトルはオレの理解を超えていました。映画監督を志す身としては、非常に情けないのですが
音声だけお伝えすると、以下のような感じです。

「死ねィ!江田島ッ!! 天破活殺ッ!!」
「ふ、それで天才とは笑わせよる。気の練り込みが全く足らんわ。せっかくの技が泣いておるぞ」 
「アミバよ、これが拳。これが技。これが千歩氣功拳じゃあッ〜!!」


 先の闘いは、平八のおじさんの勝ちでした。決まり手はビームです。
あの隈取り鍼灸師みたいな奴は「モルスァ」みたいなこと言いながらすごい勢いで飛んで行きました。

 ――拝啓おふくろ様。先立ちそうな不幸をお許しください。

でも。東城も、西野も、さつきも、黒埼も、平八のおじさん…いや、おじさまも、絶対に死なせはしません。


――死なせて、たまるか。

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40 名前: 眠れぬ朝は君のせい・中編 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 15:18:37 ID:ZHsmXyA90
───まるで黄泉の世界だ。ルキアはそう思った。
そこは見渡す限りの闇。前も、後も、左右も上も、どこを見ても闇しかない。
その闇に囲まれた更地の上に、彼女は座り込んでいた。

辺りを見渡す。何もない。闇以上の光すら見えない。まるで闇が自分を内包するように。自分だけがいる世界。
どういうわけか、光がない世界でルキアは闇を見ている。
矛盾。ただルキアの思考は其処には至らなかった。目の前の大きすぎる謎に全ての思考回路を奪われていた。

不思議と、ルキアは動こうという気が起きなかった。
闇に目を奪われたからか。なぜ自分がここにいるか考えたかったからか。
そう、たしかにこんな場所にいる前まで、自分は殺し合いという喧騒な世界に身を置いていたはずだった。
気づけばここにいた。ここも会場の一部か?などという考えは微塵もなかった。
会場、いや現世とも違う、なにか言葉に言い表せないものがあったのだ。
どちらかといえば……尸魂界に近い、そんな感じだった。

一瞬、不意にルキアは気配を感じる。周りを見張るが、やはり闇以上に見えるモノは何もない。
気のせいか、とルキアは何気なく顔をうつぶせようとした。
その落とした視線の先には、闇と地面の境目が

じり

境目が、動いた気がした。
41 名前: 眠れぬ朝は君のせい・中編 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 15:19:20 ID:ZHsmXyA90
黒い部分が手前に、そう、闇がほんの一寸だけこっちに近づいた。
ルキアは目を疑い、改めて境目を見る。ゆっくりと蝸牛のように、境界線は動いていた。
見間違いではなかったらしい。後も、左右も動いていた。勿論、自分の方へ。
ルキアは少し悪寒を感じる──
闇が近づいて来ることの意味に、意識の奥底で……朧げながら感づいてしまった。
この闇は、自分を取り込む気ではないかと。もし取り込まれたなら、自分はどうなるだろう。
闇の一部となるか?その時は苦痛を伴うのだろうか?
静かな空間の中で、ルキアは様々な考えを頭中に巡らしていた。

時は過ぎる。
日時計の経過のように、ルキアと闇との距離は随分と縮まっていく。
ルキアは変わらず、微動だにしない。
ただずっと正面の闇との距離を見定めいたようだった。

変化は不意に訪れる。目の前の闇に色彩が宿り始めていた。
それまで動じずにいたルキアも少し慄く。
スクリーンに映像が投射されるように姿が現れ、徐々にその色は人の形へと変化を遂げていった。
輪郭が見え、服装が彩り、目鼻や口の区別もついてきている。

そこでやっとルキアは理解した。
それは──いや複数いる──それらは闇よりこちらを覗いていた。そう、ルキアをずっと見つめていた。

闇の奥から覗くその人は───袴を羽織る白髪の男と、鋭い眼光をした若者。
坂田銀時と海馬瀬戸だった。
42 名前: 眠れぬ朝は君のせい・中編 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 15:20:17 ID:ZHsmXyA90
へつらいのにやつきを浮かべた銀時。寡黙に腕を組んで長裾がなびいている海馬。
二人とも戦乱の中で出会った時と全く変わらぬ姿をしていた。
この二人が闇の中に、ルキアは灯りの内側に。
ルキアは頭の中で瞬間的に答えを導き出す。
二人はルキアと共にフレイザードと戦い、二人ともルキアを庇うように命を落とした。
この二人の死にルキアが密接しているのだ。

ルキアの答とは。ここは真の黄泉だということである。

彼女の知るうちで、本来死者が集うのは尸魂界だった。
しかし考えれば、この戦乱の場に飛ばされてから理解の範疇を超えたことばかり。
虚とも違う異形の化物。具象化される絵の中の怪物。
もしかしたら魂が弾き飛ばされる場所も理に適うわけではないかもしれない。

──つまり私も……

気づくと、闇は手を伸ばせば触れられるほどの距離になっていた。
この時を待っていたように、闇の中の二人からゆっくりと手が伸びる。
その眼差しは寛容か羨望か、とても柔らかなものだった。

──私も……そちらに行くべきなのだな

二人の真意は知らない。しかしルキアに纏わりついていた恐れは、義務感へと変わっていた。
この手をつかめば、自分の命は溶けるだろう。それでも構わず、ルキアの右手を動こうとした。

──助けて……くれて……本当にありがとう

これが最後、そう思った時だった。
刹那、ルキアはその右腕を何者かにつかまれた。
闇より伸びていた双腕は眼前で止まったまま。思わず悲鳴をあげそうになる。
ルキアは右手を見やる。地面よリ手が生え、がっちりとルキアの右腕を握っていた───
43 名前: 眠れぬ朝は君のせい・中編 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 15:22:32 ID:ZHsmXyA90
「……何でオレがこんなことやらなきゃなんねーんだ、クソッ」

赤髪を揺らしながら、ボンチューは小さく不満を漏らした。
理由は目の前の少女。先程世直しマンが連れて来た『行き倒れ』らしい。
青函トンネル手前で倒れていたとの事。どうやら気絶した者の心は読めなかったそうだ。

そこまではよかった。
しかし、バッファローマンと世直しマンは「二人で話し合いをする」と言い、強引に居間から締めだされてしまった。
ただ装備を抜いただけで、敵かどうかも分からないのに。
無責任にも、ボンチューは少女の介抱を全て任されてしまったのだった。
そして現在。目の前には少女。

「こいつ……どうすりゃいいんだ?」

今からやることは分かっている。戦いに明け暮れていた自分にとって、傷の手当てぐらいならお手の物だ。
ただ、ボンチューが悩んでいるのはそこではなかった。
何せ彼は見た目に反し、わずか7歳。
それまでの経験に色沙汰などなく、女の扱いはどちらかと言えば不得手の部類と言えた。

(……起きてゴチャゴチャ言われる前に、さっさとケガだけ見りゃいいか……)

メンドくせーと思いながらも、目の前のケガ人をなんとなく放っておくことは出来なかった
考えに従って服を脱がそうと、ボンチューは少女を腰から持ち上げる。
両腕が垂れ、袖の先から少女の腕が露になり、雪のように白く透けるような肌がボンチューの目に映った。
その視界の隅に、ボンチューは小さな火傷の痣があることに気づく。
44 名前: 眠れぬ朝は君のせい・中編 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 15:30:57 ID:ZHsmXyA90
(火傷、か……)

傷を一瞥するボンチュー。
それはいつもなら気にも留めないような焼き膨れの痕。

……火傷………………火傷………………………やけど?

ただ、あの夢を見た後でなければ。

────────────────────────────────────

───連想。火。少女。
その瞬間、ボンチューの脳裏に獄炎の映像が流れ込んできた。
次々と眼前に湧き上がり来る灼熱の炎。


(──っ! ───っ!?)

どこかで見たような子供が現れた。なにか必死に叫んでいる。

(────ッッ!!─────ッッ!!!)

声にならぬ声で叫ぶ。喉がつぶれながらも叫びつづけている。
炎に巻かれる少女。もしかして『あれ』はこの少女に向かって叫んでいるのだろうか。
なぜ助けない?そんなに叫んでも何の意味もないだろうに。

ああ、そうか。『あれ』はまだ『弱い』んだ。

『弱い』のは罪だ。自分は知っている。世界を生きるには強くなければならない。
何も出来ないというのは弱い証拠。『あれ』は『弱い』。
『あれ』はなんて情けないヤツなんだ、自分の妹さえ助けられなんて。
─────妹?
45 名前: 眠れぬ朝は君のせい・中編 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 15:33:27 ID:ZHsmXyA90
ふと思う。『あれ』とはなんだ? ───あの子供のことだ。
『弱い』とは? ───それも、あの子供のことだ。

ではあの『子供』は誰だ?
                                   ───オレだ。
誰だ?
                                ───そう、オレだ。
誰なんだ?
                             ───弱いのはオレだった。
           ソウ、ヨワイノハオレナンダヨ

「うあぁあああぁぁぁあぁああぁぁぁあああぁああっ!」
───死ね
「ああああぁぁぁあぁぁぁああぁぁぁああぁぁああぁあ!」
───死ね、自分の弱さに死ね
「おあぁあぁあああぉおああぁあぁぁああぉぁぁああ!」
───死ね死ネ死ね死ネ死ね死ネ死ね死ネ死ね死ネ死ね死ネ

何かが、おかしい。
なぜ悲鳴をあげる? なぜオレが死ななければならない?
なぜオレは苦しむ?オレがあの緑野郎に負けたから?オレが弱いからか? それが罪だからなのか?
強いってなんだ?なぜオレは強くなろうとした?オレは──オレは───オレは─────
オレは────────────
46 名前: 眠れぬ朝は君のせい・中編 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 15:34:56 ID:ZHsmXyA90
────────────────────────────────────
それは突然だった。未だ癒えぬ傷。激しく揺さぶられる衝動。
彼が戦いに赴くたびに揺り起こされる記憶ではあったが、いつもはほんの僅かなモノだった。
何を思って戦うか、心の底に刻まれた記憶。本人でさえ意識できぬ傷。

彼の意識を蝕み、やがて彼自身そのものを崩壊しかねないほどにまで傷は広がっていた。

そのとき。

───助け、て

声が聞こえた。
そして、頭の中の声は──聞こえなくなった。

救いの声に、救われた。
強くなりたいと思ったのは何故だったか。
目的を忘れていた。そして今思い出した。
他人に打ち勝つためじゃない。まして一人で生き残るためでもない。

── 守りたいモノがある

気づくと、自分を囲っていた炎は消え去っていた。
そこにいたのは、最期の時の姿で止まったままの少女。
強く彼女を抱きしめた。ただ一言、自分を認めて欲しかった。その一言ために強くなってきたんだろう。
少女は目を開く。こちらを静かに見つめ、やさしい声で────────
47 名前: 眠れぬ朝は君のせい・中編 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 15:36:11 ID:ZHsmXyA90
「……何を……している?」

予想と違い、低くわなわなと震え、それで芯の通った声。

「……え?」

場面が全く違う。
今までが、自分の幻想だったということにボンチューは気づく。
少女──ルキアは額に青筋を立てて睨んでいた。
先ほどボンチューが強く抱き寄せたからか、ルキアは夢の中から目を覚ましていた。
一瞬か数刻か、ボンチューは意識が飛んでいたらしい。
沈黙。というか二人とも、とんでもない現状に気づく。

─── 歓喜の表情を浮かべた男が、女の服に手をかけようとしている ───

「あ、いや」
「このッ……不埒者!」

パンッ、と乾燥した音が室内に響く。
ルキアは胸元を手で覆い、一目散に部屋の隅へと退散した。

「オ オイ、勘違いすんじゃねーよ! オレは……」
「何を言うか! 無防備な寝込みに付け入ろうとするなど……恥を知れ!」
「違うんだっ……てオイ! やめろ! それをバラすな! んで投げるな!」
「うるさい! 下がれっ下郎!」
「あたっ! やめろ、コラ、痛ッ!」

ルキアが手にしていたのは、そばにあった蟹座の黄金聖衣。
パーツの一つ一つがボンチューめがけて飛んでくる。それも抜群に重く、固い。
かつて力を貸してくれたはずの黄金聖衣は、今のボンチューにはただ地味に痛かった。
48 名前: ◆GrUZH7gF.E [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 15:38:41 ID:ZHsmXyA90
【青森県/午前】


【ボンチュー@世紀末リーダー伝たけし】
[状態]現在回復中
[装備]なし
[道具]荷物一式、蟹座の黄金聖衣(元の形態)@聖闘士星矢
[思考]1:目の前の女に弁解を
2:体力の回復

【朽木ルキア@BLEACH】
[状態]:右腕に軽度の火傷、気絶中?
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]1:現在の状況の確認
2:これからの行動を考える
49 名前: 大阪探索は波乱含み6/6修正 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 18:57:24 ID:44DU5Ls90
【妲己ちゃんと愉快な武藤達】
【大阪住宅街/昼】

【蘇妲己@封神演義】
 [状態]:健康
 [装備]:打神鞭@封神演義、魔甲拳@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)、黒の章@幽遊白書、霊界テレビ@幽遊白書
 [思考]:1 二人のところへ戻る。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集める。
      3 太公望、竜吉公主、趙公明から自分の本性を明かされるのを防ぎたいが、
        本性がバレても可能ならば説得して脱出のため協力し合う。
      4 どんな事をしてもゲームを脱出し元の世界に帰る。 可能なら太公望や仲間も脱出させるが不可能なら見捨てる。

【武藤カズキ@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:ドラゴンキラー@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1 少女を埋葬する。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集め、趙公明を発見したら倒す。
      3 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、杏子、海馬を優先。
      4 蝶野攻爵がこの状況でも決着をつける気なら相手になる。
      5 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。

【武藤遊戯@遊戯王】
 [状態]:肉体と精神にかなりの疲労
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1 妲己がいないことで困惑。
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集め、趙公明を発見したら倒す。
      3 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、杏子、海馬を優先。
      4 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。
 [闇遊戯の思考]:妲己の警戒を続けるが、妲己が善人ならばと希望を抱いている。
50 名前: 血も涙もない戦場 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 22:28:21 ID:YrqqTnvy0
「あなた、血のにおいがするわ」
その一言で全ての予定が崩れ始めていた。
このまま曖昧なフリをして相手から少しでも情報を引き出そうと考えていたのに此では全てがパーだ。
血の臭いがすると言ったのは恐らく本当の事なのだろう。
だがそれを指摘してしまってはわざわざ要らぬ災いを招き入れるという事。
自分の戦闘力が皆無であると自覚している以上、何とか口で相手をはぐらかしたかった。
「下がってゆきめさん。あいつはそんな奴じゃないわ。闘う為――いいえ殺す為に捜しているだけ」
「殺す為か……奴がその程度でしかないとしたらそうなるかもな」
目の前の相手は眉一つ動かさずに平然と殺すと言ってのけた。
この状態は非常に危険だ。
恐らくゆきめとイヴの二人でも敵わないだろうし、ましてゆきめが戦う気が無いのなら万が一の可能性すら無い。
かといって、イヴを見捨てる訳にもいくまい。
イヴが戦闘に入ればついでとして自分達が殺される可能性も多分に出てくる。
例え巻き込まれなかったとしても、恐らくゆきめから見放されこの猛獣が蠢く地で一人で生き残らなくてはいけなくなる。
とすれば、この場で取る行動は自ずと限られてくる。
「――貴方は私達をどうするつもりですか?」
月はイヴの口を押さえて相手に其れだけを尋ねる。
恐らく返ってくる答えは3通りの内どれかであろう。
51 名前: 血も涙もない戦場 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 22:29:00 ID:YrqqTnvy0
一つ目、殺す気はない。
此なら素直に知らないと白状して立ち去って貰う。
一番有り難いパターンだ。

二つ目、知らないなら殺す。
此は嘘を付いて相手を遠ざければいいだけ。
自分達が進む方向と逆を示せば、この狭い世界といえども再び出会す可能性は低くなる。
此も死ぬ可能性が非常に少なくて済むパターンだ。

三つ目、知っていても知らなくても殺す。
最悪のパターン。
この答えが返ってきたらイヴとゆきめを嗾けるしかない。
自分は加勢するなり、その間に逃げるなり出来るが生き残れる可能性は非常に低くなる。
こう答えられれば即ゲームオーバーだが、相手の行動を知らないよりはマシだ。
本当ならば相手との会話でそれとなくこの質問の答えを引き出すつもりであったのだが、こうなってしまった以上直接尋ねるしかない。
イヴにもゆきめにも任せられない以上は自分の口だけで解決しなくてはならないのだから。
52 名前: 血も涙もない戦場 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 22:30:08 ID:YrqqTnvy0
「貴様等は強いのか?」
だが全く予想していない答えが返ってきた。
疑問に疑問で返された以上は、此方から答えを返さないことには向こうの真意は掴めない。
だがこの質問から相手の行動を読みとるのはさして難しい事ではなかった。
この質問をする者の解答は二タイプ存在する。
強者を求めて彷徨う者か、弱者を選び嬲り殺しにする者か。
しかし後者の場合殺すならとっとと済ましているだろうし、ましてやこの状態でこんな質問をしたりはしない。
つまりは前者――強者を求めて彷徨う者に違いなかった。
「僕は斧こそ持ってはいましたが、見ての通り普通の人間です」
斧を下に降ろし、空いた手を上げる。
戦う気も更々無いと言うアピール。
ゆきめは此方の考えを察したのかあれから後ろに下がって何も言ってこない。
大方目の前の男の狂気を沈めたいのだろうが、それをすると無力な夜神月まで危険に晒してしまうと気が付いたのだろう。
後は、このまま男が去る迄じっとしてればよかった――のだが。

53 名前: 血も涙もない戦場 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 22:30:58 ID:YrqqTnvy0
「私は貴方なんかに負ける気はないわ」
力づくで抑えていた手を振り払いイブが相手を睨み付ける。
慌てて再び口を押さえようとするのだがその手すら宙で叩かれる。
「ゲームに乗って闘うしかできない貴方には負けない。殺しはしないけど――終わるまで眠ってて貰うわ」
言うが早いか白銀の世界の中照り返す太陽を背にイヴは奔りだした。
奔りながら出したカプセルから出した無限刃を空中で掴み、それの峰で斬りかかる。
余裕のままにそれを受け止める飛影。
「トランス!」
それを予測していたかの如く、刀を受けがら空きになった飛影にもう片方の手を変形させたハンマーを死角へと振り下ろした。
しかし飛影はそれを返す刀で再び受け止めた。
一瞬の間に多数の方向から打撃を与えられるイヴ。
同じく一瞬の間に多数受け止められる飛影。
両者は端から見て五分の戦いにも見えた。

「――貴様はこの程度なのか?」
そう呟くと飛影は更にスピードを上げる。
左右左右と同時攻撃を仕掛けるイヴに、瞬時に多方向の打撃の軌道を逸らしつつ同時に斬撃を繰り出す。
其れを避けようとするイヴだが攻撃を仕掛けている所謂死に体の上、飛影の斬撃の速度に付いていけず切っ先が脇腹を掠める。
咄嗟に距離を置こうと離れるイヴだが、飛影がそれを許す筈も無く追撃する。
ハンマーだった左手を咄嗟にシールドに変形させ直撃だけは防ぐが、持ち前の素早さは活かせなくなったイヴは防戦に入るしか選択は無くなっていた。
54 名前: 血も泪もない戦場 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 22:34:30 ID:YrqqTnvy0
目の前で超人的な戦いを繰り広げられている中、夜神月は頭を抱えて悩んでいた。
何処でどう選択ミスをしてしまったのであろうか?
否、自分は最善の選択を常にとってきた筈。
それをあの娘一人が全てを台無しにしてくれた。
あの男と同士討ちしてくれれば最高だなと、自分の頭の何処かで声が囁く。
いざという時手駒として使える仲間は多いに超したことが、自分で操れない爆弾を抱え込むのは真っ平御免だ。
何か手を打たなければと考えた次の瞬間、背中から凄まじい冷気を感じた。
「ゆきめさん……」
振り向こうとしたが上手く身体が廻らない。
見ると太陽によって泥濘かけていた雪が固まり、膝の当たりまで氷が覆っていた。
動くにも動けない月の脇を何かが通り過ぎていく。
通り過ぎた瞬間背筋まで凍る様に感じる。
その出来事に月は彼女の自己紹介時の単語を思い出す――雪女なのだと。
彼女は下半身を動かせないままで同じく動けない二人の間に割り込むとイヴの頬を叩いた。

高らかに鳴り響く音が時の止まった世界に木霊する。
「馬鹿……命を粗末にしないで。もう……誰も死んで欲しく無いのよ」
そう言ってイヴに抱きつきながら崩れ落ちる。
此処に来て既に稲葉郷子と言う知り合いを亡くしている。
もうその悲しみを繰り返したくはなかった。
闘いの連鎖を終わらせなければこの悲劇は繰り返す。
闘いを止めるが為に闘う事も間違っている。
「お願い……解ってイヴちゃん」
闘うこと自体が悲劇に繋がるのだから。
55 名前: 血も泪もない戦場 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 22:38:57 ID:YrqqTnvy0
「貴様……氷女か?」
足元を凍らせたまま飛影が呟いた。
多少は違うが色、イメージ的に似た衣装。
氷を操るその力、そしてゆきめと呼ばれた名前が、妹――雪菜と被る。
だが彼女は自分の妹ではない。
自分を忌み子として氷河の国から捨てた奴等の仲間。
沸々と沸き上がる嘗ての黒い気持ちが飛影の中を駆け巡る。
無意識の内に左手が首の当たりを探っていることに気が付いた。
だが嘗て其処に付けていた氷泪石はもう無かった。
妹――雪菜から手渡されたもう一つの氷泪石。
気持ちが塞がった時に眺めていた氷泪石はもう無い。
その現実が彼の苛立ちを一層に膨らませた。
氷泪石のお陰で故郷に対し幻滅することで恨みを忘れる事は出来た。
だがそれが無くなった今となっては――
「誰も死んで欲しく無いだと?俺を落としてよく言うぜ」
地獄の炎を纏い、氷を溶かした飛影は手にしたマルスをそのまま突き出す。
「――邪王炎殺剣」
そのナイフはイヴが咄嗟に髪で作り出したシールドを易々と貫通する。
マルス――引き金を引くことで超振動し切れ味を増すナイフ。
その切れ味に炎と霊気をブレンドさせたナイフは、相乗効果によってナノマシンのシールドすら貫く刀になっていた。
飛影が串の様に刺さったナイフを抜くと、支える物を失ったかの様に二人の身体は雪の上に音も無く崩れ落ちる。
「探す物が増えたか……」
新たなる目標は主催者が没収したであろう氷泪石。
それだけ呟くとイヴの刀を拾い他の物に目もくれず元凶の主は姿を消した。
56 名前: 血も泪もない戦場 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 22:39:50 ID:YrqqTnvy0
「ふふ……ふふふふふ……ついてる!ついてるぞ!」
飛影の目に入らなかった弱者――夜神月は吠える。
ゆきめとイヴと出会ってから一度も見せたことのない笑みを浮かべながら。
結局は何も出来なかった自分ではあるが、其れが故に生き残ることが出来た。
あれだけの事が目の前で起きていた事が信じられない位だった。
あの戦力を失ったのは痛いが、自分の操れない手駒がいたとしても不安要素が増えるだけで結局は不必要な仲間だったのだ。
「――そういや、此処に海砂も来ていたっけな」
自分の信念を持つ者ほど扱いにくい者は無い。
弥海砂はそういった意味ではパーフェクトな仲間だった。
自分のして欲しい通りに動いてくれる上、いざとなったら命を投げ出してもくれるだろう。
その上一般人の女性と行動して周りに隙を与えると言う条件も満たすことが出来る。
動かぬ屍となった二人にもう用はない。
ゆきめが死に足元の氷が溶けた月は食料だけ貰ってその場を後にした。
海砂の事だ、恐らく自分を捜して都会に出てきている筈だ。
恐らく東京、大阪、京都、名古屋のどれかだろう。
「愛してるよ弥海砂」
海砂に囁きかけるように甘い声で呟いた月は東京を目指し去っていった。


日光が照らし、飛影に貫かれたゆきめは次第に姿を薄めていく。
雪女の彼女は再び雪へと還るのだ。
そしてその下で呻き声を洩らす少女。
自分で変形させたシールドとゆきめのお陰で死だけは免れた少女が其処に倒れていた。
元々丈夫であるし、マルスの長さが短く邪王炎殺剣で伸びた部分しか届いてなかった事も助かった要因であろう。
雪女とナノマシン。
その惨劇の後には血の跡すら残ってはいない。
足跡も降り注ぐ日光で消え、何事も無かったかの如く倒れた少女だけがその場に存在していた。
57 名前: 血も泪もない戦場 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 22:40:22 ID:YrqqTnvy0
【ゆきめ@地獄先生ぬ〜べ〜 死亡確認】
【残り103人】


【山形県/午前〜昼】

【夜神 月(ライト)@DEATH NOTE】
[状態]健康
[装備]真空の斧@ダイの大冒険
[道具]荷物三式 (三食分を消費)
[思考]1、弥海砂の探索
   2、使えそうな人物との接触
   3、竜崎(L)を始末し、ゲームから生き残る

【イヴ@BLACK CAT】
[状態]重傷(胸に刺し傷、脇腹に掠り傷)
[装備]いちご柄のパンツ@いちご100%
[道具]無し
[思考]1、トレイン・スヴェンとの合流
   2、ゲームの破壊

【飛影@幽遊白書】
[状態]少し疲労
[装備]マルス@BLACK CAT、無限刃@るろうに剣心
[道具]荷物一式、燐火円レキ刀@幽遊白書
[思考]1、幽助と決着を付ける
   2、氷泪石を見つけだす
   3、強いやつと戦う
58 名前: 血も泪もない戦場 [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 22:41:27 ID:YrqqTnvy0
>>50-53
タイトルを「血も涙もない戦場」から「血も泪もない戦場」に修正して置いてください
59 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2005/11/20(日) 22:41:53 ID:A6143PDx0
♪サッチャンハネ、コウツウジコデ、ハネラレタ、ダカラ、カオガトレテ、
ドッカトオクヘ、トンデチャッタ♪悲しいね、さっちゃん♪
さっちゃんは即死で死んじゃったの。このレスを見た人は…
さっちゃんが0時に行ってあなたの首をかまで切り取っちゃうよ♪
いやなら、さっちゃんが行くまでに、9回違うスレにレスを送ってね♪
あ、さちゃんの顔は、こんな顔だから、
探してくれるのもイイよ♪オネガイネ…。http://www.operaou.com/image/cmail/rei0204.gif

60 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:09:08 ID:XX0z9zg50
「せいぜい楽しませてくれよ!!」
 押さえきれない笑みを溢しながら、圧力と死を持って死神が駆ける。

 標的はどちらにするか。
 そうだな。まずは―――
「まずは、チビ。オマエからだ!!」
「うわあぁぁああ!!」
 眼前に迫るその圧力に、セナが悲鳴を辺りに響かせた。

「……! セナ殿!?」
 セナの悲鳴に、剣心は夷腕坊を見つめていた視線を辺りに移す。
 気付けば志々雄と自分の戦いを見ていた男がいない。

「しまった……!」
 焦燥する剣心は夷腕坊を一瞥する。
 夷腕坊に潰された志々雄はまだ出てくる様子はない。
 この男に背中を見せるのは不安だが、迷っている場合ではない。

 夷腕坊と志々雄を置いて、剣心は駆け出す。
 自分の足でも、悲鳴の聞こえた場所までおそらく十秒はかかる。

「なんとかそれまで持ちこたえてくれ……!」
 そう呟き、神速の剣客は駆けだした。
61 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:11:30 ID:XX0z9zg50
 1――――――。

「走れッ。ファッキンチビッ!!」
 それは積み重ねた反復練習の賜物か。
 蛭魔の激に、セナの体が弾けるように反応する。

 2――――――。
 
 光速の足が0から1へとシフトする。
 まさに爆足。
 一瞬でその体は攻撃範囲から安全圏へと離脱する。
 確実な死を持ったはずの更木の腕が空を切った。

 3――――――。

「へぇ……」
 それを見つめ、予想以上の回避能力に更木が笑みをこぼす。

 4――――――。

「面白れえぇ―――ッ!」
 叫びと共に更木が駆ける。
 その殺気は先ほどの比ではなく。
 その速度は先ほどの比ではない。

 5――――――。

「ひっ……!!」
 一瞬でセナの目の前に更木の巨体が現れる。
 殺気に飲まれたセナの体は動かず、反応しようもない。
 蛭間は咄嗟に、足元に転がる拳程の大きさの石を拾い上げた。
62 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:14:00 ID:XX0z9zg50
 6――――――。

 その命を刈り取らんと、死神の腕が奔る。
 同時に眼帯を付けた死角方のこめかみに僅かな衝撃。
 蛭間の投げた石が命中したのだ。
 更木にとってその程度の攻撃はダメージにもなりはしない。
 だが、攻撃はコンマ1秒、到着を遅れる。

 7――――――。

 再度、豪快な音を立て更木の攻撃が空を切る。
 何のことは無い。セナが腰を抜かしその場にへたり込んだのだ。
 偶然にも、それにより死を持った攻撃は紙一重で空を切った。
 もっとも、コンマの遅れがなければ、その紙一重もなかっただろうが。
 そんなことはお構いなしに、死神は止まらない。
 腕を唸らせ、へたり込むセナの頭部へと目掛け追撃の一撃を振り下ろす。

 8――――――。

「グァア……ッ!!」
「ヒル間さん!!」
 セナの頭を砕くはずだった一撃は、蛭間の右肩を砕いた。
 蛭間が咄嗟にセナと更木の間に飛び込んだのだ。
 妖計の策士は、単純にセナと自分の肩を天秤にかけただけの話。
 クォーターバックの命でもある肩と後輩の命じゃあ、まあ、しかたあるまい。
 だが、それ以上の策はなく、手詰まりだ。
 あとは、もう―――
63 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:16:15 ID:XX0z9zg50
 9――――――。

「終わりだ」
 死神は僅かに笑い。
 倒れこむ二人に、容赦なくトドメの一撃を繰り出した。

 豪腕が唸る。

 10―――――。

 その腕を、

「龍槌―――」
 上空から振り下ろされた刀の鞘が弾き飛ばした。

「―――翔閃!」
 着地も待たず、跳ね上がるように鞘が跳ぶ。
 その一撃は顎を掠め、脳を揺らされた更木の巨体が僅かに後退する。

 剣心は着地し、更木と倒れこむセナと蛭間を遮る位置に体を移し、更木を睨みつけた。
 体勢を立て直した更木はそれを見つめ。

「オメエは、志々雄の獲物だがよ……」
 打たれた顎をさすり、歩を進める。

「そっちから手出してきたんじゃしかたねぇよなぁ」
 そう言って。実に楽しそうに死神は笑いを溢した。

 ほんのお遊びだったが、大物が釣れた。
 こうなれば、雑魚なんかには興味は無い。
 更木は倒れこむ二人には目もくれず、一歩前に進み、獣のような構えを取る。
 それに対峙し、剣心は鞘を正眼に構える。
64 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:18:55 ID:XX0z9zg50
 一方は刀の鞘。
 一方は特殊空拳。
 互いにおよそ剣客といえぬ獲物を構え、紛う事無き剣気を放つ。
 剣気はぶつかり合い空気を揺らす。
 舞い上がった木の葉は剣気に耐えられず弾け飛ぶ。
 永遠のような対峙は一瞬。先に動いたのは剣心だった。

 神速の踏み込みにて神速の一撃を放つ。
 その目にも止まらぬ一撃を悠々と死神は素手で受けとめ。
「オラッ!」
 逆の手で眼球を抉らんと指を突き出した。
 咄嗟に剣心は首を反らし、指は頬を掠めるに止まる。
「龍巣閃―――!」
 一撃では足りぬと。剣心は絡むような乱撃を放つ。
 多段に放たれる剣撃。
 捌ききれず、その幾発が更木の体に叩き込まれる。
「軽ぃんだよ!」
 だが、それも更木を包む剣気を前に通らない。

 連撃では軽すぎる。
 しかし、一撃では防がれる。
 鞘しかないこの状況では抜刀術も不可能。
 決め手が無いのだ。
 それは更木も同じこと。
 素早く動くこの相手に、素手では決め手に欠ける。

 刃無き剣客の戦いは続く。
 互いに決め手を欠き、その均衡を破れない。
 だが徐々にその均衡は崩れ始めていた。

 一方に変化が生じ始めたのだ。
65 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:21:10 ID:XX0z9zg50
「ハッ、ハッ、ハッ―――!」

 加速する。加速する。

 心臓の鼓動が。
 斬撃の鋭さが。
 ―――この意識が加速する。

「ハァッ、ハァ―――ッ!」

 呼吸が荒い。
 肉体が意識に追いついていない。
 このまま加速し続ければ、追いつけない肉体は崩壊する。

 だというのに、この意識は加速し続ける。
 まだ。
 まだ、あの頃には。
 まだ、あの人斬りにはほど遠いと。
 意識がアクセルを踏み続ける。

 志々雄の放つ人斬りの剣気が螺旋を回す。
 この男の放つ人斬りの殺気が歯車を回す。
 狂々。狂々と。

「ハアァァッ―――!」

 斬撃一閃。
 神速の一撃が更木の防御よりも早く、そのこめかみに叩き込まれる。
66 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:23:21 ID:XX0z9zg50
「チィ……!」
 頭部にまともに一撃を喰らい、更木は僅かに舌を打つ。

 まだ、早くなるってのか。

 たしかに早かったが、初めは速度も大差はなかったはずだ。
 だが徐々にその速度は早くなり。
 それに伴って技のキレも鋭くなっている。
 その攻撃は、もはや素手での防御が間に合わない域まで至っている。

 だというのに。
 これ以上早くなるってのか?

 これ以上―――

「楽しませてくれるってのかぁ!?」

 叫びを上げ死神が駆ける。
 その動きに合わせるように剣心が一撃を放つ。
 無防備な脳天に一撃が突き刺さる。
 だがその一撃を受けても、死神の動きは止まらない。
 脳への一撃を意に介さず、そのまま肉ごと剣心の胸倉を掴む。
「ぐッ……!」
 剣心が痛みに顔を歪める。
「オラァ―――!!」
 そのまま手首を捻り、投げるように肉を抉り取る。
 鮮血が舞い散る。

「楽しいなぁ! オイ!」
 打たれた額から流れる血を舐め、死神は歓喜に震える。
 体勢を立て直すべく、剣心は滑るように後退し距離をとる。
67 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:26:11 ID:XX0z9zg50
「―――ハァ―――ハァ」

 足元を見つめる。
 胸元からボタボタと血が落ちた。
 地面に飛び散るその様は咲き乱れる華のようだ。
 痛みと血の匂いに意識が揺れる。

 人斬りと流浪人の螺旋が回る。
 狂々。狂々と。

 動きを縛る痛みが邪魔だ。
 反応の鈍い肉体が邪魔だ。
 意識を止める理性が邪魔だ。

 そうだ、肉体が追いつけないんじゃない。
 理性が意識を押し留めているんだ。
 意識に全て任せればいい。


 ―――この人斬りの意識に。
68 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:28:42 ID:XX0z9zg50
「ヒル間さん! 無理しないでください」
「うるせえ! いいからオレの言うとおりにしろ」

 這いずるように安全圏に移動したセナと蛭間は、戦いを見つめながら虎視眈々と準備をしていた。
 一か八かの最後の策。
 片手の動かぬ蛭間に代わりに、セナが奇策の用意に勤める。

「出来ました」
 そして、中身の詰まったペットボトルを手渡す。
「……よし」
 手渡されたペットボトルを受け取り、蛭間はそれを左腕で構えた。
 それだけ動作で、右肩に激痛が走る。

 この投球に失敗は許されない。
 だというのに、条件は最悪。
 利き腕ではない上に右肩の痛みが邪魔だ。

 それでも、こんな状況はいつもと変わらない。

 これまで泥門は栗田以外は素人同然のラインでやってきた。
 何度も潰され、何度も傷を負ってきた。
 利き腕が使えなくなったこともあった。
 怪我で喘いでも投げ続けてきたんだ。
 右肩の怪我がなんだ。

 迷いは一瞬。
 蛭間は素早く狙いを定め、対峙する剣心と更木に向かいペットボトルを投げつけた。
69 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:31:12 ID:XX0z9zg50
「剣心さん! それを叩いてその場を離れろ!!」

 横合いから響く蛭間の声。その声にハッとする。
 懐かしい声に悪い夢から目が覚めた感覚。
 中に舞うペットボトル。
 剣心はそれを視界の端で目視した。
 気付けば目の前には、迫る死神。
 命を刈り取らんと拳を放つ。
 反射的に剣心はその一撃をかわし、その勢いのままその体はコマのように回転する。
 そして、遠心力を利用し放たれた一撃は、ペットボトルを破壊した。

 黄色の粉が中に舞う。

(カリー粉?)

 僅かに香る香辛料の香り。
 それはたしか、セナの支給品、夜営道具の中に含まれていた物だ。

 それに、どういう意図があるのか。
 目くらましにしても弱い。

 訝しみながらも、剣心は蛭間の言葉通り後退する。

 そこに第二のペットボトルが投げ込まれた。
70 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:33:13 ID:XX0z9zg50
 開いたペットボトルの口に無造作に詰め込まれたメモ用紙。
 その先を炎が燃やしユラユラと揺れる。
 まるでそれは火炎瓶のようだが、そのペットボトルの中に可燃物は無い。
 そう可燃物は内ではなく―――

 空中に舞う黄金の粉が火を吹いた。
 その火は誘爆に誘爆を重ね、目の前の景色を白く染め上げる。

 ―――粉塵爆発。
 空中に散漫した粉塵が爆発を引き起こす。
 屋外であるため威力は低いが、目くらましには充分。
 爆発は更木を飲み込み、その視界を完全に奪った。

「ざまあ見やがれ! ヒャハッハッ……ッゥ!」
 傷の痛みに顔を歪めながら蛭間が笑う。
「無理して笑わないでくださいよ。ヒル間さん!」
 セナはそれを心配するように咎めた。
 そこに、煙の中から爆発を逃れた剣心が駆け現れた。
「け、剣心さん!」
「走れるでござるか? セナ殿」
 現れるや否や、それだけを聞く。
「は、はい。でもヒル間さんが……」
「では―――御免」
 返答を待たず剣心は蛭間を担いで走りだした。
 セナも慌てて、そのあとを追って駆け出す。

 神速の剣客と光速のランニングバックは一瞬にしてその場を離れる。
 煙が薄まり、更木の視界が晴れた頃には、その姿は視界から消えていた。
71 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:35:15 ID:XX0z9zg50
「逃げられたか。っと随分と男前が上がったじゃねえか、更木」
 そんな言葉をはきながら、後方から悠然と志々雄が現れた。
「おいおい、見てたんなら追えよ。追いつけただろ、オメエなら」

 たしかに、手負いとガキ二人。
 全力で追えば追いつけないことも無いだろう、が。

「なに。まあいいじゃねえか。生きてりゃそのうちまた出会うさ」

 抜刀斎との戦闘。夷腕坊からの脱出。
 この体はそろそろ時間切れだ。

「ちッ。気の長げえ野郎だぜ」
「オマエが短すぎるんだよ」

 わざわざ弱みを見せることも無いだろう。
 そのことを更木に言う必要は無い。

「さて、大体このあたりの奴等とは遊びつくしたかね。そろそろ四国か本州にでも渡ろうか」
 あたりを見渡し志々雄が呟く。
「へ。そこでも楽しめりゃいいがな」
 その一言に、志々雄は笑い。
「なぁに、楽しめるさ。存分にな」
 そう答え。二人の人斬りは歩き始めた。
72 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:37:15 ID:XX0z9zg50
【福岡県/昼】

【緋村剣心@るろうに剣心】
【状態】身体の至る所に軽度の裂傷、胸元に傷、重度の疲労、精神不安定
【装備】刀の鞘
【道具】荷物一式
【思考】1.志々雄たちから離れる
    2.人を斬らない

【小早川瀬那@アイシールド21】
 [状態]:健康
 [装備]:特になし
 [道具]:支給品一式 野営用具一式(支給品に含まれる食糧、2/3消費)
 [思考]:1.志々雄たちから離れる
     2.薫、斎藤、姉崎、進との合流。

【蛭魔妖一@アイシールド21】
 [状態]:右肩骨折、夷腕坊操作の訓練のため疲労
 [装備]:無し
 [道具]:支給品一式
 [思考]:1.志々雄たちから離れる
     2.薫、斎藤、姉崎、進との合流。
73 名前: 螺旋は回る。狂々と [sage] 投稿日: 2005/11/20(日) 23:40:17 ID:XX0z9zg50
【更木剣八@ブリーチ】
 [状態]:全身に軽い火傷、打撲。首筋に中度の裂傷。(簡易止血済み)
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式 サッカーボール@キャプテン翼
 [思考]:1.四国か本州に渡る
     2.志々雄、ヒソカと決着を付ける 
     3.強いヤツと戦う

【志々雄真実@るろうに剣心】
 [状態]:身体の至る所に軽度〜中度の裂傷
 [装備]:ムラサメブレード@バスタード
 [道具]:無し
 [思考]:1.四国か本州に渡る
     2.剣八と決着を付ける
     3.全員殺し生き残る
74 名前: 戦闘狂1/3 [sage] 投稿日: 2005/11/21(月) 11:06:26 ID:mwlUiAc+0
「やぁ、僕の名は趙公明。君の名前はなんだい?」
「僕の名は藍染惣右介。君達の支給品と能力を教えてくれないか?」
「僕の支給品はこれだ。如意棒と言ってね、自在に長さを変えることができる素晴らしい棒だよ。
 別にこれといった能力はないね。妖怪仙人ではあるけど」
藍染の問いに迷うことなくすらすらと答えた趙公明は、チラリと背後に目をやってから言葉を続ける。
「そこにも誰か居るみたいだね。出てこないのかな?」

(――おい、完璧バレてるって!素直に出てった方がいいんじゃないか?)
(向こうからやってこない限り、今はこちらから出て行くことはない。様子を見ていたほうがいい)
(――まぁ、趙公明様があの袴野郎と戦ってくれれば、その間に逃げ出せるかもしれないけどさ)
(……)
逃げてしまってよいものかどうか。
あの二人はまだ悪人とは断定できないが、少なくとも善人とは言いがたい雰囲気を持っている。
(やはり、もう少し様子見だな)

「どうやらそこの人は出てこないようだよ、藍染クン」
「……妖怪仙人と言ったね?それはどういう存在なのかな?」
「そうだね、簡単に言えば、長い年月を生きることによって人間に変化できるようになった人外の存在ってとこかな」
「なるほど…」
興味深そうに頷く藍染。
そしてさらに質問しようとした藍染を趙公明はさえぎる。
「おしゃべりはここまでだ。僕は君と話すために舞い降りたわけじゃないからね」
如意棒を構え、藍染に向ける。
「見たところ君は中々の実力者のようだ。僕と勝負しようじゃないか」
「……」
体力が万全ならば、相手を倒して支給品を奪うことに迷いはなかったが、今はまずい。
盤古幡の重力50倍を使用した反動がかなり残っている。
趙公明と名乗ったこの男の実力がどれほどかは知らないが、自分から勝負を挑んでくる以上、
それなりに強いのだろう。さらに仙人でもあると言うならなおさらだ。
75 名前: 戦闘狂2/3 [sage] 投稿日: 2005/11/21(月) 11:07:17 ID:mwlUiAc+0
「そうだね……君はこのゲームから脱出するつもりはないのかな?」
藍染は今まで何度か口にしてきた『脱出』をちらつかせ、時間稼ぎを図る。
「脱出だって?」
「そう、僕はこのゲームから脱出する方法を知っている。君にその気があるなら、他の人を集めて琵琶湖に」
「そうはいかない」
藍染の言葉をさえぎり、強い口調でそう言い放つ趙公明。
今までとは違う、好戦的な雰囲気を放ちながら。
「なぜ脱出などしようとするんだい?せっかく全力で戦うことができる好機だというのに」
「わけの分からない『主催者』とやらの掌の上で踊らされているだけでもか?」
「そんなことはどうでもいいことだよ。戦いたいから戦う、それでいいじゃないか」
藍染も戦い自体は否定しない。
が、さすがにこの状況下での趙公明の発言はいささか理解しがたい。
『ゲームを生き残るために戦う』のでも『主催者を倒すために戦う』のでもなく、
『戦いたいから戦う』と、今の状況で言い切る趙公明を理解できるものは、このゲームに何人いるだろうか。
「そうか……だが、今の僕は少々疲れていてね…」
そう言いながら刀を構える。
「さぁ、お互い全力を出して戦おうじゃないか!」
趙公明も如意棒を構え、そして…
「アン、ドゥ、トロワ!」
如意棒を振るう趙公明。
しかし…如意棒が当たったはずの藍染の姿は消えうせ、周囲には静寂のみが残った。

「……ふぅ、せっかく素晴らしい戦いができると思ったのに」
落胆を隠せない表情で、構えていた如意棒を降ろす趙公明。
そして、その場を動くことなく、何かを待つようにじっと佇んでいる。

(――あの袴野郎、消えちまったぞ!)
(幻術の類か? しかし趙公明という男の方は動く様子がないな)

趙公明はしばらく立ちつくしていたが、やがて待ちきれなくなったのか声を上げる。
「さぁ、そこの君!いつまでも隠れていないで出てきたまえ!」
76 名前: 戦闘狂2/3 [sage] 投稿日: 2005/11/21(月) 11:07:58 ID:mwlUiAc+0
(――やべぇよ!どうするんだ!?)
(……ヤツは明らかにゲームに乗っている。ここで逃げるわけにはいかない)
(――おい、やめろって。あの方の強さを知らないからそんなことが言えるんだ!)
飛刀の言葉には耳を貸さず、ラーメンマンは曲がり角から足を踏み出した。
趙公明はそんなラーメンマンを見極めるように、じっと見つめている。
「まずは名前を聞かせてもらおうかな。僕は貴公子、趙公明だ」
77 名前: 戦闘狂3/3 [sage] 投稿日: 2005/11/21(月) 11:08:47 ID:mwlUiAc+0
【京都府・市街地/1日目・午前】
【趙公明@封神演義】
 状態:左足に軽傷
 装備:如意棒@ドラゴンボール
 道具:荷物一式×2(一食分消費)・神楽の仕込み傘@銀魂
 思考:1.目の前の男(ラーメンマン)と戦う。
     2.エレガントな戦いを楽しむ。太公望、カズキを優先。

【ラーメンマン@キン肉マン】
 状態:健康 ・深い悲しみ・強い怒り
 装備:飛刀@封神演義
 道具:荷物一式・髪飾りの欠片(※)
 思考:1.目の前の男(趙公明)に対処。
     2.弱き者を助ける。(危害を加える者、殺人者に対しては容赦しない)
     3.正義超人を探す。
     4.ゲームの破壊。
※神楽の髪飾りの欠片を持っている理由は以下の通り。
  ・形見として少女の仲間、家族に届けるため
  ・殺人犯を見つける手がかりにするため

【京都府・市街地外れ/1日目・午前】
【藍染惣右介@ブリーチ】
 状態:わき腹に軽い負傷・骨一本にひび・中度の疲労(戦闘に軽い支障あり。盤古幡使用不可)
 装備:刀「雪走り」@ワンピース・斬魄刀@ブリーチ
 道具:荷物一式(食料二人分、一食分消費)・スーパー宝貝「盤古幡」@封神演技 ・ウェイバー@ワンピース
 思考:1.ひとまず逃走
     2.琵琶湖へ向かう
     3.出会った者の支給品を手に入れる。断れば殺害。特にキメラの翼を求めている。
     4.計画の実行
78 名前: 奔る、奔る 1/4 [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:16:39 ID:8TDbarAS0
【京都府/朝】

「城之内君…」

 つい先程まで行動をともにしていた少年の名前を聞き、女性、弥海砂はしばし顔を俯かせる。
確かに見捨てて逃げるような真似はしたが、それでも知り合いといってもいい人の死を知るのは
あまり気分のいいものではない。

 ちなみに火口の死も先程の放送で知ったが、そちらにはあまり感慨を覚えなかった。

 (やっぱ、あの金髪のヒトにやられちゃったのかな。名前は、確か…チョウコウメイ、とか言ったっけ)

 海砂は知らない。城之内の死に様も、その最期の言葉も。城之内克也という少年のことは、ほとんど何も。

 (城之内君が時間を稼いでくれたのかな?贅沢を言うなら、コッペパン以外の食べ物も遺してくれたら
  ありがたかったんだけど。)

 海砂にとって一番大事なのは、最愛の男性、夜神月。彼に会うためには、こんなところで死ぬわけにはいかない。
それが海砂の全て。できるなら死人は少ない方がいいが、所詮は瑣末事。夜神月に会う。夜神月に会いたい。
会って、彼の力になりたい。何故なら彼は、弥海砂の全てなのだから。

 夜神月は死んでいない。生きている。放送で名前を呼ばれなかったから、そう思っているのではない。
夜神月の生存。そのことは、海砂にとって、確信、いや信仰に近かった。
きっと会える。絶対会える。私は生きて、月に会える。

 (うぇーん、月〜、どこに居るの〜)

 弥海砂は歩き続ける。愛しい夜神月の面影を追いながら。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
79 名前: 奔る、奔る 2/4 [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:17:26 ID:8TDbarAS0
【京都府/朝〜午前】

(げ。何コレ)

 趙公明に見つからないように、息を潜めて、なるべく人目につかないように歩いていた海砂は、
一抱えはある大木の中程に刻まれた足跡を見て、思わず素っ頓狂な声を上げそうになる。

 慌てて口を押さえて、辺りを見回すが、幸いなことに今の声を聞きとがめた者は居なかったらしい。
自分の馬鹿さに呆れつつも、オーバーアクションで胸をなでおろす。

(なんか、ヤバ気な感じ〜)

 実際、今の海砂には武器になりそうなものが無い。マシンガンが仕込まれていた傘は、茶屋に置いてきてしまったし、
流石に取りに戻る気にもなれない。今の自分にあるものは、六角形の変な石(疲れを癒してくれるそうだが)と、
数日分のコッペパン。殺人者に襲われたら、一溜まりもないだろう。

 事実、ゲームに乗っている人間が居るということは、先刻、嫌というほど思い知らされたばかりだ。

(こっちにいくのはやめとこ〜っと)

 もしかしたら、この先で殺人者が待ち構えているかもしれない。
一度だけ、大きく体を震わせると、躊躇うことなく、踵を返す。

 東から、西へ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
80 名前: 奔る、奔る 3/4 [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:18:09 ID:8TDbarAS0
【京都府/午前】

(あー、神様仏様キラ様、ど〜かチョウコウメイが降ってきませんように!!)

 息を潜ませ、気配を殺し(たつもりになり)、海砂は一人で町外れを歩く。出来る限り迂回して。
無理なときは、建物の陰で小さく縮こまって。ソロリソロリと海砂は進む。

(う〜、ストレスは美容の大敵なのに〜)

 それでも海砂は止まれない。海砂の気持ちは止まらない。月を想う、彼女の気持ちは止めれない。

 進む。進む。進んだ先に柔らかな月光があると信じて、海砂は確かに進んでいく。
そして、名残でも月光を偲ぼうと空を見上げたとき…


―――!!

 
 空を飛んでいた。あの男が。チョウコウメイが。

(バカー!降ってこないでってお願いしたじゃない!)

 海砂は駆け出す。震える足に檄を入れて。力の限り、走れる限り。
一歩でも、半歩でも、月の近くに行きたいがために。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
81 名前: 奔る、奔る 4/4 [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:18:42 ID:8TDbarAS0

【大阪府/昼】

 海砂の膝は笑っていた。体からは滝のような汗が流れていた。
たとえ、核鉄を持っていたとはいえ、脇目も振らぬ全力疾走、ようやく彼女は京都からはなれ。

 今は大阪府に辿りついていた。

 そして、彼女の目の前に居たのは。

 なにやら驚いたような顔を向ける少年。だが、その腕には禍々しい刃物が装着されていて…

82 名前: 奔る、奔る [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 00:21:04 ID:8TDbarAS0
【大阪府/昼】

【弥海砂@DEATHNOTE】
 [状態]:重度の疲労
 [装備]:無し
 [道具]:荷物一式、核鉄XLIV(44)@武装錬金
 [思考]:1.目の前の少年は…?
     2.夜神月との合流
     3.夜神月の望むように行動



【武藤カズキ@武装錬金】
 [状態]:健康
 [装備]:ドラゴンキラー@ダイの大冒険
 [道具]:荷物一式(一食分消費)
 [思考]:1 目の前の女性は…?
      2 正午の放送まで大阪探索。仲間と武器を集め、趙公明を発見したら倒す。
      3 ゲームを脱出するため仲間を探す。斗貴子、ブラボー、杏子、海馬を優先。
      4 蝶野攻爵がこの状況でも決着をつける気なら相手になる。
      5 ゲームから脱出し元の世界へ帰る。
      (リンの埋葬がちょうど終わりました)
83 名前: 作者の都合により名無しです 投稿日: 2005/11/22(火) 11:39:57 ID:EPvq437P0
>>157
ボケろ
84 名前: ブチャラティvsガラ 後編1/8 ◆PN..QihBhI [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 17:45:56 ID:G3zYB7Ye0
「もう、逃げられねェな〜」
ガラは勝利を確信していた。傷を負い、追い詰められたブチャラティに、もう手は残されていないはずだ。
だが、そんな状況でありながらも、ブチャラティは言った。
「逃がす?そんな心配はもうするな。お前が心配することは、ジッパーでバラバラにされて地面にコロがったあとの事だけだ…」
「減らず口を〜・・てめェは殺す!!」

力が満ちる。ブチャティは動かない。観念したか、とガラは思った。

「砕け散れェ〜ブチャラティー!!!!」

 魔

 人

!!!!!!

技を放つ瞬間ガラは見た。
ブチャラティが何か宝石のようなものを頭上にかざすのを。

直後、天地を揺るがす轟音と、巻き上げられた砂塵でみるみる視界が遮られていった。

友情マンと桑原はその轟音を聞いて思わず立ち止まった。大地が、揺れている。
「どっひゃーー。こりゃちけーぞー。友情マン!何が起こったんだぁ〜?」
「耳がおかしくなりそうだ・・・ガラ君に何が・・・?」
「げほっげほっ、埃がすごくて何もみえねぇ」
「桑原君!少し様子を見よう!!いきなり敵が出てくるかもしれない、用心するんだ」
―――まずい、今からでも引き返すべきか?しかし、桑原君が納得しないだろう。頼むガラ君、無事でいてくれ・・・!
85 名前: ブチャラティvsガラ 後編2/8 ◆PN..QihBhI [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 17:46:59 ID:G3zYB7Ye0
肉の焼き焦げるにおい。砂埃の中、ガラは自分が倒れていることに気がついた。
まず目に入ったのは、『真・魔神(人)剣』による亀裂だった。深く長く地面を奔り、終点である場所には大きなクレーターが開いていた。

影が、近づいてくる

「・・・何よりも『困難』で、『幸運』なくしては近づけない道のりだった。お前に近づくという道のりがな・・・」
「ぐっ、ぐはっ、ごほっ、こ、こいつぁ。面白くねぇことになっちまったぜぇ」

倒れ伏したまま、血反吐を吐き、荒い息をつきながらガラは理解した。
『真・魔神(人)剣』を放つ瞬間、ブチャラティの翳した宝石の様なのから発射されたレーザーが、ガラの腹部に命中し炸裂したのだった。
両手が万全で、技を放つ瞬間でなければ白羽取りで防げたかもしれない。だが、ブチャラティはここぞという時に切り札を切った。
腹部に命中したレーザーは、その瞬間に爆発し、ガラの半身を焼き焦がしていた。

それでも理解できないことがある。
なぜ、この完全な『忍法七ツ見分身の術』を見破り、この本体を攻撃することができたのか。
なぜ、音速を超えるスピードで、地面にクレーターを空けるほどの『真・魔神(人)剣』を回避できたのか。

「・・・ほんの一瞬だったが、見てしまったな。まったく、同じ動きをする『分身』に助けられたよ。『仲間』が来たときに、正確に『声』がした方向を、見たのはお前だけだった。他の『分身』はみんな違う方向を見ていた。オレを円状に囲んでいたから。」
「…ち、ちぃ、ミスったぜ・・・だが、なぜ『真・魔神(人)剣』を受けて立ってられるんだァ」
「潜るだけが能力ではない・・・本体がわかってから、お前の死角になるようにあらかじめ地面にジッパーをしいておき、閉じるジッパーにつかまって直撃を回避した。それでも・・・完全にかわすことは出来なかったが・・・片手で威力が半減していなかったら死んでいたな・・・」
「ぐほっ、ちィ、そういうことかい」

ブチャラティ、目の前に来た。足を止める。

「・・・もう時間いっぱいだ。仲間が来るまで、数秒後かあるいは一分後か。そのままにしていれば『安らかなる死』を約束しよう」
「む、むぁてタコ!」

斬魄刀を支えにして、ガラは立ち上がろうとする。ひどい火傷だが、なんとか反射的に致命傷は避けたようだ。

「ぐほっ、こっちはまだ売りたい物が残ってんだい!!」
「バカな!?なぜ、そうまでして向かってくるのだ。」
86 名前: ブチャラティvsガラ 後編3/8 ◆PN..QihBhI [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 17:49:06 ID:G3zYB7Ye0
・・・D.S、・・・ネイ・・・
「・・・へっ、なんとなくさ・・・」

ガラは口の周りの血を拭き、なんとか立ち上がって斬魄刀を構えた。
ブチャラティも立っているのが不思議なほど全身に傷を負っている。

ゴゴ   
ゴゴ  
ゴゴ    「・・・ゴフッ、ハァ、ハァ、あの女を殺したのはお前じゃねぇ・・・
ゴゴ    「なに・・・・?
ゴゴ    「・・・殺し方(やりかた)を見ればわかる。・・・・・お前は、イイヤツだな・・」
ゴゴ    「・・・・・
ゴゴ    「へ、ヘンな髪型だがイイヤツだ・・首輪の話をしたときに、一瞬女の方を見ただろ。
ゴゴ    「・・・・・
ゴゴ    「どうせ昨日今日会ったばかりの・・どんな音楽が好みなのかも知らんよーな女だったんだろーが・・・
ゴゴ    「・・・
ゴゴ    「あ、あの時の目を見りゃあ誰だってわかるさ・・・
ゴゴ    「・・・戦う気はない、と言ったはずだ
ゴゴ    「へっ、おれはなァ、今が面白ければ・・・あとはど〜でもいいのよ・・・
ゴゴ    「・・・もうしゃべるな・・・ケリを、着けるぞ
ゴゴ    「ガハッ、わ、忘れたのか、せ、接近戦でもオレのほうが強えーってことをな・・
ゴゴ    「かもな・・・どちらが先に、相手に攻撃を叩き込むかの勝負だ・・・
ゴゴ
ゴゴ

「い、いっけえええええ!!!『魔神(人)剣』!!!」
「『スティッキィ・フィンガーズッ』!!!」

ガラは『魔神(人)剣』を放つことは出来なかった。
ブチャラティがジッパーで切り離したガラの腕が、一瞬早くガラの顔面に命中したのだ。
87 名前: ブチャラティvsガラ 後編4/8 ◆PN..QihBhI [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 17:50:08 ID:G3zYB7Ye0
「ぐっ、なにィ・・・!?」
「借りていたものを返そう。おまえの腕だ。」

ガラの巨体が、揺らいだ。

「・・・ひとつ。お前の言った事に『間違い』があったのを思い出した。
彼女が死んだのは・・・彼女を殺したのは、オレだ。
『解除』に『失敗』して『首輪』を爆発させて・・・当然、予想するべきだった。
『主催者』を甘く見ていたオレの、『ミス』だ。」

「そッ、そーかい。ま、そんなに、気にすんなよ・・・腕は、もっていきな・・・」
「グラッツェ。ガラ・・・お前の名、胸に刻んでおこう。そして・・!!」

「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリィィィィ!!!」

スティッキィ・フィンガーズ、拳を何度も何度も叩き込む。

「ぐはぁぁっ」
『アリーヴェデルチ!(さよならだ)』

遠ざかる意識の中、ガラは声を聞いた。

(オレと違ってテメーのよーな三枚目は死んだら二度と生き返れねーからなっ。気をつけろよっ)

・・・フッ、そーだったな・・・D.S・・・

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88 名前: ブチャラティvsガラ 後編5/8 ◆PN..QihBhI [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 17:56:14 ID:G3zYB7Ye0
「・・・ガラ君!!!だめだ、遅かったか・・・」
「くっ、ちっくしょう・・・」

それから二人は黙って三人の遺体を埋葬した。根本から倒されている木、大地に走る無数の亀裂、中でも一際大きな亀裂の先に巨大なクレーターが出来ており、激闘の後を物語っていた。
ガラの体は焼き焦げ、さらに全身を殴打されたような姿で死んでいた。それでも、ガラの死に顔は満足そうだった。

「犯人は海のほうへ向かっただって?桑原君!!」
「ああ、こぼしていった“におい”みてーなもんが漂ってるんだ。満員電車のすかしっ屁みてーなもんだな」
「君、その(つぶれた)顔によらずなかなかスゴイな!もう少し詳しくわからないのかい?」
「なんか素直によろこべねーなクソ!!やれるかどうか念信してみる!!」

桑原は額に人差し指を当て集中する。見えてくる。これは・・・ガラの意識か?
『貴様が殺人犯……か。悪いが・・・・・・』『戦う気・・・・・』 ちっ、何を言ってるのかわかんねぇ
『なにぃ!!?ブチャラティが消えた?』 ―――!!?

「わかったぜ!!やつの名前はブチャラティだ!!」
「『ブチャラティ』!すごい!!確かに名簿に載っている名前だ!」
額に指をあてたまま桑原は続ける。
「ヤツは、『おたまじゃくし柄のスーツ』を着やがる。」
「うんうんそれでそれで?」
「そいつは、『おかっぱ頭』だ。まちげぇねぇ!頭に『ダンゴ虫みてぇなブローチ』をつけてやがる!」
「犯人は女性なのか!特殊な感性の持ち主だね・・・おたまじゃくしにダンゴ虫か・・・
「いや!こりゃ『男(ヤロー)』だ。・・・なんつーかよ、すんげぇ『濃い〜ツラ』だぜ」
「桑原君・・・それは変態というやつでは・・・?」
「・・・だめだ、もう何もみえねぇ。だが、わかったぜぇ、ガラのおかげで・・・サンキュな・・・ガラ」

二人はブチャラティを追跡することにした。
友情マンは考える。間に合わなかったのは、幸か不幸か。しかし、あのガラ君が倒されるようなマーダーがいるのか・・・
――――本気で戦うことも、考えなければならないな・・・。

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89 名前: ブチャラティvsガラ 後編6/8 ◆PN..QihBhI [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 17:56:54 ID:G3zYB7Ye0
松島を、『美しい』とブチャラティは素直に認めた。
これからも松島はただ松島としてあり続けるのだろう。
それにしてもガラ、恐ろしいほどの強さだった。あのレベルのヤツが他にもどれだけいるのか
深く傷を負ってしまった。とりあえずジッパーで応急処置はしたが、止血程度にはなるだろう。

いずれ『主催者』は倒す。
だがやはり『仲間』は必要だ。探して、集めよう、ともに『主催者』を倒すという者がいるのなら
そして『首輪』の弱点も、必ず見つける

『首輪』

そこまで考えて、ブチャラティは晴子のことを思い浮かべた。

・・・オレは生き返ったんだ。解除に失敗して死ぬはずだったオレの命は・・・

青い海、太陽に照らされて白く輝く

なぜ命というものがあるのだ、死があるのだ。
生きている限り、死者の分まで生きなければならないのだろうか。

彼女よりは長く生きることになった。

潮の香りがする風、吹き散らされて思考は切れ切れになる。
青い空、今にも落ちて来そうな空。まぶしさに目を細める。

太陽から降り注ぐこの光のように、思いが、はるか遠くまで届くことがあるのなら

せめて、彼女には届け、とブチャラティは思った。

―― To be continued ―→
90 名前: ブチャラティvsガラ 後編7/8 ◆PN..QihBhI [sage] 投稿日: 2005/11/22(火) 17:57:28 ID:G3zYB7Ye0
【宮城県宮城郡松島町/西行戻しの松公園(松島海岸)/昼】

【友情マン@ラッキーマン】
 [状態]:健康
 [装備]:遊戯王カード(ブラックマジシャン、ブラックマジシャンガール、千本ナイフ、光の封札剣、落とし穴)
 [道具]:荷物一式、ペドロの荷物一式、食料セット(十数日分、ラーメン類品切れ)、青酸カリ。
 [思考]:1.負傷しているはずのブチャラティを追跡する。仲間にするのは無理だと思っているので、殺せるようなら殺す。
2.強い者と友達になる。ヨーコ優先。
     3.最後の一人になる。

【桑原和馬名@幽遊白書】
 [状態]:健康。怒りと悲しみ。ブチャラティのいる位置がなんとなく分かる。
 [装備]:斬魄刀
 [道具]:荷物一式
 [思考]: 1ブチャラティを追跡、怒りに燃えている。ガラの仇をとる。
     2.ピッコロを倒す仲間を集める。浦飯と飛影を優先。
     3.ゲームを脱出する。

【ブローノ・ブチャラティ@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:ガラの右腕をジッパーで固定した。ただし、スタンドの右腕は復旧不能。
     全身に無数の裂傷。とりあえずジッパーで応急処置をした。致命傷ではないがかなりの重症。
 [装備]:なし
 [道具]:支給品一式 スーパー・エイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
 [思考]:1『主催者』は必ず倒す。そのために『仲間』を集め、『首輪』の解除方法も見つける。
     2 死者の分まで『生きる覚悟』『も』決めた。
     3 移動する。

【ガラ@バスタード】死亡確認 
【残り102人】
91 名前: